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ありさは目の前に広がる一面の花々に感動するなんて事は無かった。

理由は美しいというより何処か毒々しくトゲトゲしい花ばかりだからだ。


「何だろ…凄く不安になる花畑だよね。」


「名前の通りでしょ~?」


目につく花の色は黒、紫、ショッキングピンクなどで花弁の形も先が尖っていて茎にはサボテンのように長く鋭い棘までみえる。

ありさは何故こんな場所に連れて来られたのか、手伝いとは何かとても不安だった。


「この花達のご飯は人間達の負の感情なの。

だから普通の花みたいに水をあげたりとかは必要無いのだけど、定期的に植え替えが必要でね。

少し前に植え替えしたんだけど毎回逃亡する子が何株かでちゃうのよね~。」


「逃げる?花が??」


「そうなの。困っちゃうでしょ?ありさには逃げた子を捕まえてきて欲しいのよ~。」


ブリュレの説明では花は自分で歩く事が出来ていつもは柵で囲っているので逃げられないが、植え替えの時は柵が外されるので溜息の庭から人間の住む場所に逃げてしまう花が出るのだとか。

逃げた花が人間の負の感情を取り込むと周囲に悪影響を及ぼすので回収を手伝って欲しいといのがブリュレからの依頼内容だった。


「ちなみに今回逃げたのはショッキングピンクの花で嫉妬花(しっとか)ってお花ね。嫉妬花(しっとか)はご飯を食べた後に毒を振り撒くから困っちゃうわ~。」


「怖っ!それ困っちゃうどころじゃなくない?!」


「大丈夫よ。即死毒じゃないから~。ブリュレはここから離れられないからありさがいなくちゃ回収出来ないのよね~。」


ありさは手伝わなければ人が死ぬかもしれないという選択肢がある様でない状況にドン引きしながらもブリュレの手伝いを了承した。

ブリュレはとても良い笑顔でありさに礼を言って抱きつこうとしたがありさは全力で回避して地面にめり込んだ。

異世界に慣れるよりもブリュレに慣れる事に苦労するのでは無いかと思いながらもありさは取り敢えず頑張ろうと心の中でやる気スイッチを入れて更に詳しい説明をブリュレに求める。


そんなこんなで月日は流れ、光と再会を果たしありさはポカンとする光の間抜けな顔を前にしながら再会できた事を心から喜んだ。

そして、初めてブリュレに感謝をしたのであった。

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