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「落ち着いたところで~私は妖精のブリュレよ。ここは貴女のいた世界とはちょっと違った世界だからきちんと説明聞いてね~!」
「いやいやいや、新宿二丁目も震撼しそうな程ヤバいのが妖精?ナイナイ。私は拉致でもされたの?オカマの恨みを買う覚えはないよ?私美人ってタイプでも無いし得な事ないから早く帰してよ。明日も仕事あるの!」
話を聞いてくれ無さそうなありさにブリュレは少し不機嫌になった。
話を進めたいブリュレは仕方が無いとドレスのスカートをめくり太ももに固定されていた短鞭を取り出した。
「ゔっ…」
「ぷりぷりプリティーブリュレミラクル~!」
ありさが吐き気を催しているのを無視してブリュレはクルクルと踊り出す。
その姿が少女であったならと強く願わずにはいられないありさは次の瞬間驚き目を見開いた。
何も無い真っ白な空間に芽がピョコンと出たかと思えばそれは急成長をとげてログハウスになったのだ。そんな事普通ならありえる現象では無い。
「うそ…マジ?」
「ブリュレの事、信じてくれる気になた~?」
コクコクと頷くありさに満足気なブリュレは説明を開始した。
説明は簡単で溜息の庭と呼ばれるこの空間の管理をするブリュレの手伝いをし、手伝いが終われば元の世界に帰ることができるとだけ言われありさはブリュレの説明能力の無さに「それだけ?!」とツッコミを入れてしまった。
「お手伝いは見てもらいながらの方が早いし、帰れるのかって重要でしょ~?」
「うん…まぁそうなんだけど……じゃあ何を手伝うのか見せてくれる?」
「その前に貴女の名前は?」
「植松 ありさ よ。」
「じゃあ…ありにゃんね!」
アラサーありさは精神にダメージを負った。
「ゔっ…この歳でにゃん…後生です、普通にありさって呼んでっ!!」
「え~可愛くないから嫌よ~」
長い格闘の末に手伝い拒否という技でありさは呼び捨てを勝ち取った。
ブリュレは残念がりながら諦めて話を進める為にありさを誘導する。
「着いたわ。この模様を踏んで~。」
何も無い空間をブリュレについて歩いて行くと、床に幾何学模様が描かれている場所にたどり着いた。
ありさはゴクリと喉を鳴らし緊張しながらそっとその上に足を置こうとするが、焦れたブリュレが背中を押し勢いよく踏んだ。
すると、パッと景色が変わり目の前に花畑が広がる。ただ空は真っ白なのでここが外でない事は一目瞭然だ。
「ようこそ、ここが溜息の庭よ~!」




