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ありさが更衣室を出て玄関に行くと雨が降り出していた。


「あちゃー」


カバンの中を探り折りたたみ傘を探すが見つける事が出来ず、更衣室のロッカーに入れていた事を思い出したありさは更衣室に戻った。


光がまだ更衣室にいると思っているありさはドアをノックして返事を待つが光の返事は無い。仕方なくノブを回して中に入ると光の姿は無く、荷物も無いようだが電気がつけっぱなしになっている。


「トイレにでも行ってるのかな…?」


ありさは自分のロッカーを開けて目的の物を取り出す。ふと視線を落とすと床に見慣れない模様が描かれていた。


「何これ…さっきまでこんなの無かったはずだけど…光…ちゃん…?」


一瞬光がイタズラで描いたのかと思ったがありさが更衣室に戻るまで三分程しか無かった。床一面に模様があるのでそんな短時間で描くのは無理に思える。

しかも光はそういうイタズラをするような性格はしていない。


謎に思いながらありさが床の模様に触れると模様は突然光だした。


「うわっ!なに?!」


眩しさに腕で眼を庇うと直ぐに眩しくなくなり、ありさが腕を下ろすと更衣室では無く真っ白な空間にいた。


「な、な、な、何これ~!!!更衣室は?!店は?!私死んだ?!」


大パニックのありさが周りを見回すが全く何も無い。どうすれば良いのか分からずありさはその場にへたり込み呆然とした。


「あら、もう着ていたのね~。一人にしてごめんなさぁい。」


誰もいないはずなのに確かに聞こえた野太い声。

ありさは周りをキョロキョロ見渡したが、やはり誰もいない。幻聴でも聞いたのかとまた正面を向くとほぼゼロ距離に濃い顔面があり、驚きのあまりありさは「ギャ~~~~!!!」と叫び失神した。


「な、何よ~!びっくりした……ってアラ?ちょっと~人の顔みて失神するなんて失礼じゃない?」


起きる気配の無いありさをどうしようかとブリュレはありさの顔を覗きこみながら考える。

するとパチッとまたありさの眼が開きブリュレが安堵したのも束の間、また「ギャ~~~~~~!!!」と叫び失神した。


「ちょ、ちょっと~!ブリュレ泣いちゃうわよ~!どんなけ失礼なのよ!!!」


その後、もう一度このくだりを繰り返しブリュレはようやくありさと話をできるようになった。

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