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真っ白な空間、いきなり抱き着いてきたオカマ、からの«ひかりん»呼び。
「情報が多すぎるからっ!」
パニック状態の光に大笑いするのは貴族令嬢のように紫のドレスに身を包みブロンドの髪を夜会巻きにした顔と声と二メートルは有りそうな身長以外は女性のような紛うことなきオカマだった。
太眉と無駄に強い眼、薄ら青くみえる髭と野太い声は中々の破壊力だ。
「ここ何?!私オカマに拉致られたの?!」
「まぁまぁ落ち着きなさいな。ちゃ~んと説明してあげるからっね?」
光は強烈な吐き気と戦いながら話を聞かなくては先に進まないと自分を叱咤する。
「まずは、自己紹介ね。私は妖精のブリュレよ。」
「化け物じゃなくて?」
「失礼ね!妖精よ!」
光の中の妖精は小さく可愛らしくて羽根の生えているイメージだったがブリュレの登場により木っ端微塵に崩れ去り光は「嘘だっ!」と全力で叫んだ。
「もうっ!ちゃんと話を聞いてよ~。ブリュレ、怒っちゃうぞっ!プンプン!」
頬を膨らませるブリュレに光は自身の精神がゴリゴリ削られるのを感じ、無の境地で黙って話を聞くことにした。
「ひかりんはヨガをしたり教えたりすると何らかの効果が発揮されるでしょ~?何でか分かる~?」
「え…聖女だから?」
「まぁそうなんだけど~!その力はブリュレのお手伝いの為にある力なのよ~。そ・し・て、お手伝いさんはもう一人居たりするのよ~!!」
ブリュレがサッサと横に動くとそこには見慣れた人物が立っていた。光は一瞬思考が停止したが脳みそが追いついてくると涙が溢れてきた。
「て、店長~~~~~~~~~~~!!」
「泣かない泣かない!」
泣きながら飛びついてくる光の頭を優しく撫でながら店長こと植松 ありさ は久しぶりの再会を喜んだ。
そんな二人をブリュレは滝のような涙を流しながらハンカチを噛み眺めているので、それが視界に入るありさは少しずつ身体を回転させた。
「ちゃんと説明して下さいよ~!私…私、寂しかったんですからぁぁぁぁぁぁあ」
「大丈夫、私はしっかり光ちゃんを見守っていたから!安心して!!」
ありさは取り敢えず光と別れた後に何があったのかを話始めた。




