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「ヒカリ…私は貴女に恨まれても仕方の無い存在です…身勝手に貴女を召喚し、深く傷つけた。」


「アーサーのせいじゃないよ。」


きっと一番傷ついているのはアーサーだと、光はどうするばその傷を少しでも癒してあげられるのか考えが、なかなか良い答えがみつからない。

きっと在り来りな言葉ではアーサーの心には届かないと光はとりあえずアーサーに回している腕に力を入れた。


「情けないですね…気を遣わせてしまいました。」


「アーサー、確かに私は突然ここに来て最初はすっごく戸惑ったし早く元の世界に戻りたかったよ。だけどフローラやマリナ…たくさんの人が苦しんでるのに私に優しくしてくれる。悪い人ばかりじゃない事を知ってるから。

私は…皆を治してあげたい!」


「ヒカリ…ありがとう…」


アーサーは光の耳元で少し震えた声で囁くと耳にキスを落とした。弱々しいアーサーの声と耳に触れた柔らかさに光はオーバーヒート寸前で今にも倒れそうな程クラクラしている。


「ヒカリ、聖女の怒りはこの世界の人々が聖女に理不尽な事をした時に下さる罰です。こんな私にすら優しい言葉をかけてくれる貴女が傷ついている姿を…私は見ていられません。」


アーサーは密着させた身体を少し離し、その熱の篭った瞳を光に合わせた。その瞬間、光の鼓動は今までで一番大きく跳ね息の仕方を忘れる。

ゆっくり近づいてくるアーサーの顔に光はギュッと両目を瞑った。


「私が、必ず貴女の憂いを晴らしてみせます。」


そう言って去っていく後ろ姿を光は何も言えずに見送った。

自身の唇に残る柔らかな感覚と熱さに暫くその場から動く事が出来なかった。



一方、階段を下りて庭の光から自身が見えない位置まで来たアーサーはその場に座り込んで自身の行いを反省していた。

一方的に奪った光の唇があまりにも甘く貪ってしまいそうになったのを何とか堪えたのは褒めても良いとは思うが、抱きつき口づけしてしまっているのだからアウト中のアウト。

自分がこんな行動に出てしまう事が分かっていれば安易にあんな無防備な姿の光に近付きはしなかった。


アーサーは寝転がり空を見上げながら先程まで腕の中にいた光を想った。


「ヒカリ…私は、貴女を……」



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