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城門に大勢の市民が押しかけて数日後、二週間後に市民への正式なお披露目がされる事となった。
そこからはバタバタと準備等に追われ、マナーの再確認や貴族達の名前の暗記、先送りにしていた王への正式な挨拶から貴族達へのお披露目、教会のお偉い方への挨拶など先延ばしにしていた事を一気にこなす為毎日ニコニコ作り笑顔していた光の表情筋も限界が近かった。
「しんどい……ヨガしたい…」
「もう少しの辛抱でございます。」
「私もう引きこもりたいよ~!」
「ヒラノ様…市民へのお披露目が終わりましたら暫くゆっくりできますので。」
フローラが励ますが光の心はほぼ折れている。せっかく兵達の為に考えたヨガメニューも忙しすぎて未だアーサーに相談も出来ていない。
「お披露目って明後日だよね…」
「明後日の正午となっております。」
「その後にアーサーと話をできるかな?訓練用ヨガメニューの件も話したいし…」
「確認致します。」
光はフローラにアーサーとのアポイントを頼むと自身を叱咤して面会依頼のあった貴族の元に向かった。
城の応接室の前に着くと光はドアをノックした。中から入室許可の声がしてドアを開けると、そこにいたのは以前王に呼ばれ労働基準法の説明をした際に睨みつけてきた偉そうな人物だった。
光は内心部屋から出て自室に引き返したかったが何とか笑顔を貼り付けて礼をする。
「ヒカリ・ヒラノと申します。ベルギー侯爵様がお予備との事で参上致しました。」
「ふん。粗末な礼だな。聖女、貴様をここに呼んだのはお披露目後の過ごし方についてだ。厚かましくも陛下並びに殿下の御恩上に甘え城で贅沢三昧しているそうだな!私がお前に相応しい場所を用意してやった。お披露目が済んだら城から速やかにでろ。」
ベルギー侯爵の横柄な態度と勝手な要求にヒカリは「はぁ?」と喉まで出かかったが何とか飲み込んだ。
この忙しい時にこんなのの相手をしなくてはいけないストレスは光の胃に多大なダメージを与えるがきちんと対応しなければアーサーにも迷惑をかけるので本音をグッと抑え笑顔をつくった。
「陛下と殿下の御心遣いは私の身に余るものと理解しております。しかし、ここでベルギー侯爵様のお言葉をお受けする訳にもいきませんので後日お返事させていただきます。」
「なにぃ?!貴様!この場で了承せぬとは何様のつもりだ!!小娘が調子に乗りおって!!!」
激昂したベルギー侯爵は座っていた椅子から立ち上がり光の右頬を打った。
光はその勢いで床に倒れ込み右手で頬をおさえ俯いた。




