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「大変申し訳ありませんでした…」
光は自信に向かって90度頭を下げたアーサーを直視出来なかった。腹が立っていると言うより恥ずかしいという気持ちだが「許す」の一言はなかなか出てこない。
「本当にヒカリの姿を覗き見る目的でいた訳では無いんです!たまたま結果がそうなってしまっただけで……」
「殿下、本来であればその可能性に気づいた時点で即座に立ち去るのが紳士というものでございます。私からはこれ以上申し上げませんが、王妃様には御報告させていただきます。」
アーサーは仕方が無いとため息をぐっと飲み込んで長時間に及ぶであろう母親の説教を思い気が重くなった。
「フローラ、裸をみられた訳じゃないし少し手加減してあげて…」
「そうですね…ヒラノ様も、私の忠告を無視し行動された件は後程お話させていただきます。」
「う゛っ…ご…ごめんなさい…」
いつまでもこの話をしていては先に進まないのでフローラは取り敢えずこの話を強制終了し太陽礼拝の効果についての話に切り替えた。
アーサーはテーブルにピンクの薔薇を二本置く。
「右側は先程の輝きの範囲外から取ったもの、左側が範囲内から取ったものです。」
アーサーは薔薇の切り口に銀のコインを当てる。すると右側に置いた薔薇のコインのみ僅かに黒く変色した。
「銀のコインは毒に反応を示します。左側の薔薇が何の反応も示さないという事は毒が含まれてないという事です。」
「では、ヒラノ様は植物の毒を浄化される方法を見つけられたという事ですね。」
「すごい!!」
嬉しそうなフローラとマリナとは裏腹にアーサーの表情は微妙なものだった。
光はそれが気になりアーサーに尋ねる。すると、アーサーは悩みながら少しずつ説明していく。
「植物の毒を浄化出来たのは喜ばしいです。しかし……一度に浄化できる範囲が少し狭いのでヒカリの負担が大きくなってしまいます。仮にヒカリが誰かに教えて浄化できる人数を増やしたとしても中々ハードな動きなので人員が限られてくるな…と。」
「ん~確かに太陽礼拝は中々体力使うから高齢な人とか子供には無理だね……」
「ヒラノ様がヨガを人前で披露される事に抵抗を示されてる事もありますし、人員を増やすのは難しいですね。」
「う゛…」
「だったら、私たちがやるしか無いですね!」
マリナは一歩前に出て胸を張る。
ここまであまり役に立っていない事を密かに気にしていたマリナが初めて役に立てそうな件、マリナはやる気に満ち溢れていた。




