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光は笑顔を貼り付けて冷や汗を流していた。


(あぁ……似た様な緊張感最近味わってたなぁ…。)


本日開かれた【深呼吸をマスターしようの会~王族編~】参加者は王、王妃、第一王子、アーサーの四人でアーサーはすでに習得済みの為サポートとして参加している。

応接室で開かれているこの会は始まる前から光の精神を大きく削った。


まず最初は、元々行われる予定だった部屋が王妃が到着した途端に何故か鳥の群れが突っ込み窓ガラスが全壊。

幸い怪我人は無く、王妃以外の王族もまだ居なかったので部屋を変えて開催することにしたが、部屋の中に先にいた光はバッチリその光景を目にして激しく動揺した。


次に移動中、また何故かワインダルが高速で王妃目掛けて転がってきて避けた王妃のすぐ後ろを歩いていた光にヒット。

倒れ込んだが幸い怪我はなく、樽は馬車から誤って落としてしまった商人が回収して皆が何事も無かったかのように歩き出したが光にはまた衝撃的で不安が膨れあがった。


そして流石にもう大丈夫だろうと思っていたが最後に部屋に入る前に王妃が転び光が下敷きになるという落ちがついた訳だが、光はもう絶対に王妃と行動を共にしないと誓った。


(護衛の人達本当にお疲れ様です!!)


そんな前座があり始まった会は先日とは打って変わりフレンドリーな筋肉親父の王と見た目光より幼いのでは無いかと思われるロリ気味王妃、鋭い視線がクセになりそうな大人びた第一王子、見慣れた美青年アーサーを並べ始まった。


光は一通りの流れを説明しながら四人の状態の確認したが、やはり王、王妃、第一王子は毒(中)と表示されていたがアーサーからは毒の文字が消えていた。

どうやら繰り返し自身で深呼吸する事を心得ていたようで少しずつ解毒されたようだ。


この事実は後ほどアーサーに伝えるとして光は失礼がないように言葉と振る舞いに気をつけてレクチャーしていく。


「ああ…身体が軽くなったな…。」


「本当に。こんな気分いつ以来かしら。」


王と王妃は感動していたが第一王子は何も言わずにただ自身の手を握ったり開いたりしながらずっと見ていた。


「兄さんもアレでとても感動しているんですよ。」


アーサーがコソッと光に耳打ちしたが光には全く分からなかった。

ともあれ無事に終わり光はとても安堵し早く自室に帰ってソファに倒れ込みたい気持ちでいっぱいだ。しかしそんな光の心の内を知らない王妃は更に追い討ちをかける。


「そうだわ、このお礼にお茶でも一緒に…」


「大変恐縮で素がマナーもままなりませんので!!」


「あら気にしないで?」


「もっと恥ずかしくない振る舞いを身につけてから是非!!」


王妃に気に入られた光は暫くお茶の誘いから必死に逃げることになり、アーサーに何度も泣きつく事となった。

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