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ひとしきり笑い落ち着いた光はジト目で見てくるアーサーになんて説明するか悩んだ。
光自身説明するのが上手い部類でもなくむしろ下手な部類に入ると思っている。
「アーサーはマッサージを知ってるのにツボは知らないの?」
「マッサージと関係あるものなのですか?」
「うん?」
同じ言葉なのに何故か認識が違う感じがし、光はアーサーのいうマッサージを見せて欲しいとアーサーに願うと一人ではできないのでと何処からかガタイの良い男性を連れてきた。
「初めまして。私は騎士団に所属しておりますゲラリと申します。」
ゲラリは簡単に挨拶をするとアーサーとマッサージをするべく背を向けた。
アーサーはゲラリの首に右腕を回すと左腕を持ちゲラリの首を締めていく。
「ちょっと!いきなり何してるの?!」
「え?何ってマッサージですよね?」
何でもない事のように答えるアーサーの前で顔を真っ赤にしていくゲラリ。
光はとりあえずアーサーを止めてゲラリを解放するように言うがアーサーは不思議そうな顔をしている。
「この世界のマッサージってプロレスの事?!」
「プロレス?マッサージは過去の聖女から伝わったもののはずですが……」
光は過去の聖女のイタズラに頭を抱えた。ここで正さなくては間違いなく死人が出そうだ。
「私の世界ではそれはマッサージではなくてプロレス技、格闘技の技だよ…過去の聖女に騙されたね。」
「騙された……」
ショックを受けた様子のアーサーが可哀想で光はきちんとマッサージというものを教えてあげようと施術する事にした。
いきなり全身を触るとびっくりされそうなのでとりあえずハンドマッサージをする事にし光はアーサーの手を取る。
「ひ、ヒカリ?!」
「アーサーの手は冷たいね。身体には目に見えないツボというものがあってね、指で押したり温めたりする事で身体を温めて不調を取り除く手助けをしてくれるんだよ。」
光はアーサーの手を軽く触診して傷が無いことを確認してからフローラに身体についても問題ないオイルを持ってきてもらった。
フローラの顔が少し赤い気がしたが光は気にせずにアーサーの手にオイルを垂らしハンドマッサージを開始する。
1本1本指先から少しずつ指圧していく光をアーサーは直視出来ずにただ俯く。
まるで全神経が指に集中しているかのように光の動作に合わせて何とも言い難い感覚がアーサーを襲った。
「気持ちいい?」
「き、気持ち…ぃぃ…なんて…」
「私下手かな…結構自信あったんだけどアーサーを癒せてあげれてない?」
「は!はははは破廉恥!!破廉恥だよ!!!!」
耐えきれなくなったのはマリナだった。
真っ赤になった顔を両手で隠し座り込んみ頭から煙を出している。訳が分からない光に少し顔を赤くしたフローラがそっと近づく。
「手袋も無しに男性の手を握るのは…少々大胆かと……。」
「え?大胆??どうして?」
「その…直接手に触れて良いのは契りを交わした者同士、つまりは夫婦だけとなります。」
「うぇええええ?!さ、先に言ってよおおおおおおお!!!」




