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光は緊張でどうにかなりそうな程混乱していた。


アーサーの無理なスケジュールに対して説教をした後、再び余裕ある予定にして渡した。

その一時間後、いきなり呼び出されアーサーの案内で王と偉そうな人物が勢ぞろいしている部屋に入れられ労働基準法について詳しく聞きたいと王直々に言われるという恐ろしい事態に直面した。


義務教育程度の知識しかない光はパニック状態だ。

なぜアーサーに説教してしまったのかと後悔しながら必死に記憶をたどり普段特別意識しない法律の概要を思い出す。


「ええっと…労働基準法というものは私の国の法律で労働者を守る為のものです。国が決めた基準をクリアしていないと雇用主に罰則も発生します。その一つがアーサー殿下にお話した長時間労働についてです。」


光はまとめながら必死に長時間作業する事のデメリット、健康被害への懸念を一人延々と話をするがやはり一部には理解してもらえず野次が飛ぶ。

光がネガティブキャンペーン失敗かと思いこっそりため息をつくと、王が口を開いた。


「聖女よ今の説明は一部と申したな。」


「は、はい。」


「他にはどういったものがある。」


「他は…賃金、働き方、権利など労働者が不利益を被らないよう様々な項目があります。」


「罰則もあるという話だがどう監査する。」


「監督署や労働局という専門機関がチェックしています。更に労働者側からの相談も受け付けているので雇用側が揉み消さない仕組みになっていたかと…思います。」


王は顎に生えた髭を触りながら考え込み部屋の中にいる全ての者が黙ってその様子を伺っていた。

光としては聞きたい事が無いのなら解放して欲しいところだがそれを聞く勇気は光には無かった。


「聖女よ。そなたの国法律を参考に我が国の労働環境も整備する方向で話を進める。アーサー、聖女と反対意見のある者から話を聞きまとめよ。以上!」


王が席を立つと皆が一斉に頭を下げ光もあわててそれにならう。

丸投げされたアーサーが多少顔色が悪い気がするので気の毒に思いながらも光はアーサーに部屋に戻りたいと声をかける。


アーサーと部屋を出ようとした時偉そうな人の一人からすごい形相で睨まれたが光は見て見ぬふりをした。





「ふ~緊張した~!!」


「お疲れ様でした。」


部屋に戻った光はソファに倒れ込んだ。

最高権力者達が集まる場所にいきなり連れていかれた光を労う為にアーサー直々にポットから紅茶を注ぐ。

テーブルに置かれた紅茶の香りに誘われて起き上がった光はアーサーの入れた紅茶に手を伸ばし口にした。

温かさにホッし落ち着きが戻ってくると光はふと冷静に先程の自分を振り返る。


「そういえば…私まともに挨拶してない……。」


「必要ないですよ。ヒカリの事は私から話していましたし礼も名乗りも不要と言われていましたから。」


「よ、良かった!テンパってて忘れてたけど普通なら打首だよね!!」


「そんな簡単に首は飛びません。そんな事したら革命が起きます。」


確かにそんなスパスパ切っていたら良い感情なんて持ちようがないが光の中のイメージは王様は首を切る人でかたまっている。

この国の王はアーサー声と髪色はアーサーに似ているがムキムキボディはまるでボディービルダーを彷彿させとても強そうだ。アーサーは線の細い美青年なのできっと母親似に違いない。


「そういえば、部屋を出る時すごく睨まれたんだけどどうしてかな……。」


「……きっと目が疲れて睨んだようになってしまったのですよ。」


「そうなの?じゃあ眼精疲労にきくマッサージ教えてあげなきゃね。」


「光はマッサージもできるのですか?」


「ヨガとツボは関係が深いからね。」


「壺ですか…?」


真顔で呟かれた壺がツボに入り光は方を震わせた。流石に大声で爆笑するのは不味いので必死で声を抑えるがアーサーは光に笑われているのが気に入らないので光の耳元で「壺ってなんですか?」と囁きわざと煽った。


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