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アーサーによる深呼吸講座のスケジュールは恐ろしく過密だった。
朝の6時から開始し寄るの2時終了となっている時点でおかしい。日本なら明らかに労働基準法違反だ。更に自由時間は朝昼晩の食事の時間各三十分のみとなっている。
30分の講座を30回以上繰り返し一日で城で働く全員を受講させるというスケジュールに光は戦慄した。
アーサーはこのスケジュールを笑顔で渡してきたのだ。きっと彼にとっては普通の事なのであろう。早く健康にしてあげたい気持ちは理解するが今後が心配になる。
「アーサー、貴方働きすぎって言われてない?」
「そんな事ありませんよ。」
「いいえ。城では殿下の仕事中毒は有名です。殿下付の方々が休憩を促しても却下されると嘆いておりました。休みなく働かれる殿下のお姿に城の者は皆いつかお倒れになるのではと心配しております。」
「だそうだけど…。」
フローラの話にバツが悪そうな顔をするアーサーに光は苦笑した。
「早く皆を楽にしてあげたいのは分かりますが、無理はいけません。コレ明らかにオーバーワークだから半分に分けてきちんと休憩しながらやりましょうね。」
「しかし、そんな悠長な事は…。」
「分けますね。」
「……ハイ。」
その後、アーサーのスケジュールを二日に分けて組み直し、光アーサーに働きすぎについて一時間程説教をし日本の労働基準法についての説明もした。
毒により体力の落ちた人間に長時間労働は良くない事だ。
「ふむ……なるほど、長時間労働ですか…。確かに毒に侵されている私たちには休息は必要なものですね。」
アーサーはブツブツと言いながら考え込んでしまったので光は邪魔をしないように今まで効果があったものを纏めることにした。
「ん~…」
「どうしたのですか?」
いつの間にか一人の世界から戻ってきていたアーサーが首を傾げた。光は戻ってきたアーサーにヨガのポーズをどう思うか聞いてみた。
「馴染みがないので新鮮ではありますね。」
「おかしな格好だなとかは…?」
「そんな事は…」
「正直に!」
「……少しだけ…」




