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第百一話 駄々こね王子



魔王討伐に向けた旅は最悪の形で始まった。

世界を救うのが目的なはずなのに我が儘王子のお守りをさせられている。

これでは自分の強化などできやしない。

ギルドに討伐報告をしに行った後、宿を取る事になった。

すると我が儘王子はまたしても無茶を言い始める。


「よし!では最上級ホテルに泊まるとするか」


「待て待て待て待て待ってください!そんな金どこにあるのですか!?お金持ってるのですか?」


最上級ホテルは最低でも金貨10枚はする。

平民はあまり泊まらない所で、貴族や大商人が観光の際に泊まることが多い。

平民の平均年収が凡そ金貨30枚だから、どれだけ高価なホテルなのか想像がつくだろう。


「金なんて僕は持ってきていない。だが、この間父上からお前達は報奨金を受け取っていただろう?折角沢山金があるのだ。パーッと使おう」


「いやいやいや!あれは僕達の個人お金ですからパーティーとして使うわけにはいきません!それに宿にそこまでのお金はかけられません。出来るだけポーションとかのアイテムや装備にお金を使うべきです!」


そうやって訴えかけたが、どうやら心に響かないようだ。


「僕に普通の宿に泊まれというのか!」


そりゃあこの旅に参加する以上今までみたいな暮らしは出来ないだろう。

毎日高級ホテル暮らしなんて出来るはずがない。


「ダメだ!最上級ホテルにするぞ!」


結局僕達は金貨15枚もする高級ホテルに泊まる事になった。お金も出させられた。

ストレスしかたまらない……


仕方なく高級ホテルに泊まろうとすると王子が一人用の部屋を要求してきた。

ただでさえ高いのにそれぞれの部屋なんか用意してられない。

僕とエレナとクリフは同じ部屋で……

という流れになったら今度は


「僕だけ除け者にする気か!?」


と怒ってきた。

面倒くさいが僕とエレナは一緒の部屋で、クリフと王子は1人部屋になった。


「ごめんクリフ、こんな風になって……」


「大丈夫です。気にしないでください」


王子はホテルに荷物を置くと、高給料店がある場所へと向かっていった。

因みに金貨10枚たかられた。本当にいい加減にしてほしい。



補足説明、

この世界の硬貨は主に5種類、


小銅貨 1円相当

中銅貨 10円相当

銅貨  100円相当

銀貨  1000円相当

金貨  100000円相当


下級冒険者は1日にゴブリン10匹くらい倒して銀貨10枚稼ぐので日当10000円くらい。Dランク冒険者なら平均年収金貨40枚くらいなので400万円くらい。

農民なんかは年に金貨30枚稼ぐので年収300万円ですね。

テクストを倒した時は金貨500枚貰ってるので5000万円くらいで、ネドリアを倒した時は金貨2000枚なので2億円です。

ネドリアの方は山分けしているので一人当たり6000万円ちょいくらいかな?

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