第九十七話 話
「ケイン、エルファトクレス様、良い話と悪い話がある」
「……良い話からで」
「良い話は四天王魔剣王のヴィクターが雷帝オルトメキナによって討伐されたという事だ」
「凄いじゃないですか!?たしかヴィクターって四天王の筆頭でしたよね?そいつを相手に単独で討伐なんて……」
「悪い話だが、雷神オルトメキナが四天王魔剣王のヴィクターによって殺されたという事だ」
「……そんな…あのオルトさんがやられたというのか?」
信じられない。雷帝オルトメキナといえば歴代でも最強の剣士として名高く、実際に戦ってみてこれは誰も勝てないだろうとすら思ったのに………
「つまり、これからは僕が第六騎士団隊長としてみんなを率いていく」
「……悲しくはないのですか?上司が殺されたというのに……」
エルファトクレスが涙ながらに聞く。
「僕は仕事に私情を持ち込まないんだ。騎士団の皆んなにも伝えてくるからもう行かせてもらう」
淡々とクウガさんが、話すとそのままその場を去っていった…
なんとなく気になって後をつけてみると、クウガさんが物陰で1人泣いていた。
「…どうして……オルトさん……あなたは最強だったんじゃ無いですか………」
クウガさんはこれから第六騎士団隊長として、騎士団のみんなを引っ張っていくのだ。
少なくともみんなの前では涙など流せないだろう………
みんな悲しいのだ。大事な人を失って悲しく無いわけがない。
僕は声をかけずにただ見つめていた。
………………………
……………
……
四天王ネドリアが戦乙女ケイン、勇者エルナ、クリフ、ガルドによって、
四天王クーデルが炎帝エルファトクレスによって、
四天王ヴィクターが雷帝オルトメキナによって、
それぞれ討伐されたことは各国に広がった。
2人の犠牲の上に討伐されたが、これで全ての四天王が倒されたことになる。
魔王軍との戦争もいよいよ大詰めとなったわけだ。
本来四天王は勇者とその仲間によって討伐される。
しかし、今回四天王を勇者パーティーが討伐した回数は1回だけだ。こんなことは過去には無かった。
何かが起きている……
皆んなそう感じた。




