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第八十三話 炎帝



「エネマ!」


そう、下水道の先にいたのはあのエネマだった。

 

「良かった、エネマは洗脳されなかったんだ!」


「うん。私はオリジナルスキルで属性変化出来るから透明になってここに潜んでた」


「それで……この王都で何があったのか教えてくれないか?」


「…私が見た事を一から説明すると長くなる」


「いいから頼む」


「分かった。じゃあ話す……」



………………………………

………………

……


「ガハハハ、四天王炎孤のクーデル様が来てやったぞ!さぁ人間ども、俺様を楽しませてみせろ!」


「クッ!何だよコイツ、強すぎるだろ!?」


僕達が王都を立ち、しばらくして魔王軍が攻めてきたそうだ。

その筆頭にいたのは炎孤のクーデル。

奴は炎を操る事を得意とし、圧倒的な火力と馬鹿力でゴリ押しする四天王の中でも究極の脳筋だ。

数分の間、騎士団や冒険者を圧倒していたそうだが、彼女が来た事で戦況が一気にひっくり返った。


そう、この国で2人しかいないAランク騎士、炎帝エルファトクレスが来たことによって……


「やった!やったぞーエルファトクレス様が来られた!」


「俺たち助かるんだ」


彼女が到着した事により、騎士団達は完全に勝ち戦かの様に士気が上がった。


「貴方ですね?この王都を騒がせている不届き者は」


「そうさ、さっさとオメェも焼かれな!炎龍!」


しかし、その炎はエルファトクレスの炎によって相殺された。


「はん!てめぇが噂の炎帝か!良いぜ俺の炎とてめぇの炎どちらが強いか勝負して……」


「無駄です。貴方は既に死んでいますから……」


「わけ分かんねえこと言ってんじゃねぇぞ!」


そう言うとクーデルは炎を出す構えに入った。


「無駄だと言ったのに……」


「うるせぇ!黙って焼かれやがれ!獄炎龍!」


しかし、彼が前に出した右手からは何も出ない。 

よく見ると、いつの間にか自分の胸が無くなっていた。


「言ったんでしょう?既に死んでいると……」


「な…んで……いつの間に……」


それが四天王炎孤のクーデル最後の言葉だった。


「おおおおおおおお!すげぇ、これが炎帝の力」


「エルファトクレス様がいらっしゃれば、俺たちは無敵だ!」


「四天王なんて大したことないな!」


騎士団と冒険者達はお祭りモード。そりゃそうだ、四天王がいとも容易く討伐されたのだから。

しかし、彼等はこの後思い知る事になる。四天王の恐ろしさを……


「あら?貴方達は第二騎士団ですか?四天王クーデルの討伐ならたった今終わった所ですよ」


新たに戦場に来たのは第二騎士団の紋章をその鎧に付けた騎士達だった。


「ええ……エルファトクレス様、王城に来て欲しいのですが宜しいですか?」


「分かりました。すぐ行きましょう」


そこに、先程の戦いを見ていた1人の騎士が語り始める。


「いやぁ、第二騎士団の人達にも見せたかったよ、エルファトクレス様の素晴らしい強さ!四天王なんて所詮名前だけだな。テクストって奴もただの冒険者にやられたみたいだしな」


「……なんだと?今何と言った貴様?」


「だから!四天王なんて名前だけ、実際は大した事ないな」


その言葉を確かに確認した第二騎士団は、目を真っ赤にして襲いかかる。


「貴様!テクスト様の事を!」


「なんだ!?こいつら様子がおかしいぞ」


彼等は戦闘を始める。味方同時の筈なのにだ。


「おい!こいつらひょっとして操られてないか?」


「落ち着きなさい!私が無力化します……炎縄!」


エルファトクレスによって操られた者達は負傷をしながらも命に別状はなく無力化された。


「テクストめ!よくも我等が同僚達を操ってくれたな!」


「許さん……絶対に許さんぞ!」


テクストの捕縛、討伐に声を上げる騎士団。しかし、遥か遠くから更に人影が見える。


「あれは……一般人ですか?ですが、こんな所に来るなど怪しい。皆さん用心しなさい!」


「心配し過ぎですよ隊長、仮に操られていたとしても一般人に負けるはずがありません」


「そうですね……!?あれはメルシー!どうしたのですかこんなところで」


メルシーとはエルファトクレスの妹だ。彼女はまだ5つになったばかりで、エルファトクレスもたいそう可愛がっていた。


しかし、今こちらに向かってくるメルシーの手には包丁が握られている。


「お姉ちゃ〜ん。死んで?」


エルファトクレスは激怒した。血管を浮かべ、目に光は無く、しかし顔色は変えず。

まるで静かな炎の様であった。










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