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第七十一話 僕達の処遇





「久しぶりに帰ってきたな」


自国に戻ると安心感が込み上げてくる。

明後日には学校がある。みんなの顔を早く見たいと思いつつもひとつだけ懸念がある。


「宿題1ミリも手付けてないや」


だというのになんであろうか?この余裕っぷりは。後2日で30日分の宿題をやり切らないといけないというのに、何故こんなに落ち着いているのだろうか?


「フッ………吹っ切れたんだろうな」


良い笑顔で独り言を呟くとゆっくりと、なるべく残りのページを見ない様に夏休みの冊子を開いた。





………………………………………………

………………………

…………

国に戻ってからおよそ40時間。


「つ、ついに終わった……」

山積みになっている宿題をギリギリ終わらせられた。

後2時間で学校が始まるから、それまでの間少し寝てよう………




 

「ケインさん!ケインさん!!」 


扉の向こうからガルドの声が聞こえる。

……うるさいなぁ、もうちょっと寝かせてよ


「遅刻しますって早く起きてください!」


そんなはず……まだ寝てからそんなに経ってな……


「あと10分で後期始業式始まりますよ!」


「うっそ!」


その言葉を聞いて初めて時計を見る。


「あと10分で始まるじゃん!?」


「だからそう言ってるじゃないですか!!!」


ものすごいデジャヴを感じる。


「40秒で支度するからちょっと待ってて!」


宣言通り40秒で支度した僕はガルドの腕を掴む。


「あれやるんすね?」


「うん、行くよ。縮地!」


一瞬で視界が変わり、僕たちは学園の中にいた。


「間に合った……」


「こんな間に合い方普通ないですけどね」


「でもガルド、別に僕のことなんて見捨ててくれて良かったのに……」


「いや、実は俺も遅刻しそうだったので……もし良ければ縮地で連れてってもらえればと……」


……なるほど。


「まあ良いけどね」


こうしちゃいられない、早く始業式に行かねば。


「教室行くぞ!」


「はい!」


走っていけばなんとか間に合うはずだ。


しかし、僕達の前にアイツが現れた。


「お、お前は!?」


「クックックッ……こんな時間に登校とはなかなか良い度胸してるじゃないかぁ」


そう、僕達の道を阻む者はあの肉体改造部の部長、筋肉ダルマだった!


「なんですか?今忙しいのでまた今度で」


「ちょいと待ちな、今度は本気の俺を見せてやるよ。全力でかかってこい」


だめだこの筋肉ダルマ、話を聞かねえ


「だから!今から始業式が始まるので僕はもう行きますね」


「始業式?」


「あんたもあるだろうが!?」


なんなんだよ一体……


「いや、始業式は昨日だったじゃないか?」


「え!」


「あ!」


僕とガルドが冷や汗をかく。


「ちょ、ちょっと待ってください!?それって3年生だけじゃないですか?」


「何言ってやがる、普通に全学年あったに決まってんだろ。それよりさっさと始めるぞ」


そう言って先輩は勢いよく拳を振りかざしてきた! 



………………………………

………………

……


「ガルド!急いで職員室に行くぞ!」


「……(この筋肉ムキムキの人一撃で落とされて可哀想すぎるだろ……)」


僕とガルドが職員室につくと、鬼の形相をした先生が立っていた。


「無断で学校を休むとは……良い度胸をしてますね?」


ダメだ!並の謝り方じゃ許してもらえない


「……その、これには深い訳が……」


「……言ってみないさい。内容によっては考えてあげましょう」


やばい!忘れてたなんて言ったら半殺しにされる

そこでガルドが割り込んで話してくれた。


「実は俺達、クニトラでゴールドゴーレムと戦っていたんです……奴は強く、クニトラではとても迷惑がられていました。しかし、隣国とはいえ困っている人を見過ごすわけにはいかず、長きに渡る死闘の末、なんとか倒す事に成功したのです。しかし!俺達が結果帰国に遅れてしまったのも事実。どうぞ厳しい処分を!」


そう言って深々と頭を下げた。

おお!嘘を言ってない!しかし、許してもらえそうな理由だ!


「ふむ……そういうことなら雑巾掛けくらいで………」


ガルド!お前は神か!?

そう思ったが、そこにエルナが通りかかった。


「あら、お二人ともお久しぶりです。3週間前は大変でしたね。ゴールドゴーレムなんて討伐したの初めてでしたよ」


おい、お前余計なことを……


「3週間前?」


「あ、いや……これは」


「やはり貴方達には1週間校内の掃除をさせたほうがよさそうだ。課題も追加で出しますからね?」


「は、はい……」


神様は見ているのだと思った。





流石に短かったので1話にまとめました。


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