第六十七話 エクレア
4日目
は特に何事もなく登山をしただけに終わった。
5日目
「ふぅ、ふぅ、……やっと頂上に着きましたね」
骨折もすっかり治ったエルナが呟いた。
「すごくいい景色」
「はぁ……これは初めて見ましたけど、凄いっすね、雲が下に見えてまるで天界にいるみたいっす」
「あら、ここは別名天使の住む場所と呼ばれているのですよ?」
「本当に天界みたいだな」
見渡すと、地上を遥か彼方まで見通す事が出来た。
雄大な景色に見惚れていると、エネマが寒そうにして文句を言う。
「……何でこんなに寒いの」
「そりゃまぁ、高い所ですからね」
「高い所だからね」
「高い所っすからね」
「………高いの嫌い」
「まあ、そう言わずに」
数時間ほど山頂の景色なんかを楽しんだ後、僕達はゆっくりと下山した。
帰りは皆んな元気が無かったようだった。
「あっ!そうだった。ゴールドゴーレムの件をギルドに報告しておいたほうが良いよな?」
「そうでしょう。本来あんな所に出るはずありませんから」
僕達はこの国の冒険者ギルドに向かった。
「……ここが冒険者ギルドですか」
「デカイっすね」
ガルドとエルナは初めてだったようで、随分楽しそうだった。
受付の人に話しかける。
「あの、すみません。トラテクタ山でゴールドゴーレムが出現したので、討伐しておきました」
「はぁ……いるんだよなこういう人。嘘の報告をしてランク上げようとしてる不届き者がな」
おっと!なにやらダメな奴の予感…
「君達、知らなかったかもだけど、ゴールドゴーレムってのはAランクに分類される、人類でもトップクラスに強い人じゃないと倒せない魔物なんだよ?」
「はい、だからそのゴールドゴーレムが現れたんですよ」
「はいはい。そもそも君達ランクはいくつ?」
「えっと、エネマはCランク、僕はAランクです。他の2人は冒険者カードを持っていません」
「ぷっ!Aランク冒険者はこの国で1人しかいなんだ。分かったらあまり仕事の邪魔をしないでくれ」
そう言って、僕達を無視しようとした女が背後から突然頭を引っ叩かれる。
「コラッ!ちゃんと全部の報告を受けなさいと言ったでしょう?」
後ろに立っていたのはエクレア姉さんだった。
「あらっ!誰かと思ったらケインさんじゃないですか!?もう会えないかもと思っていましたが、こんな所で会えるとは……」
「エクレアさんじゃないですか!?エクレアさんこそどうしてここに?」
「実はつい先日私も昇進しまして、ギルド長に任命されました!それで今はここの支部で働いているわけです」
「なるほど……あのエクレアさん、本当に僕達ゴールドゴーレムを」
「倒したんですよね?大丈夫ですよ分かってますから」
「ギルド長!?本気ですか、こんなガキ共の言うことを間に受けるなんて……」
「アステナ、貴方にはお説教がありますから覚悟してなさい」
「は、はい…」
「それでは、申し訳ないのですが討伐証明としてギルドカードを……Aランク魔物を討伐した際には見せていただくのが義務となっていますので」
「ああ、はいどうぞ」
ギルドカードを見せるとアステナが叫んだ。
「は、はぁ!?本当にAランク冒険者なの!?マジか……あのこのままこのギルドで活動していくんですか?それなら是非私を専属に……」
するとエクレアさんが冷えた目で彼を見つめ低いトーンで喋りかける。
「アステナさん?貴方は暫く黙っていなさい」
「ちょ、ギルド長。こんなところでAランク冒険者を見逃していいんすか?」
「まず、冒険者をランクで差別しようとするその感覚を捨てなさい。さもないと給料下げますよ」
「だってここでこの人達を味方につけておけば私達の昇進は……」
「いい加減にしなさい!」
そう言われて別室に連れて行かれたアステナは戻ってくることはなかった。
「さ、それでは報酬をお渡しします」
「あれ?魔物倒しただけなんですけど」
「あの魔物には討伐依頼が出ていたんですよ。だから、依頼を受注してはいませんでしたが、せっかく討伐報酬があるので貰ってください」
「……わかりました」
「4人で山分けで良いよね?」
「ええ構いません」
「うん」
「はい」
こうして僕達は旅の途中にそこそこの大金を手に入れた。
執筆が遅くて申し訳ないです




