第四十七話 再会
「おかしいですよ。いつもは入試成績1位の人が代表挨拶するはずなのに…………」
「まぁまぁ……」
入試首席で合格してしまった僕。
だが、幸運な事に代表挨拶は免れた。
今年の代表は勇者様である。
国の人達は皆んな勇者様が首席だと思っていたはずなのに、なんと次席。
おそらく、学園が始まって以来、今まで変えてこなかった、首席挨拶の風潮を変えてしまって良いのか。とかそんな議論はあっただろう。
しかし、初めから代表挨拶は誰にするか決まっていたみたいだな。
今日は合格発表と教材配布、そして、専攻の選択だけだから午前中で終わる。
学園長の長めの話も終わって僕は宿に戻ろうとした。
そこで、懐かしい人が声をかけてきた。
「ケイン!」
「あっエネマ!?」
「ケイン久しぶり。ケインなら受かるって信じてた」
「エネマも久しぶり。学園は楽しい?」
「うん。楽しい。それよりケインこそ…………」
積もる話もあるので僕達は宿で話す事にした。
…………………………………
………………
………
どうやらエネマも友達と楽しく授業を受けているみたいだった。
「ケイン……あのね、私先生になりたい。この学園で色々な先生を見てきた。皆んな強くてカッコよくて……私もあんな風になりたい。どうすればなれる?」
「学園を卒業した生徒の中で先生になる人はそんなに多くはないよ。まずはエルディナ学園で上位の成績で卒業しないとね」
そんな話で盛り上がる事5時間。気づいたら深夜になっていた。
「そうだ、僕は明日故郷の街に戻らないといけないんだった」
「そっか……じゃあ学園に来たら真っ先に私のとこに来る!」
「分かったよ。じゃあまた来週ね」
そう言って僕はエネマと別れた。
翌日、なんとガルドが見送りに来てくれた。
「け、ケインさん!昨日宿に連れ込んでいた女性は上級生のエネマさんですよね!?」
「へーよく知ってたね。そうだよ」
「一体どうやって仲良くなったんですか!?高嶺の花って言われて学園中の男子から狙われてるのに誰とも付き合わないことで有名だったのに……」
エネマそんな事になってたんだ……
「いや、故郷の友達だったんだ」
「なるほど………あくまでシラを切るつもりと……」
「別に嘘ついてないよ?」
「誤魔化さなくても良いんです。昨夜宿に入っていき、外に出てきたのは何と5時間後!若いし2人は体力ありそうですけどあれは流石に…………まぁ、なんていうか……俺は応援してますよ」
勘違いも甚だしかったので、1発ローキックを決めてやった。
学園生でケインを男だと勘違いしている人はまだまだいます。
しかし、この3年でケインの髪も伸びてきたので女の子だと分かる人も増えてきました。
本人は両親から男っぽくしろ!と言われて育てられた自分がコンプレックスでした。
ケインも女の子らしい服を着てみたいようです。




