第三十九話 報酬
王城には立派な石像や骨董品が置かれていた。
あまり興味のない世界だが、なんかの間違いで壊したら、と思って緊張してしまう。
僕達は大きめの扉の前に立たされると、
「王様がお呼びするまで、暫しお待ち下さい」
と言われて、ガッチガチになって突っ立っていた。
1分ほどして、中からいかにも威厳のありそうな声が聞こえてきた。
「入れ」
扉がゆっくりと開く。
それを合わせてゆっくりと入る。
玉座に座る小太りのおじさん。
それを取り巻く数人の執事やメイド。
さらに周りには高価な服をきた人達が沢山いる。
おそらく貴族だろう。
「うむ。冒険者ケインに、冒険者パウロ、そして、今はおらぬが冒険者ガンジス。主らは魔王軍四天王マニピュレイターのテクストを命懸けで討伐した。大変大義である!よってここに報奨金金貨500枚と、片手剣メルトレクトと、杖ミラジュラントを授ける。今後とも魔王軍との戦いにより一層励むが良い」
「「ははっ!」」
その言葉と同時に周りの人達が拍手を始めた。
………長いな、いつ終わるんだ?
たっぷり1分ほど頭を下げ続けた僕らは顔をあげると、使いの人が武器と金貨を渡してくれた。
「えっと……これで終わりですか?」
小声で使いの人に聞く。
「いえ、この後英雄様を労うパーティーが行われます」
もうとっくに疲れはないんだが……
「それではこれよりパーティーを始める。皆好きなように食事をするが良い」
王様の合図により、カーテンで隠れていた音楽隊が現れて演奏をし始めた。
それと同時に沢山の人が僕達によってくる。
やれ、どのようにして倒したのかとか、どんな能力を使ってきたのかとか……
それまでは良かったんだ。
だが、恋人はいるかとか結婚の見合いをしないかとか、あからさまに政治の話が入ってきた。
これだから、貴族相手は嫌なんだ。
おっと!よく見ると学園で僕の事を馬鹿にしてきた黒髪チビがいるな。
こちらが視線を送ると気まずそうな顔をしてきた。
すると、強引に僕と見合いをさせようとしてきた貴族がいた。
「その方も我が娘と結婚すればお金には苦労しません。どうです?ここは1度会ってみるだけでも……」
しつこいな!ていうか僕男じゃないから……大体お金なら今金貨500枚貰ったから……
いい加減怒ころうかと思ったその時、
「ケイン殿は疲れているようだぞ?話もいいが、一度休憩するべきではないかね?」
助け舟が現れた。
「クウガさん!」
「やぁ、久しぶりケインく……殿」
「あ、これは失礼しましたクウガ殿ここではなんですから人が居ない所に行きませんか?」
「そうしましょうか」
推しよる貴族供はパウロに任せて僕はクウガさんと久しぶりに話した。
「クウガさんって貴族だったんですね!びっくりしましたよ」
「それを言うなら、君が女だった事に気付かなかったよ。この前は悪かったね」
「いえ、別にいつも勘違いされるので気にしていません」
「待てよ……そうなると男の僕と女の君が2人きりで出て行った事で変な噂が立てられるかも……」
「大丈夫でしょう。僕なんかあのパーティーの場でも男だと思われましたから、剣術の指導でもしてたと言っておけばどうとでもなるでしょう」
「……そうだね。そうしようか、やろうよ模擬戦」
「え、本当に!?」
「ああ、あの頃から1年……君がどれくらい強くなったのか見てみたいんだ。まさか四天王を倒すほどになっているとはあの頃の僕も思っていなかったけどね」
「それなら僕にメリットを……」
「今回は秘匿されてるEランクスキル、『縮地』を教えるってのはどうだい?」
「是非お願いします!」
50話くらいまでには第1章終わらせたいですね




