第三十四話 各報告
冒険者ギルドに戻って僕とパウロは事の顛末を伝えた。
「ええ!し、四天王があの遺跡に!!!すぐに国に連絡しなくては……ええ!!!もう倒した!!
す、凄いですよケインさん、パウロさん。これならBランク……いえ、Aランク冒険者も夢じゃないですよ!」
嬉しそうなお姉さん。
そうだな、僕達は凄い事を成したんだよな……
他人事の様に聞いていると、パウロが言った。
「あの……僕は操られて何も出来なかった……と言うかむしろ足を引っ張っていたので、その、討伐者の名前に僕は入れないでください。代わりに……」
「死んだ……ガンジスの名前を入れてくれないでしょうか……」
お姉さんは空気を読んだ様だ。
「当然です、そしてごめんなさい。はしゃいでしまって……そうですよね……ガンジスさんがケインさんを助けてくれたんですよね……」
涙を抑えたい。でも抑えられない。
ガンジスのことを思い出すと……
「今日は宿に帰ってゆっくり休んでください。明日また事情を伺いに行きます」
お姉さんに言われてパウロと帰った。
宿の前でパウロが僕に言ってきた。
「ごめん!僕の軽はずみな行動でガンジスを殺してしまった……悪いのは僕だ…」
「そんなことないよパウロ。だから謝らないでくれ」
「いや、それじゃあ僕が僕を許せない。殴ってくれ思いっきり」
「そんな訳にはいかないよ」
「頼む」
「……分かった。じゃあ1発だけ……」
僕は心のどこかでパウロを恨んでいたのだろうか?それは僕自身にも分からないな。
でも何故だか……
「グゥッ!」
パウロを殴った後の僕は何か吹っ切れたような気分だった。
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…………
「おいおい、月に1度の定例会議だってのに……何で四天王が1人来てないんだよ」
「テクストねぇ……あいつまた女の子を操って恥ずかしいことさせて、解放させてあげるって言った後に痛ぶり殺すゲームやってるんじゃない?」
「四天王のくせに……自覚の甘い奴だな……」
3人はお菓子を食べながら楽しそうに話している。
そこに、メイド服を着たドライアドが現れた。
「その件でご報告申し上げます。四天王マニピュレイターのテクスト様が敗北しました」
「へぇそうなんだ。勇者?」
「いえ、Cランクの冒険者2人にです」
「フッ、テクストめ……弱い弱いと思っていたが、あいつCランクに負けたのかよ。ほんとに雑魚だな」
「所詮奴は四天王の中でも最弱……四天王の面汚しよ」
「いや、いくらなんでもただのCランクに負けるなんてことはないだろう。そいつが強かったのだろうな。その2人の名前を教えろ」
「はい。片方はケインという小柄で銀髪の片手剣使い。もう片方はガンジスという、大柄で金髪の大剣使いですが、こいつは先の戦いで死にました」
「そうか……ならばそのケインという冒険者に懸賞金を懸けろ」
「承知しました」
「……警戒し過ぎじゃ無いの?」
「所詮Cランクだろ?」
「テクストはあんなだが、一応四天王だったんだ。ならば奴、ケインに勝てるのはこの魔王軍で我ら3人と魔王様だけであろう?」
「ま、それもそうだな」
「覚えておくよ。銀髪のケイン君ね。楽しみだなぁ……今度のおもちゃは壊れないといいなぁ」




