第三十一話 遺跡
「遺跡の調査………ですか」
「はい。今回ケインさんには新しく見つかった遺跡の調査をしてほしいのです」
遺跡と言えば、古代人が作った謎の建物であり、その中には長年人が使わなかった分、たくさんの魔物が生息しており、中にはすでに生態系を作っている所もある。その代わり、様々な宝物やアーティファクト、武器が眠っていそうだが……
そんな特殊な調査にCランク冒険者を雇ってもよかったのだろうか?
「正確に言えば、今回見つかったのは新しい遺跡というわけではなく、すでに発見されている遺跡の未発見部分です」
「ああ、なるほど」
そういう事は稀にある。既に見つかった遺跡で、魔物を倒す、もしくは取り逃がされた宝物を求めて探索する冒険者は、山ほどいる。
しかし、それなら何故見つけた冒険者はひとりじめしなかったのだろうか?
その事を尋ねると発見した冒険者が、ケインさんを指名依頼した、と教えてくれた。
「僕が指名依頼される心当たりなんて無いんだが……」
不思議に思いながらも待ち合わせの場所で待つこと10分。
「悪い、遅れて」
どうやら例の冒険者が到着したようだ。
「いえいえ、まだそんなに待ってな……ガンジスじゃないか!」
そう。そこにいたのは、アークデーモンの調査の際にお世話になったガンジス君だった。
「お、ケインか。俺を指名依頼したのは」
「は?え、いや違うけど……」
「ええ!じゃあ誰なんだ?」
「僕だよ」
急に2人の会話に混ざる男がいた。
「っておお!パウロじゃん、え、遺跡見つけたのって……」
「そう。この間遺跡に入った時に偶々見つけたんだけど……流石に1人で探索するのは危険だったから……僕の記憶にある中で1番強靭な肉体を持つ2人にお願いしたかったんだ」
1番強靭な、というところで僕もガンジスも照れてしまった。
「なるほどね、事情は分かったよ、早速行こうぜ買い出し」
僕達は話を済ませ、一通り必要なものを揃えると早速遺跡調査に向かう事にした。
遺跡に入ってしばらくすると魔物が現れた……が、この程度の魔物なら僕の投石で、楽に葬れる。
Eランク魔物のミニレッサーヴァンパイアだ。
成体になるとDランク魔物になるが、おそらく成体も倒せる。
投石だけで奥まで進んで行くこと2時間……
「なぁ?未だ未発見部分には着かないのか?」
「はい。まだです。そんなことよりケインさん、貴方とエネマさんはどういった仲なのですか?」
「ん?まぁ仲良しかな。と友達以上ではある」
友達以上親友以下くらいだろうか
「仲良し……友達以上……そんな訳……エネ……ま」
徐々にブツブツと呟き始めるパウロ。
その様子を見て、ガンジスも普通じゃないと思ったのか、
「おい、パウロよ。お前がエネマの事好きなのは分かるが、落ち着けよ。別にケインとエネマは恋人じゃないって言ってんだからよ」
おい余計な事言うな!
というか恋人な訳ないだろ。何言ってんだよ……
「じゃあ……どうして最近は2人っきりでよく会っているのですか……?2人がそういう仲だからじゃないんですか!!!」
「別に僕は、女の子の事好きになったり……」
「黙れ!」
直後に僕の言葉を遮った言葉はとんでも無く大きな声で耳が壊れそうだった。
「おい!パウロ!今は遺跡の調査中なんだ。良い加減にしろ!」
ガンジスが流石に怒ってくれた。
すると、パウロは笑い出した。
それはもう楽しそうに……
「ああ、遺跡の調査?……そういえばそんなんだったな……ふふふ」
「おい、こいつ様子がおかしいぞ」
パウロは叫び出したあと、急に魔法を僕達に放ってきた。
「させるかよ」
魔法が直撃する前に、投石で相殺して、一瞬でパウロの元に近寄った。そのまま首をトンッとしたら気絶した。
「コイツ……どうしちまったんだ!?」
「前のパウロはこんな事するやつじゃなかった」
「そうだよな……いくらエネマが好きでもこんな事はしなかった」
「とりあえず、おかしな事が多すぎる、遺跡の調査ってのも本当かどうか怪しくなってきたし、ここはひとまず撤退して……」
その時、背筋に悪寒が走った。
「へ〜。中々悪くなさそうじゃな〜い」
後ろに何かいる。僕もガンジスも気づいた。
「おい……お前は誰だ?」
「人に聞く前に、まずは自分から名乗るのが先じゃないか〜い?」
「冒険者のケインだ……」
「同じく……ガンジスだ」
「うんうん。僕の威圧にも耐えてるし、それなりに強そうだね君達ぃ……」
「じゃあ約束通り教えてあげよぉ」
静かに後ろを振り返る。
まるで僕達が、その姿を目にする事を許してもらえた合図のように……
「僕はね、魔王軍四天王、マニピュレイターのテクストだよぉ」
名前 テクスト
Lv 76
体力19762(14762)
魔力20530
筋力1500(500)
速度14609
肉体硬度16382
魔力強度30420(20420)
幸運値102
スキル
操作
縮地
吸血
栄養保存
剛力
魔泉
ステータスボード
称号
魔王軍四天王
作者のネーミングセンスが壊滅的なので、不満があったら言ってください。
ストーリーは特にいじらないと思いますが……




