番外編(地球) 久しぶりに
「ち、違うんだ!この山には俺の研究を狙う下賎な輩が入り込んでくる事があるんだ!君もそういった輩のうちの1人だろうと思ってしまい、つい攻撃してしまったが……ただ俺は静かに研究が出来ればそれでいいんだ」
「僕がそう見えたのか?自分で言うのもなんだけど、普通の女の子にしか見えないだろ?しかもなんで銃撃つ必要があった?明らかにオーバーだろうが」
「俺は外部との繋がりを完全に絶って研究してるんだ!だから君にこの山を生きて帰られると不味かったんだよ。もし君が偶々迷い込んだだけの一般人だったとしても、この場所がバレるという事自体が問題なんだ」
ケインは考える。
(仮にそれが本当だとして、そもそもこいつの技術力がありながら何故こんな山の中で研究をしてる……?きちんとした設備があれば、もっと研究も捗るだろうし何をしたいのかがよく分からん……)
眼鏡の男の言う事を完全否定は出来ない。
先程まで銃撃を受けた事に対して怒りの色を見せていたが、冷静に考えればここには情報を集めに来たのだ。
ここでコイツを殺したり、下手に敵対して得られる情報を逃すのも考えものだ。
「質問に答えろ」
「は、はい」
「お前は何故こんなところで研究をしている?」
「だ、だから俺の研究内容を狙ったゴミどもが寄ってこない様に……」
「それが理由なら、デメリットの方が大きくないか?きちんと公に発表した上で防衛設備の整った場所で研究をすればもっと楽だし確実だろう」
「それだと他にも研究従事者を雇う事になっちまう!」
「それの何が問題だ?人手が増えて寧ろ助かるだろ?……人に言えない様な研究をしてる……とかか?」
「……」
正直ケインはこの時点でほぼ確実に写真の件と関係があると思っている。
問題なのは、この眼鏡の男が敵か味方かである。
こんな所で人知れず研究をしており、近くで怪しげな写真が撮られており、尚且つこの慌てよう……
どう考えてもドン・ステラ絡みの敵だと思うが、状況証拠だけで間違い無いと言うこれが無い。
1%くらいは本当にただ人里離れて研究をしている変わり者という可能性も否定できないのだ。
こちらの情報と目的を明かしてしまうのも癪だが、このままでは話が進まない。
「まぁ、いいや。ところでこの写真について知ってるか?」
と、ケインは例の写真を見せた。
「……知らないね。これは最近話題のモンスターの一種かな?」
「……まぁ、多分そうだろうな。でも僕らはこの写真に写ってるのはちょっとレアなものだと思ってる」
「レア……?と言うと………。!ああ、なるほど。確かに今まで人型のモンスターは出た事がなかったね。という事はこれはモンスターでは無く別の何か……という可能性もあるのか!」
「大体察しの通りだ。僕は今お前がそれに関わってると思ってる」
「は、はぁ〜!?違うよ!違う違う!僕の研究内容は山と魔術を用いた再生エネルギーだよ」
「さい……せいえねるぎー?……まぁ研究内容はよく分からんが、それならお前の研究してる場所に連れてってくれ」
「分かったよ、着いてきて。僕も君に聞きたい事があったからね」
そう言って眼鏡の男は歩き出した。
ケインはその後をついていく……が、もう夜になっている事もあり、空は真っ暗である。
足元と背後に気を付けながら歩いていた。
数分程して突然眼鏡の男は立ち止まり、下を指差した。
「ここだよ」
「ここ?……どういう事だ?」
「この辺りの土を避ければ……ほら」
「ああ、隠し扉と地下室か」
「さあ、入って入って」
「じゃあ遠慮無く……」
ケインが扉の中に入った途端、眼鏡の男は隠し持っていたリモコンで扉を閉める。
そして、中には毒ガスが流れ出した。
「ハハハ!馬鹿め!本当は生け取りにしたかったが仕方が無いな。悪く思うなよ?これも俺の研究と我が神アスタル……」
「まぁこんな事だろうと思ってたよ」
「……は?なんで……外にいる?」
「お前がさっき言ってたんじゃん。瞬間移動がどうとかって」
「あ……あぁ……」
「あと、さっきから外部との繋がりを絶ったとか言ってたのに、妙に最近のモンスターの事に詳しかったり。ずっときな臭かったよ。これで警戒しない方が馬鹿だろ」
「あははは!」
「どうした?狂ったか?まぁそれは元からか」
「お前はこの罠に掛からないというのは計算済みだよ。その上でダラダラと歩いてたのはこのための時間稼ぎだ!」
突然空から大男が降ってきて、ケインに襲いかかった。
「やれ!デカブツ。その女を殺せ!」
「ウガアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」
「うるせぇな。まったく……お前らはどうしてそう勝ち誇るのが早いんだよ」
大男は目からビームを出した。
不意の攻撃ではあったが、そこはケイン。
戦闘中に気を抜く様な事はないのだ。
素手で殴り返して相殺する。
……が、思ったよりも火力が高い。ケインの剣撃より少し速いし重い。
ケインは縮地して一気に距離を詰め、大男に殴りかかる……が、それは受け止められて逆にカウンターを喰らってしまった。
(マジかよ……攻撃力、スピード、耐久力、反射神経……僕と互角かそれ以上!)
「良いね、久しぶりに楽しめそうだ」




