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番外編(地球) 捜索


「つまり、キュウの目的はエネルギー源だったのです。結界の」


「ああ!そうか!キュウは人の魂のエネルギーを吸収する事が出来る!だからそれを利用して膨大な結界のエネルギーにしてたって事か!」


田中の説明により、ようやく恭弥が理解した。


「憶測の域は出ないけど、それなら病院の人達のエネルギーがピッタリ同じだったのも辻褄が合う」


「そういえば……病院でキュウの被害者は半数近く死んでいたのにエネルギーの総量としてはプラマイゼロだったね」


「でも、ドン・ステラが自身の強化の為に魂のエネルギーを使った事が原因で少しエネルギー量が減っていたんですよね?」


「あの時はそうやって結論づけたけど、やっぱりおかしいよ。冷静に考えたら近隣の村や街では既に亡くなってる人が多数居たんだ。その人達から奪った分全部合わせたら流石に余る筈だよ」


「……たしかに。いや、もしかしたらキュウのエネルギー吸収や付与にはロスがあるのかもしれない。それなら説明がつく」


「その可能性もある。そうなると結界云々の話は全部振り出しに戻っちゃうからやっぱり手がかりは無くなる。……し、そもそも殆ど全て憶測だからね。長崎県が怪しいとは言ったけど、他にも怪しい県なんて幾らでもあるし、海外とかに逃げれられてたら何の対処も出来ないしね」


そう、ケインのこれまでの推理は推理というにはあまりにも決定力のない憶測ばかりなのだ。

実際のところ、黒幕が長崎県にいる可能性は、五分五分どころか十分の一程度だろうと予想している。

そして、カモフラージュの為に結界を使っているという説や、キュウのエネルギーを何らかの方法で利用しているというのも全て証拠がない。


だが、ケイン的には海外にいたのなら、それはそれで構わない。

こちらから攻勢に出る事も出来ないが、向こうからも簡単には手出し出来ない……と考えている。

黒幕からすれば、ケイン達の存在が邪魔なので、これ以上大きな行動は起こせない。

ならば、暫くは鳴りを潜める。

国内にいるにしろ、海外にいるにしろ、暫くはこちらが警戒せずにいられるのだ。

ならば、この隙に動く方が得だ。

多少無理筋な推理でも、何もしないよりはマシ。


そう考えての行動であった。


「だからあんまり期待しないで。何もしないよりは良いでしょくらいの気持ちだから」


「まあ、他にやる事ないしね」


「それで?私達は何をすれば良いのですか?」


「テレビで怪しい速報とかがやってたら連絡してってとこかな」


「ふむ、分かりました。それは任せてください」


ケインはまだまだ文明の機器に弱い。LINEが使えるようになったとはいえ、ニュース番組やラジオから情報を仕入れるのは少し苦手なのだ。


田中も最近まで惑星ジムダにいた上、もう年なので苦手と言えば苦手なのだが、ケインよりは使える。


「じゃあ俺は……」


「恭弥には他県のローカルな情報を集めて欲しい。もし全国ニュースレベルじゃなくても黒幕がボロを出したら何かあるかもしれないし」


要するに、広い範囲で浅く調べるのが田中。狭い範囲で深く調べるのが恭弥というわけだ。


しかし……


「相当重労働だよそれは。正直俺1人だと厳しいかも……」


「大丈夫、助っ人を呼ぶから」


「助っ人……?」



………………………………

………………

……



「困っている人がいたら〜」


「誰であろうとどこであろうと駆けつける!」


「それが私達!」


「「「魔法少女プリティーキューティクルズ!!!」」」


何だろう……頭痛が痛い。


「ケイン、彼女達は?」


「北海道で知り合った……魔法少女?」


「プリティーキューティクルズです!」


「……だってさ。……そんな嫌そうな顔しないでよ恭弥」


恭弥はケインにだけ聞こえるような声で話す。


「いや、俺こういう人達苦手なんだ。その……嫌いじゃないけど馬が合わない」


「気持ちは分かるけど良い奴らだから。きっとなれるよ」


恭弥としては、どうしても嫌というほどでは無い。無いのだが……


「やはりできれば避けたい」


「そんな事言うなよ。確かに魔法少女を自称してる変わった奴等だけどさ、話してみれば案外気が合うかもよ?」


「……そこまで言うなら」


恭弥は3人の方を向き直し、言う。


「よろしくお願いします」


「こちらこそ」



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