番外編(地球) ケインと魔法少女達㉒
その後もドン・ステラへの尋問は続いたが、完全に記憶を消されているらしく得られる情報は何も無かった。
「……というわけで、結局黒幕が誰なのかすら分からなかったよ、日向」
僕は明日退院だという日向の所に行き結果を報告した。
「……それって、ドン・ステラが嘘をついてるとかは無いの?」
「あり得る……と思ったんだけどねえ。そこの判別がつかないんだよ。本当に記憶を無くしているのか演技なのか」
「演技だとしたら?そもそも黒幕なんて本当はいなかったとしたら?」
「ああ……成る程。その線もあったか」
「もしかしたら、ドン・ステラは架空の黒幕を作り出して、自分がその黒幕に始末されてもおかしく無いっていう状況を作り出したかもしれないよ?ケインを演技で騙す為に……」
ケインは少し考える素ぶりをする。
たしかに辻褄は合っている。
黒幕の存在について口を滑らしたのもケインがドン・ステラを倒す直前にである。
だが……
「いや、ごめん。やっぱりそれは無いと思うよ。だってドン・ステラが黒幕を仄めかしたのはたしかに僕に倒される直前だけど、僕があの星の人間だって事は知ってた。って事はドン・ステラにそれを教えた奴がいるはずなんだ」
「そっか……ん?あの星?」
「ああ、日向にはまだ言ってなかったな。僕はこの星の人間じゃ無いんだよ。別の星から来た所謂異星人ってやつだ」
「へえ……」
「あれ?驚かないのか?」
「うん……なんか、もう吹っ切れてきた。逆に宇宙人ってほうがケインにはしっくりくるかも」
だが、日向は宙を見つめてハハッ……と乾いた笑いをした。慣れたというより、どちらかと言えば放心してるに近い。
「失礼だな、僕をなんだと思ってるんだ」
「それより、ケインはその……自分の星に帰っちゃうの?」
「いいや、無理だ。僕は今その方法を探ってるんだよ。あいにく帰れなくて困ってるくらいだ」
「そう…なんだ。じゃあさ、退院したら4人で遊びに行かない?」
「良いよ。どうせ暫くは帰る方法も見つからなさそうだしね」
「……見つかると良いね」
「うん」
……と、ちょうどその時病室のテレビで速報をやっていた。
「速報です。沖縄でネッシーの様な怪物が発見されました。ネッシーによく似た怪物は民家を破壊しながら進んでおり、あちこちで少なくない被害が出ています。警察も手を出せず、自衛隊が出動の準備を……」
「…………まさか……」
「悪い、ちょっと行ってくる。沖縄ってどっちだっけ?」
「え!?えーっと南西だから……あっち」
日向が指差すとそっちにケインが向く。
「『縮地』!」
「……行っちゃった」
その直後に、鈴菜と日奈子が病室に入ってきた。
「体調はどう?日向?あれ、ケインは?」
「なんか沖縄に行っちゃったみたい」
「マジか」
「明日はカラオケに行く予定だったのに……」
「ま、それがケインだしね」
3人はスマホで一応ケインにメッセージをいれた。
明日の約束は破られるだろうが、3人の魔法少女は遊ぶ事を諦めない。
それが彼女達魔法少女なのだ。




