番外編(地球) ケインと魔法少女達⑰
「ムフフフ、見なさい、これが儂のフルパワーです!」
ドン・ステラは魂のエネルギーを完全開放させる事で更に力を上昇させた。
「ムフフフ、私の計画はシンプルです。この圧倒的な力をもって、この国を支配する!」
「……」
「ムフフフ、驚きで声も出ませんか?それも仕方が無い。これだけの力を目の当たりにしては……ね」
「呆れて声が出ねえだけだ」
「ムフフフ、強がりを。行きまー」
「遅ぇよ」
「何っ!?」
ドン・ステラが何かを仕掛けようとする前にケインが先に動き出して、ドン・ステラを殴り倒した。
「グハァッ!」
ドン・ステラは反応する事が出来ず殴られた肩を痛がっている。
肩からはかなりの量出血をしており、明らかに折れている。
これでは右腕は上がらない。
「あ、あぁ……儂の……儂の腕がァァァ!!!」
「おい、こんなもんで済むと思うなよ……お前にはもっともっと地獄を味わってもらおう」
「ハァッ…ハァッ……な、何をした?この儂が反応出来なかった……だと?」
ドン・ステラの本来のステータスは概ね3000くらいである。
素のステータスが全て余裕で10万を超えるケインとはとてもまともに戦えるレベルでは無いのだ。
ドン・ステラも、当初は日本征服等考えてはいなかった。ドン・ステラのステータスは一般人と比べてかなり高く、日本人の平均的なステータスが300程度な事を考慮すると、かなり高いのだ。
とはいえ、単独で日本をひっくり返せる様なステータスではなく、銃火器を出されたら呆気なくやられてしまう。
だが、ドン・ステラは時々発生する弱い魔物を独学の魔術で瀕死にして捕まえては、『改造』を施していく中で、偶然にもキュウという可能性を手に入れてしまったのだ。
噛み付いた相手から魂のエネルギーを吸収、そして吸収したエネルギーを体内に溜め込み、自由に扱える様に出来るキュウさえいれば、自身にそのエネルギーを付与して超強化する事が可能だ。
ドン・ステラはキュウを改造し続けて、唾液に中毒性を持たせたり、快楽効果を持たせることに成功した。
その過程でキュウと同じ種族である角ウサギな沢山犠牲になった。
それでも完成したキュウの事をR型と名付けて、偶然作った不死性が高く見えない毒をばら撒くワイバーンとコンビを組むことで、効率的に魂のエネルギーを回収していたのである。
過疎化した街の上空からワイバーンが毒をばら撒き、影響が出始めたら街の人にキュウが噛みつき、痛みを快楽に変え、その噂を聞いた他の人も自ら噛みつかれに行くという具合だ。
それで何百人もの魂のエネルギーを回収したが、問題があった。
魂のエネルギーの付与は危険性がある事は承知していたので、魔物で実験をしたのだが、あまりに膨大な量の魂のエネルギーは身を滅ぼすという事が発覚した。
ドン・ステラは自らに付与する魂の量を上手く調整して、自滅しない程度のパワーアップに成功したのだ。
それでも、ステータスは大体6万程だ。元の数値なら20倍と考えればかなりのパワーアップではあるが、やはりケインと倍以上は差がある。
「こんな……馬鹿な!」
「馬鹿はお前ださっさと降参するなら警察に引き渡すだけで済ませてやるぞ」
一発殴られただけで、絶対に勝てない相手であるも理解したドン・ステラは早くも最後の手段に手をつけようとしていた。