番外編(地球) ケインと魔法少女達⑯
ドアを開けてそっと入る。
靴のまま玄関を上がり、そのまま物音立てずに進んでいく。
中もやはり普通の民家といった感じでこれといって不自然な場所は無い。
電気は付いているのに、誰かがいた形跡すら無い。
リビングはがらんとしているが、何だか嫌な感触がそこら中を漂っている。
小声で鈴菜が話しかけてくる。
「2階……かな?」
「いや……下から行こう」
「下?……あっ」
ケインが指差した方向には台所があった。
ぱっと見台所も普通の台所だったが、よく見ると絨毯で何かが隠されている形跡がある。
絨毯をめくると下から地下への入り口が出てきた。
「これは……ワインセラー?」
「に偽装してるんだろうな。万が一誰かが入ってきても誤魔化せる様に」
まだ入ったわけでは無いが、この先にドン・ステラがいるだろうという確信があった。
慎重に開けて、罠が無い事を確認するとケインが先頭で中に入っていく。
案の定、ワインセラーの様に見せかけていたが、階段を降りていくとかなり広い空間があった。
彼方此方に色のついた水槽や、大きなゲージがあり、中にはケイン達の星の魔物が閉じ込められている。
その中にはキュウと同じ様な見た目のうさぎ型の魔物が沢山いたが、そのほとんどが体がボロボロになっていて、中には死んでいる個体もある。
ケイン達を見るなり弱々しく鳴くが、その元気も無いのか、すぐに倒れて動かなくなる。
「ひどい……」
「成る程な。ここで自分達に都合の良い様に魔物を改造してんのか」
「一体何の為に……?」
「そもそも、何をすればこんな風に魔物を改造なんて出来るんだ?」
「ムフフフ、教えて差し上げましょうか?」
「っ!?」
暗い地下室の奥からコツンコツンと足音が聞こえる。
奥からドン・ステラが笑いながら登場した。
「君達がラブ・パワーと呼ぶ力、オリジナルスキルだが、鷲のオリジナルスキルは『改造』なのだよ」
「……やはりそうか」
ケインからすれば、スキルにまで影響を与える様な改造の仕方などオリジナルスキル以外に考え付かなかったのだ。
「かい……ぞう?」
「まあ、名前から察するに魔物を好き放題改造する事が出来るというスキルだろうな」
「ムフフフ、好き放題ではありません。ランダムに……です」
「ランダムに?」
「このスキルの不便な点として、自分の望んだ通りの改造結果が得られないというところにあるのですよ。1度魔物を改造するのにかなりの負荷をかけて改組するのですが、得られらるスキルはランダムなもの1つだけ……」
「そりゃあ不便だな。で、だからこれだけの数の魔物を使って実験したって言うんじゃ無いだろうな?」
「ムフフフ、実験に失敗は付き物ですよ。そもそもケイン?貴方達の星でやっている事と何が違うのです?貴方だってゴブリンを虐殺していたのでしょう?」
「っ!?貴様……何故それを」
「ムフフフ、知りたければ……わしを倒してからにする事ですねえ!」
ドン・ステラは不敵に笑い強く発光し始めた。
「ハァー!!!!!」
全身から力が溢れ出て、魔力も漏れ出ている。
「ムフフフ、これが魂のエネルギー……やはりあのR型を成功させたのは大きかったですねえ」
「R型って……キュウのことか?」
「ええそうですよ」
「キュウも……酷い目に合わせたの?」
日奈子が殺意を向けながら問う。
「酷い目……ですか?知りませんねそんな事。まああの魔物もあと2、3回改造したら死ぬかもしれませんね」
力を手に入れて調子に乗っているのか、ドン・ステラは挑発する。
その言葉がケイン等の敵意を一層強めたのだった。




