番外編(地球) ケインと魔法少女達⑭
ケインを背負って2人は石の行く末を追っていた。
「それにしても……ケインって一体何者?」
「初めはサイクロプスのモンスターと戦ってたんだよねー。あの時から身体能力が馬鹿みたいに高いからそういうラブ・パワーかなぁと思ってたけど……」
「その後『縮地』を使う様になって、つい最近まで瞬間移動が何かのラブ・パワーだと思い込んでいたわね。でも、この『投擲』?ってのは何なのかしら?1人でこんな事が出来るなんてどう考えてもおかしいわよ」
2人はずっと疑問に思っていた事を口にした。
鈴菜達3人ももう分かっていたのだ。自分達がラブ・パワーと呼ぶものは本当はオリジナルスキルである事は。
そして、大半の人はオリジナルスキルを入手出来ないし、入手しても1人1つまでである。
「考えられるとしたら、スキルを増やせるスキルを持っているか、『縮地』も『投擲』も、驚異的な身体能力も、全部1つの能力の応用っていう事ね」
「『縮地』や『投擲』は兎も角、身体能力に関しては2つと脈略が無さすぎるから違うんじゃ無い?」
「そうね……となるとスキルを増やせるスキルかしら?」
大はずれである。
ケインのスキルは『スキル重複』で、スキルの効果が重複するというものなのだ、
とはいえ、たしかに地球人から見れば、そんなの複数能力を持っている様にしか見え無いというのも無理は無かった。
「まあ、そんな所でしょうね……本当はケインに直接聞きたいんだけど……」
幸というか何というか、ケインは寝ているので聞いていない。
別に貶しているのでは無いし、聞かれても問題は無いが、今はドン・ステラの件もあるし、深掘りしない方が良いと考えたのだ。
「……ねぇ、ケインは今後どうするんだろ?」
「今後っていうと?」
「私達と一緒に、魔法少女を続けてくれるのかな?」
「それは……」
3人は今まで誰にも認められなかった。
高校生にもなって魔法少女、と周りからは笑われて親からは叱られ、矯正され。
だが、唯一の味方は同じく魔法少女を志す2人だった。
笑わずにいてくれた。
自分もなりたいと言ってくれた。
彼女達3人がオリジナルスキルに覚醒したのは、魔法少女になりたいという強い思いがあったからである。
3人はオリジナルスキルを手に入れて、初めはビックリした……が、すぐにこれは自分達に与えられた力だと理解し、自分達には魔物を倒す力があるのだと知った。
そんな時、日向が言ったのだ。
『どうせ人助けするなら、せっかくだし私達の憧れの魔法少女になってみましょう!』
そこから先は早かった。髪を染めて衣装を決めて、設定を固め、魔物の行動パターンを把握して、戦い方も覚えた。
たった3人だが、今日までやってきたのだ。
ケインはそんな自分達の前に現れた理解者である。だが、彼女は自分達とは違う。理解はしてくれるが、こちら側では無い。
それでもケインが仲間になりたいと言ってくれたなら3人とも喜んで承諾するだろう。
例えこちら側では無くても、ケインは仲間であり、恩人なのだ。
「ケインが、私達と一緒にいるって言うなら……」
「そう言う事じゃ無いの。ケインが笑わないのはもう分かってる。でも、……怖いのよ。ケインが何処か遠くに行ってしまいそうな……そんな気がしてね……」
「日奈子……」
暫く沈黙が続いた。
だがこの時、タイミングが良いのか悪いのか、ケインが目を覚ました。
「ケイン、まだ寝てなくて良いの?」
「ああ、体力的には万全だからな。それにもうそろそろ着きそうな気がするするから何が起きても大丈夫な様ここからは僕も歩くよ」
鈴木におんぶされていたが、ケインは降りて背中を伸ばした。
そんなケインを見て2人は……
「……もう暫くは大丈夫かもね」
「ええ、いつかその時が来たらその時に考えましょう」
2人はケインに聞こえない様に静かにそう喋って、また夜の街の闇にまた一歩足を進めて行った。




