番外編(地球) ケインと魔法少女達⑬
何十回、何百回、何千回と石を投げ続ける。
その度に石は無情に落ちる。
体力が無くならないケインだが、精神的に消耗してきていた。
もう5時間は石を投げている。
そろそろ本当に時間が無くなってきた。
「ハァッ、ハァッ……もう一回……」
鈴菜と日奈子はそれをずっと見守っていた。
ケインを信じて休む事なくずっと見守っていた。
まだ1週間と短い付き合いだが、2人がここまでケインを信頼してくれているのは、ケインの人柄と、1週間とはいえ4人で濃密な時間を過ごした故だ。
2人はきっと成功すると、思い見守っていた。
一方のケインは『投擲』を撃つ手を止めていた。
イメージをやめて、考えていた。
「ひょっとして……僕は思い違いをしていたのか?」
イメージはほぼ完璧。とはいえ多少のズレはあると思い、ここまでやってきたが、この5時間微塵も成功の気配は無かった。
「何か……何かまだ条件があるんだ」
『投擲』の条件自体は視認する事と、敵として認識する事の2つのみである。
だが、ケインの言う条件は敵として認識する為にイメージする必要性についてだ。
「そうか……イメージしたその先で感じないといけないんだ。僕は……イメージする事に固執し過ぎていた!」
ケインはようやく失敗の原因を悟った。
ケインは『投擲』の条件である敵として認識する為に、敵の事を感覚で認識出来る様にイメージしていたが、それはあくまで過程に過ぎなかったのだ。
大切なのはその先で、イメージした後に相手を感じ取って認識しないといけなかったのだ。
いつの間にか手段が目的に変わっていたのである。
ケインはまたイメージする。
ドン・ステラの姿、気配、表情、思いつく限りの要素をイメージして、現れた仮想のドン・ステラに殺気にも似た敵意を向ける。
そして、発動した。
「『投擲』!」
その投擲は今までの『投擲』の中では最低速度だったが、明確に別物であるのが感じ取れた。
石は投げた時のスピードを保ったまま空中をゆっくりと移動していく。
「せ、成功だ……!成功したんだ!」
だが、その途端ケインは張っていた糸が切れたように足がもつれて倒れた。
それを、鈴菜と日奈子が支えた。
「ありがとう。ちょっと休んでて良いよ」
鈴菜が背に背負い、ケインはそのまま寝てしまった。
「それじゃあ……行こう、日奈子」
「うん」
2人は暗闇の中のろのろと動く石の跡について行った。




