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番外編(地球) ケインと魔法少女達⑫



ドン・ステラを追って僕達は小樽市の近くまで『縮地』で来ていた。そして、いざ組織に乗り込もう!というところだったのだ。


……が、ここでようやく理解する。


「小樽の何処だっけ?」


「何処って……何処でしたっけ?」


「というかそもそも小樽じゃなくて小樽のあたりとしか言われてないね」


早速行き詰まってしまった。


もう少し詳しい居場所を聞きに日向の所へ行きたいが、今頃きっと病院の人が穴の空いた壁を見て警察を呼んでいる頃であろう。


今ケインが『縮地』で訪れたら諸々について疑われかねない。


「仕方ない、ここら辺なのは確かなんだ。当てもなく探す……というわけにもいかないが、今はそれしか無い。誰か怪しげな人物が居れば僕等に連絡して慎重に追うんだ」


こんな事もあろうかとケインは2人とあらかじめLINEを交換しておいた。


これで、何かがあっても連絡は取り合える。


正直当てもなく探すというのはケインからすると非効率でかなり嫌なのだが、明日改めて日向の元に行くんわけにもいかない。


日向のエネルギー量は残り僅かなレベルまで減っており、いつ危険な状態になるか分からないのだ。

下手をすれば、明日には死んでいる事も有り得るので、決着は早めにしなければいけない。


ケインが1人考え込んでいたが、ここである事を思い出す。


「そうだ……『投擲』、『投擲』を使えば……」


「『投擲』?ケイン、何の話してるの?」


ケインはここ最近使っていなかったが、『スキル重複』で重複した『投擲』は例え相手が見えなくても必中効果があるのだ。


使用条件として、最低1回は相手を視認している事。

そして、ぶつける相手を敵、もしくは物体を危険物として認識している事である。


1つ目の条件はクリアしている。


問題は2つ目の方で、相手を敵として認識する必要があるのだ。


この敵として認識するというのが難しい所で、ケインはドン・ステラの事を明確に敵と思っている。


だが、それは『投擲』の発動条件には当てはまらないのだ。


ここでいう敵という定義はかなりややこしく、敵だと脳で理解するのと、感覚で敵だと認識するのでは訳が違う。

頭で理解している敵は敵にはならず、対峙して肌で感じた敵は敵になる。


もっと簡単に言うと、戦闘中の敵ならば『投擲』が発動して、そうでなければ発動しない。


そういうものなのである。


今までケインは戦闘が終わった後に見失った相手に向けて『投擲』を使うのは不可能だと思っていた。


どう頑張っても目の前にいない敵をそこにいる様に感覚で理解する事が出来なかったからだ。


だが、それはあくまで意識の問題で、『投擲』は、イメージ次第では、目の前に居ない敵が相手でも発動する。


ケインは道端に落ちていた手頃なサイズの石を拾い上げる。


そして、イメージした。

相手……ドン・ステラの気配や姿を感覚で理解する。


暫くして、イメージが終わったのかドン・ステラに向けて石を出来る限り弱々しく投げる。


「『投擲』!」


だが、石はほんの1メートルほど飛んだ後にすぐ地面に落下して転がっていき、やがて普通に止まった。


「チッ、……良いさ、何度でもやってやる」


「ケイン、何をしてるの?」


「……この石がドン・ステラの居場所を教えてくれる……かもしれない。いつ成功するかは分からないが、もうこれしか手はない」


もしかしたら闇雲に探した方が簡単に見つかるかもしれない。それくらい無茶な挑戦で、ケインでも時間がかかると思われる事なのだ。


他の2人はこれに付き合う必要は無い。


ケインが挑戦し続ける間に探し回る方が効率が良い。


だが……


「ケイン……分かった。私達、信じて待つよ」


成功した時に石を追いかけないといけない以上、すぐに一緒に行ける様に出来れば2人はそばに居た方が良いのだ。


「分かった……なるべく早く成功させよう」


ケインはこの夜、一か八かの賭けに出たのだ。


『投擲』が成功するという極小の可能性に賭けて、また石を投げた。




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