外伝48話 シムのオリジナルスキル
「 Oh……言いましたよね？いつワタシが本気を出した、と」
「想定外です……まさかワールズエンドトリニティが防がれるとは」
「NO、防いだという表現は正確ではありません。正しくは跳ね返した。です」
「……やはり、ですか」
「YES、ワタシが使ったのは『盤上回し』。貴方のオリジナルスキルのうちの１つです」
「しかし……それだと疑問が残ります。貴方は確か付与スキルしか使えないはず」
「NO、固定観念に囚われてはいけません。ワタシは確かに先程まで神鈴木により設定された付与スキルしか使えませんでした。しかし、ワタシは学習しました。貴方の使うスキルを見て……ね」
「そんな馬鹿な。スキルを学習なんて……大体、スキルの概念は神鈴木が作り出したものです！学習したからといって、それを模倣できるわけがありません！」
だが、ここでケインがある事に気づいてしまう。
「待ってくれルーナ……ひょっとして」
「YES、ケインは気付きましたか」
「どういう事ですか、ケイン」
「学習したからといって、ルーナの言う通りスキルの模倣なんて普通は出来ない。でも、１つだけ抜け道があるんだ」
「YES、付け加えるなら貴方方には確実に出来ない芸当です」
「おそらく、シムは発現してしまったんだ。ソラや恭弥や孝勇の様に、オリジナルスキルに……」
「っ！？そんな馬鹿な！確かにシムは知的生命体ではありますが、あくまで神鈴木の意思により作られたシステムから派生したものに過ぎません！」
「でも、今までだってこうして付与スキルを使ってきたじゃないか。だったらオリジナルスキルに目覚めていてもおかしくはない」
「YES、ケインの言う通りです。ワタシはつい先程、ルーナとの戦闘によりワタシ自身追い詰められ、打開の手を探っていた時にこのオリジナルスキルに覚醒したのです。ルーナ、貴方は違和感はありませんでしたか？」
「何がですか」
「私がこの星に貴方方を落とした時です。付与スキルに重力を操作する類の物はありますが、あくまで反重力です。重力の強化ではありません。察しの良いケインならもう気付いているのでは無いですか？」
「……ルーナのオリジナルスキルを『模倣』した」
「YES、正解です。ルーナ自身が忘れていた事ですが、貴方のスキルの一つに『反転』があります。スキルや魔法の効果を反映させる物です。それを使って反重力の魔法を反転させ貴方達をこの星に引き込んだ……」
「そういう事ですか……これで合点がいきました。何故貴方が私のスキルを使えたのか」
「YES、お分かりいただけたでしょうか？ワタシの能力の発動条件は相手を触る事です。一度に模倣出来る数は上限がありますが、戦いが続けばそれも関係ありません。つまり……貴方達に勝ち目はないのです。さようなら」
そして、シムはあのスキルを発動した。
「ワールズエンドトリニティ」
「……馬鹿……ですか？私には『盤上回し』があるのいうのに」
「NO、これは貴方には防げません。ワタシは意識を分割してスキルの同時発動ができる。つまり、今『即死』のスキルを貴方に与えれば貴方は防げない。ワールズエンドトリニティは『盤上回し』で、即死は『スキル制御』で何とかなるにしても、どちらか一方は喰らってしまうのです」
「だったらやってみなさい」
「YES」
シムはワールズエンドトリニティを発動した。
