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第十七話 ギルド長


……おかしい。今日はゴブリンを5匹しか見つけられなかった。

いつもならこの10倍はいるのに明らかに少ない。

ゴブリンは、少し珍しいタイプで、他の魔物と違って、生殖行為によって繁殖する。

大概の魔物は空気中に漂う魔力と、土地の環境に左右されて生まれる。 

そういった魔物は、討伐すると大抵魔力へと還元されて、空気中に霧散され、残るのは魔石だけになるのだが、ゴブリンは死体が残るのだ。

だから、ゴブリンのようなタイプの魔物は狩りまくると絶滅するのだが、ゴブリンの生殖能力は非常に高く、統計の結果1日で200万匹生まれるらしい。

代わりに寿命も短く、もって3年らしいが……

この森ならば、1日50匹狩った程度ではゴブリンの数は減らないだろう。

とすると、ゴブリンがいないのは環境の変化が大きな原因だろう。

獲物である小動物がいなくなったか、木の実なんかの食べ物が取れなくなったか、

いずれにせよ環境の変化の可能性が高い。

一応ギルドに報告しておくか……




ギルドに着いた僕は受付のお姉さんにその件を報告した。


「なるほど、ゴブリンの数がかなり減っていたと、確かにそこまでゴブリンが見つからないのは異常事態ですね。分かりました、こちらで調査を……」


その時、お姉さんの後ろを通った大男が引き止めた。


「おいおい、高々ゴブリンが出ない程度で、調査の人間を割けるかよ。今は行方知れずの魔王軍の追跡で忙しいんだ。大体、ゴブリンが見つけられないのなんて、この小僧の索敵能力が甘いからだろ。スキルもろくに持ってねえしな」


嫌味ったらしく喋りかけてきたこの男。

会話の途中で急に入ってきたが何者だろう?


「ぎ、ギルド長!いや、しかしこれはいくらなんでも……」


ギルド長だったか。エクレア姉さんが慌てるな。可愛い。


「うるせぇな、どうでもいいだろ。ゴブリンなんていくら増えようが減ろうが構いやしねぇよ。調査は無しだ」


全く、このギルドの人間は本当にまともじゃないな。


「申し訳ありません。せっかく報告してくださったのに……」


「気にしなくていいですよ、お姉さん悪くないですし」


しかし、ゴブリンが出ないとなると、何でスキルを取得しようか……

良い案もないので当分安全に勝てるゴブリンを相手するしかないか……

ここのところ運が悪い。

僕は不機嫌ながら宿へと帰った。



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