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外伝26話 ルーナ



恭弥と圭吾の決着がつく少し前、

ソラと孝勇の戦いにも異変が生じていた。


「お前、アスタルテ様のところに戻ってこないか?」


「何?」


「お前だってさ、戻って来たいとか思わないか?3人で仲良くアスタルテ様に仕えたじゃないか。そりゃあ最後はあんな風に囮に使っちまったけど……あれもお前の能力を期待しての事だったんだよ」


「……」


「よく考えてみろよ。今ここでお前が俺に勝てた所で、アスタルテ様がケインに勝てば間違いなく俺たち側の勝ちだ。だが、俺がお前に勝ったらアスタルテ様に加勢出来て、ケインはかなり劣勢になる」


「俺が勝てばケインに加勢出来るだろう。それに、恭弥と圭吾の決着もまだついていない」


「いや、恭弥や圭吾ではあの2人の戦いにはついて来れないだろう。戦いが終わり、どちらが勝ったところで余り意味はないんだ」


「だからと言ってお前達側に回る理由は……」


「おしまいまで聞け。早い話、お前には三つの道がある。一つ、このまま俺と戦いお前が勝つ。二つ、俺が勝つ。三つ、お前が寝返って俺と孝勇とアスタルテ様対ケインだ」


「俺が寝返れば間違いなくケインは負ける……だから、実際は3分の2はそっちの勝ちか」


「それだけじゃない。もし俺達が相打ち……もしくは勝負が長引いた場合を考慮すると確率は5分の3だ」


「何故わざわざ確率を下げたんだ?」


「………」


「もしかしてお前……知的キャラを演じたかったんじゃ……」


「うるさい!」


「そもそもその確率って俺の意思次第だよな?俺が絶対に入らないと決めたら条件は五分五分だし」


「と、兎も角!このまま戦い続ければ五分五分……だが、お前がこちらに入るだけで勝敗は決するんだ!」


「俺は……」


孝勇の心は迷っていた。ソラの言う事は一見出鱈目に聞こえるが、実際問題不利なのはこちらである。

アスタルテはおそらくケインの実力を知っているが、ケインはアスタルテの能力を何も知らない。この時点で厄介なのだ。

こんな状況で敵が更に2人増えたら……否、1人増えるだけでも勝率は格段に下がる。

ソラがこちら側に寝返ることがまず無いと考えると(孝勇がケインを裏切ることもないが)、下手に攻めて抑えられてソラが向こうに加勢するより、このまま持久戦に持ち込んでしまう方が良い。

理屈の上ではその結論に達していたが、どうしても間違いなく生き残れる道を捨てられないのだ。


「俺は……」


「どうした、孝勇?こちらに入るか?」


「嫌だ……。俺は友達を裏切らん」


「そうか……残念だ。ならば戦うしかないな。まぁ、元々お前みたいな馬鹿に期待したのが悪かった……ってとこかな」


ソラは怒り気味で孝勇の目を狙って剣を振りに行く……が、ここで戦場に新たなる者が現れた。

光を放ちながら恭弥の家の付近に現れたのは白い翼を生やした性別不詳の人間?である。


「そこまでです」


「誰だ?」


思わずケインが聞いた。


「私の名前はルーナ。覚えても良いですが、覚えなくても良いです。あと、性別はありませんよ」


「ルーナ……貴様……」


ルーナに対し、怒りを露わにするのはアスタルテであった。感情らしい感情を表に出していなかったアスタルテが初めて顔に出た瞬間である。


「アスタルテよ。貴方達の裏切りは既に把握済みです。否、神鈴木は初めからご存じでした」


「なんだと?」


「貴方達は彼の方の手の上で踊らされていたのですよ。ですがそれも用済みです。殺処分と行きましょう」


「待て、同じ亜神だろうが!話を……」


「都合良く私を利用しておいて……聞くわけないでしょう」


「待て、僕達には人質がいる、勇者エルナという人質が」


「そちらも既に対処済みです。逆に危ないのはスクリットの方ですよ」


「チッ、ソラよ。ここは一旦逃げ……」


命じかけたアスタルテだが、その体はいつの間にか鎖で動けなくなっていた。


「何だ……これは。お前まだこんな力を……やめろ!まだ余達にはアイツが……トルネロが……」 


「ええ……貴方にもすぐ彼に合わせてあげましょう。あの世で」


「まさか……トルネロが……?」


「これ以上、話す事はありませんね。それでは貴方達への罰を与えます」


「嫌だァァァァァ!!!!!!!!!!!!」


ルーナが手を翳すとアスタルテの体はグジュグジュと朽ちていく。最後は腐りかけのパンが崩れるように割れて、完全に無くなった。


「さてと……ケイン、貴方にも用があります」


「突然の出来事過ぎて、何が何だか分からない……が、あんたに逆らうのはやめた方が良さそうだ」









どうでも良いけど恭弥の家ボロボロだろうなぁ

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