外伝13話 完全な瞬間移動
「何言ってるんだあの男は」
「神の使い……?恭弥、この星には偶像的な神じゃなく、実在する神がいるのか?」
「いや、いないよ。一部の宗教を除いて神はあくまで実在しない……はずだけど」
テレビの中で使いを名乗る男にリポーターが話しかけた。
「その……神、というのは?」
「神は神だ。あのお方は何でもできる……」
「ハ、ハハ……そうですか……それは凄いですね」
リポーターが苦笑したのを見て男は不機嫌そうになる。
「お前信じてないな?」
「いえいえ、まさかそんな……」
「もう良い消えろ」
「え?」
次の瞬間、リポーターの首が胴から離れていた。
首の断面から血が噴水のように噴き出し、辺りを鮮血に染め、叫び声が上がる。
「ウ、ウワァァァァ!!!」
「アイツ、人を殺したぞ!?」
「逃げろ!早く逃げるんだ!」
「おい待て、動くな貴様ら」
近くにいた人達は男の一言で動けなくなり、その場で立ちつくている。
そのうちの1人に近寄ると質問を始めた。
「君は……神を信じるよね?」
「は、はひぃ……信じますとも」
「……その顔は信じて無いな。お前も要らん」
男はまた別の人に質問をし出す。
「君は信じるよね?」
「も、勿論です!だから私は……」
言い終わる前に男は剣を振り、首を斬ろうとする。
……が、それは止められた。
縮地を使ったケインによって。
「……誰だお前は」
「お前こそ誰だ」
「聞いていなかったのか?私は神の使いさ」
「厨二クセェんだよ神の使いなんか名乗って選別みてえに人を殺しやがって。僕が聞いてるのはお前の名前だ」
「人に聞く前に……自分から名乗るのが筋じゃ無いか?」
「……ケインだ」
「ケイン……?ああ!ひょっとして『あの星』の人間か!俺の名前はソラ。君とは長い付き合いになりそうだ。仲良くしてくれ」
「ふざけるな、お前は今ここで死ぬんだ」
ケインが剣を向け戦闘体制に入る……
「ま、その前に資格があるかも確認したいからな。良いぞ、半殺しにしてやる」
ソラは、一瞬でケインの背後に移動すると、そのまま頸動脈を断ち切った。
「あれ?強そうに感じたけど気のせいだったのかな?すぐ終わっちゃったぞ」
そう言って余裕そうな笑みを浮かべるソラにケインは剣で突き刺した。
「なっ!グフッ……」
「お前、首ばっかり狙ってるけど……首って結構斬りにくくないか?」
「なぜ……生きて……」
見ると、ケインの首の傷はすでに治っておりまるで通用を感じていなかった。
「そういう……ことか。アイツみたいだな」
「?何を言って……」
「隙だらけだぜ」
ケインはまたもソラに背後を取られ、切り裂かれた。
「グッ!?いつの間に……」
「チッ、厄介だな。それもすぐに治るんだろ?」
「まぁな……それよりテメェのオリジナルスキルは……」
「おっ!気づいてるか」
「気付かないわけあるか。『瞬間移動』だろ?」
「そういう事。さっきお前も同じような事やってたけど……同じ能力だったりする?」
「さぁな?自分で考えてみたらどうだ」
カメラマン「あの2人の戦闘をカメラに収める俺が1番凄くね?」
※「男の俺が大聖女だった件」に登場する主人公ソラと名前が同じですが、一切関係無いです。




