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第百十九話 狂化




ガルドとケインの戦いに、エルナは先ほどまでついていけなかった。

2人の戦いに参加することもできず、足を引っ張ってしまうほどに…

だが、今のエルナは光の勇者。歴代の勇者と比べても突出して強い。

先ほどまでのように足手まといにはならない。

ケインとガルドの撃ち合いにエルナとクリフがサポートをする事によって、ガルドにとって不利な戦いになっていった。



…………………………………

………………

……



「縮地!」


「甘いっすよ!」


ケインはガルド相手に善戦している。

素のステータスでやや負けているから縮地と投擲を併用しながら戦っているのだ。

だが、場所は魔王にとって有利な魔王城。

更に、手の内がほとんどばれていることも重なり戦いが長引けばまず間違いなく勝てないだろう。

持久力や再生力があっても、致命傷を受ければケインでも危ない。

いくらエルナが死者を蘇らせることができるといっても発動に時間がかかる魔法をガルドが見逃してくれるはずがない。

先程は初見だから見逃されたものの、2度目は無いのだ。

クリフ1人でエルナを守るのは無理だし、ケインが死んだら実質的に負けである。

だからエルナは完全にケインのサポートをする事にした。

自分かケインのどちらかが死んだら終わり。

それなら変に2人がかりで攻撃して邪魔するよりもクリフを守りながら強化を続ければいい。

エルナは歴代勇者の中で最も強いにも関わらず、直接魔王とは戦わなかった。

つまり、この時代の魔王は歴代の中でも圧倒的に強く、それと拮抗するケインもまた歴史上最強の人物なのであった……




………………………………

………………

……


クリフは迷っている。正直どう頑張っても自分に出来ることはない。でもこのまま何もせずにいるのはもっと耐えられない。

今までこのパーティーでも役に立てていたことが嬉しかったクリフの最初で最後の挫折だった……

だが、クリフは仮にも勇者パーティーの一員。

そう易々と諦めたりはしない。

彼もまた自分に出来る事を探し始めたのだ。

ケインとエルナを信じて



…………………………………

………………

……



流石に強い。ガルドの攻撃は僕に匹敵するくらいに重く、速度は若干速い。

剣の練度で此方が勝っているが、どちらが勝つか分からないギリギリの戦いだ。


「やっぱり……良いっすねケインさん。思うに今までの魔王は突然手に入れた力に酔い、碌に修行もしなかったんだと思ってます。しかし俺は違う。剣の修行、ステータスの強化、スキルの取得、装備の強化、部下の強化、戦法、情報収集、……どんなに分かりにくく不確かな物でも、それが強くなるのに繋がるならと俺は努力を惜しまなかった。最強の才能が最大の努力……ここまでしてやっと貴方と互角ですよ。本当に貴方は凄い人です」


「努力を惜しまないって意味なら僕だって自信があるからな!さっさとお前に勝って英雄にでもなんでもなってやるさ。でも……こんなに楽しい戦いはお前が初めてだよガルド。今までの戦いは生死を賭けた戦いで、そこには殺意のぶつかり合いしかなかった。……でもな、ガルド。お前の剣には会話がある。お前の思いが全部乗ってくる。だから僕はそれに応えてやるだけさ!」

そう言ってケインの攻撃に更に力が加わる。

そして、速度にも変化が現れた。


「まさか!本気じゃなかったんですか!?今までの攻撃は」


「……そんなわけないだろう?お前なら分かるはずだこれが何か」


「……これは!『狂化』!いや、でもこれは流石に……」


狂化とは、全ステータス(運を除いた)を100上げる代わりに興奮させて判断力を薄くするスキルだ。

単純に強くなれるが、今の戦いでは狂化で100上げた程度では然程変化は無い。

だが、ケインの『スキル重複』を使えば最大999900も全ステータスを上げることができる。

魔力を使っているわけではないので、常に発動することも出来るこのスキルをケインは何故今まで使わなかったのか?

答えは簡単だ。

『スキル重複』は『狂化』の興奮作用も重複させてしまうからだ。

本来なら9999個も同時に発動しているならケインは正気を保てず暴走する。

しかし、今は多少興奮しているがどうやら暴走まではしていないようだ。

その答えはエルナにあった。

エルナは常にケインに『リラックス』をかけ続けている。

これによって精神が安定化されて暴走を抑えられたのだ。

こうしてケイン達の反撃が始まった……








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