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第百七話 偽物




「ケインさん、依頼達成おめでとうございます」


そういうと、エクレア姉さんは僕に報酬を渡してくれる。しかし、この人もギルド長になったというのに何故未だに受付のような仕事をしているのだろうか?

疑問に思いながらも声にはせず、報酬を受け取る。


「ありがとうございます。これで欲しかった防具が買えそうですよ」


「ふふ…今のケインさんはとてもお金に困ってそうには見えませんがね。なんせ、四天王を2体も討伐されたのですから。それももう1年半前の話になりますか………それにしても、相変わらずスライム狩りが好きですね?ここ一年ずっとスライムばかり狩っているじゃないですか」


「…まぁ、良いじゃないですか」


「そうですね。どの依頼を受けるかは冒険者さんの自由ですし。……あっ!そういえばケインさん、明日で17歳になるんでしたっけ?早いものですね。私達が初めて会ったのはついこの間のことのように思っていましたが、もう5年も前の話なんですね」


「僕にとっては懐かしいですけどね」


「そうですか?あまり変わってないような……ああ、でもよく見れば髪の毛が伸びて女の子らしくなりましたね。初めて会った時は男の子だと勘違いしていました」


エルナ達と別れてから1年半が過ぎて、僕は強くなった。それと同時に髪の毛が伸びて、男の子と間違われることがなくなった。

この前なんか街でナンパされたくらいだ。

流石に断ったけど……


すると、会話の途中で新顔のギルド職員が呼び止める。


「ギルド長!すぐに来てください!こっちでトラブルが……」


「分かりました、すぐ行きます。ごめんなさいケインさん、ではまた今度」


そうして慌ただしく走っていく。そんな様子を見てなんだかんだ、エクレア姉さんは変わらないと思った……






………………………………

………………

……


日付が変わり、僕は17歳になる。

己の歳を一つ増やしたことと、1年間無事に生きられたことを喜ぶ。

そして、大事な事を思い出す。


「明日いよいよ再会だな」


エルナ達と別れて明日で丁度一年半。

約束した場所は少し大きめの街、トリアス

王子が我が儘の限りを尽くし、僕達3人がパーティーを追放されたあの場所だ。


待ち合わせ場所に行っても誰も居なかった。

まぁ、うっかり時間を決めていなかったから今日のいつ来るのか分からないけど………


いつまでも待っているわけにはいかないので、適当に昼飯を食べに飲食店に入る、すると、2人の客が話をしていた。


「なぁ、聞いたかよ!勇者パーティーがこの街に来ているらしいぜ」


「マジかよ!」


マジかよ、なんでバレた?


「え、でも勇者パーティーって、一年ほど前に行方不明になって音沙汰無いんだろ?しかも悪評しか聞かなかったじゃ無いか」


「その通りだ。けど今回勇者パーティーを名乗る4人組が現れたんだとよ」


「へぇ…俺も一眼でいいから見てみたいなぁ」


「冒険者ギルドにいるらしいから行ってみれば会えるかもしれないぜ?」


「ちょっと行ってくる」


そう言うと、2人の客は代金を置いて出て行った。


どういうことだ?まさかエレナの奴……僕達に内緒でもうパーティーを組んだのか?

それともクリフも一緒で僕だけ除け者に……

いや、2人に限ってそれは無いか。

でも、だとするとあの噂は何だったんだ?

気になるし冒険者ギルドに行ってみるか!



………………………………

………………

……


僕は冒険者ギルドに行くと、行列……と言うほどでも無いが、数人が列を作っている。

握手会のようなものをやっていた。

試しに並んでみよう。

最後尾に並んで30分ほどして、ようやく僕の番になった。

握手会をしていたのは、なんとあのリヒトだった。そして、周りには赤髪の女、銀髪の女、金髪の女がくっついている。

リヒトは僕に気づかない様子で笑いかけてくる。


「やあ!長い銀髪がとても似合う麗しい少女よ。はい、握手」


手を差し出されたので一応握手してやる。


「うーん……胸は無いけど……顔は良いし…スタイルも中々だ…何より髪が綺麗!よし、君は合格ね」


「は?」


「だから、君は合格。今夜このホテルの○○号室に来て。そこで可愛がってあげる」


何を言っているのか……

唖然としていると、取り巻きの女どもが偉そうに語ってくる。


「ちょっと貴方!先程から勇者パーティーリーダーのリヒト様に失礼ではないですか?この方は数年前に四天王を2体も倒したのですよ?今貴方が幸せに暮らせているのはリヒト様のおかげと言っても差し支えないのに……」


「そうですよ!私達勇者パーティーは四天王を2人も倒しているのです!」


なるほど合点がいった。

つまりリヒトは、勇者がいなくなった勇者パーティーを、一応は続けていたのだ。

もう邪魔者である僕達もいないから偽物を用意して好きなように楽しんでいたのか……

こんな握手会をして、囲む女を探していたって事は、まだまだ性根が腐っているな。


「プッ……ふふ、そうですね。勇者様とケイン様、ガルド様、クリフ様がいないとこの国はダメだったかもしれませんね」


「まったく、ようやく分かりましたか!分かったら素直に言う事を聞きなさい!」


僕の偽物らしき人が言う。

あまりに滑稽で笑えてくる。

というか、髪が伸びて、体型が変わったとはいえ、まさかまだ僕だと気付かないとは……

リヒトに真実を教えてあげようかと思ったが、エルナとクリフにも見せてやりたかったので、一応黙っておいた。

まぁ、後で粛清するけど。








修行期間の一年半は飛ばしましたが、完結した後に追加で書こうかと……



追記 間違って初めにタイトル無しで公開しちゃってました。ごめんなさい

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