1.クリスマスイブに、別れを告げられました。
高校一年生である俺、神谷秋人には最愛の彼女がいる。彼女の名前は、茅野真白。
今日は、真白とのクリスマスイブデートなので、俺は最寄り駅にある像の近くに来ていた。
「あ、ごめんね?待ったよね?」
少し大人な服装で来た真白は、申し訳なさそうに謝ってきた。
遅刻はしたかもしれないが、一二分程度の遅刻だし、最愛の彼女とのデートで怒るはずもないので俺は笑顔で首を横に振る。
「ううん、今来たところだよ」
そう言って、俺は真白の手を掴んで俗に言う恋人繋ぎをする。
すると、真白の頬は赤くなり、真白からも手に力を込めて握ってきてくれた。
『そ、そういえば、あれを忘れてないよな!?』
そして、もう片方の手をカバンに入れて、忘れていないか確認する。
付き合い始めて、一年になる今日この日の為に俺は真白にプレゼントするために、こっそりとネックレスを購入していたのだ。
『喜んでくれるといいなぁ』
そう思いながら、どういった反応をしてくれるのか楽しみな俺は、そっと真白の方を見る。
真白の顔を見ると、少し寂しそうにしながら涙を必死に堪えているようにも見えた。
「どうかしたの?」
「ううん、何でもないよ!それより早く行こうか!」
今のは、気のせいなんだよね?
そう結論付けて俺は真白と本日デートする場所。遊園地へと向かうのだった。
***
遊園地に着いてすぐさま、予め乗るアトラクションを決めていたのか、早歩きで迷いなく園内を歩き始めた。
「秋人くん、これ乗ろ!」
少し歩いてから、真白はティーカップを指さしながら、笑顔で俺の顔を見てきた。
「うん、いいよ」
「やったー!秋人くん!早くこっち来て!」
俺が断らないと思っていたのだろう。
俺が了承すると速攻で、ティーカップに乗り手招きしてきた。
「ちょっと、待ってよ」
萌え袖で手招きをする真白に可愛いと思いながらも俺は、にやけないように頬を軽めにたたき平常心を保つ。
「……………」
手招きしていたのでてっきり楽しみにしていたのかと思いきや、真白は、ティーカップが回りだすまでの間、黙り込んで下を向いてしまい何故かまた泣きそうになっていた。
付き合い始めて今日が一周年記念にもなるわけだし!回り始めてから、俺は急に笑顔になった真白に話しかけることにした。
「真白、楽しいね!」
「……うん、私も楽しいよ!」
そんな笑顔を見て俺は少しだけ不安になった。
作り笑いしてるのかな?俺から見た今の笑顔は楽しいというよりも悲しい、寂しいという言葉の方が正しく思えた。
「次は、これ乗ろ!」
手を繋ぎながら、真白の指さす方向へ進む。
そこには、並んでいる人の列が少ない観覧車があった。
「わぁ!すっごい綺麗だね!この景色!」
窓越しに、真白は外の景色を見ていた。
確かに、きれいな景色……
窓越しではあるが、目の前には高層ビルがいくつも建てられており、そこから、青色や赤色の光が見えた。下を向くと、予めネットで事前に調べていたので知っていたが、イルミネーションが見えた。
予想以上にきれいだな……
『そうだ、あそこでプレゼントを渡すことにしよう!』
渡す場所に悩んでいたので俺は、観覧車を降りてからすぐ近くにあるイルミネーションスポットでプレゼントを渡すことにした。
「これで、最後なんだね……」
ふと、突然そんなことを呟いた真白。
確かに、時間的にもこれが今日乗れる最後のアトラクションだった。
「うん、そうだね」
俺が頷くと真白は、少し寂しそうに窓の景色を見ていた。
***
「景色が綺麗だったね!」
何故か、元気のない真白に俺は笑顔で話しかける。
本当にどうしちゃったんだろう。いつもなら、元気なはずなのに……
「……うん、そうだね」
俺が話しかけても真白が反応するのに数秒かかった。
そんな真白に喜んでもらえるか不安だったが、真白のために購入したものなので、俺は、そっと手を繋ぎ、話かける。
「最後にさ、行きたい場所があるんだよね、行ってもいいかな?」
俺が、話しかけるとなぜか真白はハッと何かを察したかのように反応し、目を擦った。覚悟を決めたかのように『うん』と頷いた。
「……うん!いいよ…」
元気のない、真白になんて話しかけていいのか分からず、デート中なのに二人して黙ってしまった。
「あ、着いた!ここだよ」
俺は、目的地に着いたのを確認して下を向いてしまっている真白に話しかける。
話しかけられて、真白は上を向きイルミネーションを見る。
そこには、木に飾り付けられた飾りが光を放っていた。木の枝は長く伸びており、少しだけアーチ状になっており、デートの最終場所としてはとてもふさわしいと思える場所だった。
「綺麗だね……」
寂しそうにそのイルミネーションを見る真白。
そう言いながらも、すぐにまた俯いてしまった。
「実は真白にね、渡したいものが……」
そう言って俺は、繋いでいる手を離してプレゼントを取ろうとしたら、彼女の方から手を離してきた。
真白の方から…!?
手を離された俺は、カバンを開けずに真白の方を見る。
真白の顔を見ると、一粒の涙が流れていた。
「秋人くん、今までありがとうね!別れよ……」
こんばんは、僕猫です!
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