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勇者が変えた世界。

作者: アライアンスター

日記風に書きたかったので書いてみました。

お楽しみ頂けたら幸いです。

━━ある旅人の日記━━

7の月4週目。

今日、異世界より勇者が召喚されたと王様からお触れがあった。


8の月1週目。

そうだ、せっかくだから勇者様のお顔を拝見しに行こう。


8の月2週目。

王都まで来たが、勇者様はどこだろうか。

・・・どうやら既に出発されていたようだ。悔しい。


8の月3週目。

なんと!もう勇者様は魔王城を見つけられたそうだ!


8の月4週目。

勇者様の力は『ブッシツソウゾウ』なる力と聞いた。

剣や盾をいつでも取り出せるそうだ。

勇者様は無敵だな!


9の月1週目。

魔王が倒れたと巫女様にお告げがあったそうだ。

この週は記念日になるそうだ。


9の月2週目。

魔物も消え、農家が壁の外に畑を開墾(かいこん)し始めた。

早く収穫できる野菜を植えているそうだ。


9の月3週目。

おかしいぞ?何故こんなに野菜が安いのだ?

今までは銅貨で15~20枚で売っていたのだが、今は銅貨で7枚程だ。

まだ農家の野菜は来ていないはず。

誰かが隠していたのか?


9の月4週目。

区画門の故障で宿から出られない。ふて寝する。


10の月1週目。

久しぶりの青空だ。野菜も美味しい。親切な誰かのおかげだな。


10の月2週目。

農家が野菜が売れないと食堂で愚痴っている。あんなに安く売っている者がいるのだ。仕方ないだろう。


10の月3週目。

パンの値段まで下がってきている。気前の良い売りをしているな。


10の月4週目。

食品の値下がりは収まって来たようだ。


11の月1週目。

王様の号令で工場という建物を建てるらしい。勇者様が教えてくれた技術とのことだ。楽しみである。


11の月2週目。

勇者様の世界には魔法は無かったらしく、魔法を用いない構造は不思議で、大工が王都へ集まる習慣ができていた!


11の月3週目。

魔法も併用していたからか、すぐに工場が建った。日雇いの労働者も募集して、スラムの人たちにも仕事を分けるそうだ。


11の月4週目。

『シヘイ』なる物を王都では利用出来るようにすると発表があった。金貨ではかさ張るので嬉しい技術だ。・・・偽物が作れないか考えてしまったことはここだけの秘密だ。


12の月1週目。

ライトの魔法を封入した魔石で街の明かりが立てられた。

夜の安全が増すそうだが、道路沿いは寝づらいだろう。


12の月2週目。

工場で生産が始まった。何を作っているのかと聞いたら、魔動馬車だと。馬が居なくても動くらしく、今は高いがそのうち庶民でも買えるようになるそうだ。


12の月3週目。

ちらほらと商人たちが魔動馬車を使い始めている。

これは流通に新しい流れがくるだろう。


12の月4週目。

新しい工場が建った。点火具や、光る石など、日常で便利な物を作るそうだ。


1の月1週目。

年が明けた。工場がどんどん建っていく地帯は区画門で新しく仕切られた。


1の月2週目。

住居も建て替えが出来るかもしれない?新技術の実験で建て替えに補助金が出るそうだ。申し込みに行こう。


1の月3週目。

『びる』や『まんしょん』が建ち並び、城よりも高い建物さえ建っていく。

王都はそんな所だったろうか?

みるみる内に景色が変わっていく。


1の月4週目。

勇者様と王女様の結婚が発表された。

どうやら既に世継ぎも居るそうで、この日は記念日となるらしい。


2月1日

新しい(こよみ)が施行された。

分かりにくいが、慣れれば便利な物らしい。


2月10日

すっかり町並みも変わり、勇者様の世界によく似た景色になったそうだ。


2月28日

先週は日記を書き損ねた。

魔動列車が運転を開始した時、手帳を忘れてしまったのだ。

だが、あの興奮は文字では書けない。

手帳を忘れる位で良かったのだ。


3月6日

そろそろ王都も全て見回った。

勇者様にお話を聞いてみたいものだと思う。


3月15日

やっと勇者様と話をすることが出来た!

私のような真新しい物を紙に書いていく人は『シンブンキシャ』になれるとのお話だった。

新しい情報を皆に配る英雄。憧れてしまう。


4月●5日

ううむ、新聞記者ともあろうものが日付を書き間違える不覚。


4月20日

忙しいが、やりがいがでて来た。なかなか日記が書けない。


5月1日

祝日が制定され、その日は休みになるそうだ。

今日は祝日、楽しもう。


5月11日

工場からカメラが届いた。

・・・今更ふと気付いたが、勇者様の用いてらっしゃった言葉が片言ではなく普通に話すことが出来るようになってきた。

このカメラがあれば写真を作れる。文字だけより写真を載せる。

印刷が手で版を削っているのも魔法を利用出来るように改革した。


5月26日

私たち「王都新聞」は王都の名物となれた。

勇者様の名言コーナーを載せた事も名言の理由だろう。


6月8日

輪転機が出来上がった。魔動モーターと歯車の合わせ技で、どちらの世界からも技術を得た究極の「機械」。


6月30日

驚くなかれ!ついに庶民にも手の届く印刷物、「本」が作れるようになった!

始まりの本としてこの日記を元にするらしい。

恥ずかしい所は削っておこう。


7月1日

あれから1年、変われば変わるものだ。

1年前の私に、1年後に王都で人気の物を作ると言っても決して信用しないだろう。


7月10日

そうだ。記憶を写す魔法とカメラで、1年間の王都の変化を日記と共に本にしよう。


王歴元年、8月1日、日曜日

年数を把握出来るようにと、新しい日付が出来た。これで長持ちする物を使った詐欺も撲滅だ!


王歴元年、8月8日、日曜日

この本の初版が発される。

だからこの日記もここまで。

ここから先はまだ真っ白なのだ。

私の日記を読んでいる君はどんな歴史を刻むのか。

いつか英雄になったなら、話を聞かせてほしい。

さあ、記録を始めよう━━



━━ある旅人の日記より━━


※編集部より。

この写真は当新聞社の社長が旅人で有った時から見た景色を写しだしたものである

「石造りで歪んだ家の建ち並ぶ王都」

「木と石で出来た家のある王都」

「マンションやビルが建ち並ぶ王都」

私たちはこれからも、変化する王都を走り続けます。


━━『王都新聞社発行「ある旅人の日記」』━━

ご覧いただきありがとうございます!

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