動き出す不老不死者6
「三年間ありがとう」
「俺は特に何もしてないんだが」
「あなたが所属してくれただけでも、名門の家としての家格があがったわ」
「そうかそれならよかった。」
魔法国家では三年ほど開発や論文の提出を行っていた。その途中で盗賊退治のときに声をかけられた家に一時的だが所属することになってしまったが、特定派遣と考えれば別によいだろう。
ルームの中では、この三年では劇的な変化が生まれている。劇的に上がった魔力のおかげで高さを30メートルほどに上げ、広さは東京ドーム50個分くらいになっている。
それともうひとつ階層を追加した。こちらは東京ドーム一つ分くらいだが、魔物の実験を行っているスペースである。鶏も順調に数を増やし、実験を行っても大丈夫なくらいにはそろっている。約束の五年にはあと一年ほどあるのでこのままルーム内のことをしながらすごそうと思う。
前に土の運び入れや木の移植が大変だといっていた問題も解決した。なければ自分の魔法で生み出せばよいのだ。論文の中では創造魔法というものがあり、物質そのものを生み出すという魔法だった。過去に1人だけ大賢人が使用されたという魔法だ。なぜ過去に使用できる人がいて俺が使用できないわけがない。
魔力の効率が悪すぎる魔法ではあるが超級魔法50回分くらいだろうか?しかし自分の回復スピードは一秒間に超級魔法100回分くらいはある。ルームの魔力は当然除いた数値でだ。永遠に使い続けても魔力がなくなりそうにない…
実験やルーム内の改造を行いながら魔力を増やす作業をしていると一年がたってしまった。広さは特に変えずに高さを400メートルほどに変えた。これだけあればどんなドラゴンなどができたとしても生きていけるだろう。
鶏たちの実験にも変化があった。最初は魔石を体内に埋め込めば魔物に変化すると考えていたが、それは失敗に終わった。たとえれば人間の体にプルトニウムなどを埋め込んだ形に近い。体からは放射能が出るが意図して抑えられたりはしないだろう。それと同じで鶏もすぐに死んでいってしまった。
それに反省した俺は、今度は卵のうちに魔力を流し続けてみた。ダブルの分身に魔力を回復させる魔道具を持たせた物にやらせた。そうすると鶏が魔力を持って生まれてきた!
生体になるまで観察したが魔力を失うことはなく次に生まれてきた子供も魔力もちだった。そうなると魔石を体に埋め込んでも大丈夫ではなかろうか?
もともとが放射能を発する存在に放射能を発する石を埋め込んだようなものである。何も不都合はないはず。という考えの下50羽ほどに魔石を埋め込んだ。その鶏たちは今日も元気に生きている。後は次の子供たちが魔石を供えて生まれてきてくれることをねがうばかりだ。
「おい、ラスク!待ちわびたぞ」
「ほんとに、シード領に店舗を持つとは…」
「独立するときに誘われて、好条件だったからついその話に乗ってしまったよ…」
「これでお前も魔道具を作りながら俺の家臣団に所属できるじゃないか」
「ゲインの一人勝ちってことか、まあよろしく頼むよ」
こうしてシード領魔術師兼サラエド商会魔術技師な俺の生活が始まってしまったのである。