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動き出す不老不死者1

【この門をくぐるものは一切の希望を捨てろ】


「まさかこの門を二度くぐることになるとは…」


世界には地獄というものがどのように伝わっているだろうか。悪いことをした人間が基本的に入り罪に応じた年数閉じ込められ、罪を消化したなら輪廻に戻される。逆に特に何もしていない人は天国に行くというものが基本的な考えだと俺は思う。

しかし現実は非常である。人間に生まれた以上ものを食うのでまずそれが罪になる。天国にけるのは基本的にほかの生物を体内に取り組まない生物か、生まれた瞬間に命を落としてしまった生物だけになる。


「では次の方どうぞ」


そして地獄で罪を終えた人間は選ばされるのだ。


「あなたは来世に前世とこの地獄での経験を引き継ぎますか?」


そう、来世への記憶の引継ぎだ。基本的な罪人は引継ぎを選ばない。なぜなら地獄での恐怖と罪の年数で意識がほぼなくなっているからだ。前世が人間であった罪人の平均的刑罰年数は6000年。これは逮捕歴がなく老衰による死を迎えた人がこのくらいだ。俺は63歳でがんによる死因なので5200年ほどらしい。そんな俺の選択はもちろん。


「お願いします」


記憶を引き継ぐことだった。


****************************************


来世の俺が転生したのは中世くらいで魔法がある世界に生まれた。これは俺のリクエストだ。記憶を引き継ぐ際特典がある。


1.行きたい世界を選べる

2.人より優れた身体能力

3.身分が他よりはよく生まれる

4.人間である

この四つだ。その中から俺は魔法がある世界を選んだ。昔からゲーム好きで魔法がある世界に行ってみたいというのと、魔法で不老不死になればあの地獄に二度と行かなくてもよくなるという希望的観測だ。


 希望も叶い今回の人生は騎士爵家の三男といういい立場に生まれた。跡継ぎ争いをするわけでもなく、ほかの人間よりいい暮らしができ、何より勉学をする余裕がある。2歳になるころから文字を覚え3歳になるころには自宅の書庫への出入りをして魔法を覚えるようになった。


「これは魔法書の初級か。体内の魔力を探知するところから始めなければならないのか、できれば40くらいには不老不死へと至りたい」


魔法は難解だった。まず体内の魔力とやらが分からない。前世では魔法の魔文字もなかったのだから当たり前かもしれない。この世界の人々による魔法の立ち位置は生活の必需品と戦いの道具というところだろうか。一般的なメイドでもかまどの火を起こすのに指先から火を出す。暗くなって少し明かりがほしいなら光を出す。など生活の一部で使われているが戦争などでも重火器の代わりに魔法が使用されている。なんとファンタジー成分にあふれる世界だろうと本を見たときは思った。


月日は流れ俺は4歳になった。既に初級魔法はすべて覚えた。この世界における魔法とは体の心臓の中にある核から魔力を出しそれを自分の思念派により事象を起こすというものだった。違う本に教会が神様は心の中にいてわれわれの理想をくみ取って奇跡を起こしているという解釈をしていたが神様なんて地獄にはいなかった。


「ラスク様朝食が整いました」


「今行くよ」


今世の俺の名前はラスク=フォン=エンパテという名前だ。おいしそうで気に入っている。


「では朝食をいただくとしよう」


この細身の真面目そうな男が今世の父親ロクーラ、その隣に座っているのが母親リーラだ。他の兄二人は王都にある学園に行っているらしい。6歳から16歳まで通う学園で様々なことを学んでいる。


「ラスクちゃんは今日何をするの?」


「本を読みます。母上」


「ラスクは本当に本が好きだね。」


「はい!とても面白い物語がありますから」


「勉学に励んで将来は文官にでも就職してくれたらお前も安泰になるのにな」


そんなことを言われてるうちに朝食は終わり書庫に行く時間になった。書庫では本を読みながら魔力の増幅と制御の訓練をおこなうのが日課になっている。基本的に魔力は筋肉と同じで使えば使うほど増大していくらしい。ある程度時間がたつと回復していく。感覚的に3時間ほどで完全回復する。一般的な農民等は魔力切れまでに初級魔法を50回くらいは使えるそうだ。自分も最初はライトの魔法を5回くらい使うとすぐに魔力切れで身体がだるくなったが最近では25回ほどに伸びてきている。初級魔法は大体同じくらいの魔力消費なのでMP換算でいうと25くらいだろうか。いつかは自分でステータスを現す魔法でも発明してみようと思う。


月日は流れ俺は学園に入ることになった。月日が流れるのが早いと思うかもしれないが特にいうこともなく毎日同じことの繰り返しなのでいうこともないのだ!

毎日書庫にこもり魔法の訓練と生きていくための生産術などを学び、5歳になったころにはこっそり木の剣を持ち込み素振りなどもして運動もしていた。外出が嫌いなわけではないが一人でいたいので書庫にこもっていた。


その成果もあり中級魔法が使えるようになった。中級魔法は初級魔法を50ほど使えるようになれば使用が可能と書いてあったので使用してみたのだ。使える魔法は初級の進化形がほとんどだった。俗にいう生活魔法から攻撃魔法(初級)になったようなものなのだ。しかもあまり書庫から出たくない俺は使いたくないのが本音だ。その時に便利だったのが身体強化の魔法である。一回かけるだけで10分ほど継続的に身体能力を感覚的に1.5倍ほどになる効果だ。本を読みながらかけるだけでだるく眠くなれるのでみんなも使おう!


「では父上母上行ってきます」


「長期休暇には帰ってきなさい。みんな待ってるからね」


「はい!2年に一回は帰ってきます」


「もう少し多くてもいいのだよ…」


家から1週間も馬車に乗らなきゃいけないのでめんどくさいのだ。


馬車で身体強化の魔法を使い本を読んでるうちに王都についた。特にいうことはない。この世界にはファンタジーの醍醐味の魔物はいないのだ。どうやら動物は心臓に魔核がなく魔法も使えない普通の動物でしかない。そのためダンジョンもなければ冒険者ギルドもない。魔法があるだけの中世ヨーロッパと何一つ変わらないつまらない異世界である。不老が完成したら魔物でも作って魔王と呼ばれるのもありかもしれん。



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