午後の珈琲(200文字小説)
以前読んだ小説にこんな一文があった。
〝一冊の本、一杯の珈琲で日々の幸せを感じとることができる人〟
作中に登場する、〝奇妙な先輩〟を端的に表現したものだ。
私はそんな生き方に憧れている。
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休日の昼下がり。
行きつけの喫茶店で、珈琲を頼む。
そして珈琲を片手に、日が暮れるまで本を読みふける。
それが私の抱く理想だ。
とは言うものの、理想と現実はかけ離れている。
家の前に延々と広がる田んぼを見ては、溜息をつく毎日だ。
最初辺りの一文は、岩波文庫編集部の「読書のたのしみ」からイメージ・引用しています。