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ビクトリア帝国戦記 改 【完結】  作者: 桒田レオ
第二章「ビクトリア帝国」
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四話


 夕食時。


「うん、美味い。久遠、また料理の腕を上げたか?」

「ふふふ、日々精進しておるのじゃ」

「そうか。うんうん、美味いぞ」


 本当に美味しそうに自分の料理を食べてくれる夫を見て、嬉しそうに微笑む久遠。

 朝陽も夢中になって食べていた。

 暫くして、ウィルは隣に置いておいたプレゼント袋を手に取る。


「ふっふっふ、久遠、朝陽。実はお前達にプレゼントがあるんだ」

「本当!?」


 朝陽は食事を一旦止め、席から立ちあがる。


「こら、行儀が悪いぞ」

「あぅ……ごめんなさい。ママ」


 久遠にぺちっと頭を叩かれ、座る朝陽。

 ウィルは苦笑した後、まず大きいプレゼント袋を朝陽に渡した。


「ほら、朝陽の分」

「わぁぁ……っ。ねぇパパ、今開けてもいい!?」

「勿論」


 朝陽は慌てず包装を解いていく。

 中から出てきたのは、大きな狐のぬいぐるみだった。


「これ!! 私が前欲しいって言ったお人形さん!!」

「旦那様、覚えておったのか」

「忘れる筈ないだろ」

「ありがとうパパ!! 大切にするね!!」


 ぎゅううとぬいぐるみを抱きしめる朝陽。

 朝陽がぬいぐるみに夢中になっている間に、ウィルは久遠に小さいほうのプレゼント袋を渡す。


「今開けてもいいぜ?」

「……いいや、後でにする。楽しみにとっておきたい」

「そうか」


 プレゼントを抱きしめる久遠。

 ウィルは微笑んだ後、食事を再開する。


「よーし! 今日は一杯食うぞー! ハッハッハ!」


 ウィルは豪快に笑いながら、料理を口に運んでいった。



 ◆◆



 夕食後。

 寝室で。


「くぅ……くぅ」


 朝陽は狐のぬいぐるみを抱きしめながら眠っていた。

 ウィルはその寝顔を愛おしそうに見つめ、頭を撫でる。


「おやすみ、朝陽」

「ん、ぱぱぁ……」


 寝ながら笑う朝陽に布団をかけ直してやり、ウィルは寝室から出て行った。

 リビングには、久遠が待っていた。


「またせたな、ハニー」

「ふふふ、ダーリン♪」


 ウィルは久遠をお姫様抱っこする。

 久遠は嬉しそうにウィルの首に手を回した。

 ウィルはリビングに向かい、久遠を抱いたまま座る。


「ありがとう、俺がいない間に朝陽を育ててくれて」

「朝陽はいい子じゃ。心配ない。何せ妾と旦那様の」


 ウィルは久遠の唇を人差し指で塞ぐ。


「二人きりの時は?」

「……ダーリンっ♪」


 久遠は嬉しそうに囁く。

 ウィルは微笑んで、久遠の稲穂色の長髪を撫でた。


「今夜は存分に甘えてくれ。……俺はお前だけの男だから」

「……嬉しいっ♪」


 久遠はウィルの首筋にキスする。

 久遠の九本の尻尾は、愛しい男を決して離さないとばかりに各所に巻きついた。


「……そういえば、プレゼントは見てくれたか?」

「ネックレスじゃろう? ほら」


 久遠は胸元にぶら下がったネックレスを愛おしそうに掬う。


「ありがとう、ダーリン。本当に嬉しいのじゃ……っ」

「よかった」


 微笑むウィル。

 久遠はとろんと蕩けた瞳で、ウィルの瞳を覗いた。


「なぁ、ダーリン」

「どうした?」

「……二人目、欲しくはないか?」


 久遠の発言にウィルは瞳を丸めた。

 が、すぐに柔和に微笑む。


「ハニー。俺はお前との子なら、何人でも欲しい」

「っ。嬉しい……妾も、ダーリンとの子供がもっと欲しい」


 真っ赤な顔ではにかむ久遠。

 ウィルは立ち上がり、二人の愛の巣へと向かった。


「今夜は長いぞ。ハニー?」


 ウィルはふわりと、久遠の唇を奪う。

 唇が離れた後、久遠はあわわーっと顔を真っ赤にした。

 九本の尻尾は、ぴちぴちとせわしなく動いている。


 二人はそのまま、愛の巣へと入っていった。


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