表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ビクトリア帝国戦記 改 【完結】  作者: 桒田レオ
第一章「最強の暗殺者」
3/24

二話


 南方の王国は酷い有様だった。

 男を中心に子供、老人まで皆殺しにされ、女は慰め物にされていた。

 栄華を誇った王国の面影はどこにもなく、冷たい風と共に朽ちていく廃墟が虚しさを強調する。


 城の地下牢に、サーティス王国の姫君は囚われていた。

 ジメジメとした湿気に包まれ、蝋燭の灯りが仄かに辺りを照らし出す。


 鉄格子の牢に閉じ込められている姫君は、奥まで逃げてガタガタと震えていた。

 その様子を眺めて、門番のモンスター達は下品な笑みを浮かべる。


「ヒヒヒッ、い~い娘だぁ。魔王様の命令がなけりゃ、とっくに玩具にしてるのに」

「おいおい。……まぁ、わからなくはねぇがな」


 視姦され、姫君は自分の身体を抱きしめた。

 嫌悪と、それに勝る圧倒的恐怖。

 魔王の命令が無ければ、今頃強姦されている。

 想像し、恐怖のあまり涙を流す姫君。

 そんな彼女の泣き顔が、門番達の嗜虐心を刺激する。


「涎が出ちまうなぁ……最高の泣き顔だぜ。あ~、今すぐ犯してぇ」


 モンスターの一匹が舌なめずりしながら鉄格子を掴む。

 やれやれと肩を竦める隣のモンスター。


 次の瞬間、事は起きた。

 鉄格子を掴んでいたモンスターが突然倒れたのだ。

 隣にいたモンスターは訝しげに倒れた同僚の元へ向かう。

 揺さぶり、意識がないことに気付いて、動揺するモンスター。

 しかし彼もまた、糸切れ人形のように意識を失った。


 暫くして、モンスターが何者かに引きずられ始めた。

 姫君には、その何者かを視認できない。

 だが、確かに誰かがそこにいる。

 地下牢の出口まで、モンスターを運んでいるのだ。


 恐怖のあまりガチガチと歯を鳴らす姫君。

 モンスター達が地下牢の外へ運び出されると、ゴキ、ゴキッ、と不気味な音が鳴った。


「申し訳ありません。あまり見せたくなかったもので」


 何もないところから声が出る。

 スゥゥと姿を現したのは、黒髪の美丈夫、ウィルだった。


「ひぃぃ……ッ」


 姫君は悲鳴を漏らす。

 ウィルは苦笑して、自分がどのような存在であるかを説明した。


「安心してください、姫君。俺はサーティス王国の国王に頼まれて、あなたを救出しに来たんです」

「!!……で、でも、信用できないわ!!」

「信用して貰わなければ困ります。ですが……現状はお察します」


 ウィルは拳を握る。


「もう少し待っていてください。魔王を始めとしたモンスターを倒してきます。その後、姫君を救出します」

「……ッ」

「では、失礼します」


 ウィルは透明になって消えていった。

 完全に見えなくなる。


 姫君はまだウィルを完全に信用したわけではない。

 が、ほんの少しだけ、期待していた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ