表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/14

ファーストコンタクト

日の光が瞼を刺激し、目を覚ます。

太陽(暫定的にそう呼ぶ)はまだ低い位置にあるから、まだ早朝と見ていいだろう。


「……んっ、ふぁ……」


座ったまま寝たせいか、妙に凝っている体を伸ばし、欠伸をする。


「異世界2日目、か」


そっと呟くと、ポーチから食料を出す。

残りの食料が少なくなってきたのを確認し、そろそろ節約しないと、と思う。


とりあえず今日はどうしようか。

そう思いつつ、生前に読んだ異世界転生モノの小説を思い出す。

あまり好んで読んだ訳ではないが、傾向としては、チート能力、鑑定、アイテムボックスなんかを持っていることが多かった。

そう思うと、なんだかんだ僕もテンプレに乗っ取ってるのかも。

よし、今日は山から降りつつ、先人に習って鑑定で薬草なんかを片っ端から探そう。


今日の方針を決め、立ち上がる。

鑑定、と呟き、至るところを鑑定しながら歩みを始める。

しばらく歩いて見つかったのは以下の通り。



薬草

HP回復効果のある草。そのままでも効果はあるが、調合し、ポーションにすることでより高い効果を発揮する。



解毒草

状態異常回復効果のある成分を含む草。そのままでは効果はなく、調合し、解毒ポーションにすることで効果を発揮する。



ワライタケ

食べると軽い幻覚症状が発症する。効果は30分程だが、その間は笑いが止まらなくなる。


―――――――――――――――――


とりわけこの3種類ばかりが見つかった。

薬草と解毒草は見つけ次第ポーチに放り込む。

ワライタケ?見つけても全部捨てましたよ。ええ。

何か食べ物でもあればなーなんて思って見つけたキノコを鑑定すれば、ワライタケ、ワライタケ、ワライタケ……。

ここはワライタケ山とでも言うのだろうか。それほどまでに執拗にワライタケが見つかった。


そうこうしている内にお昼ぐらいの時間帯になった。

食料も少ないし、そろそろ山を抜けたいなぁ。

ここで少ない食料を食べるか考えていると、遠くにぽっかりと空いた洞窟が見えた。


そしてなんと、その洞窟の前に人が立っているではないか。

目を凝らしてよく見てみる。


男、だろうか。

なんとなく雰囲気は似たようなものを生前に感じたことがある。

それは、ええと……。


――そう、DQNだ。


この距離では閲覧は届かないし、心の中でDQNと呼ぼう。


ともかく、これが異世界での人とのはじめての接触だ。ここは是が否とも成功させたい。

そうだ。相手はDQNっぽいし、下手に出ればうまくいくかも。うん、そうしよう。


そうして、頭の中で作戦会議を終える。

よし、きばってこー!!


気合いを入れ、男の方へと歩き始める。

足音を聞いてか、DQNはこちらの方を向く。


「あのぉ、すみません」


僕は困ったような表情を作り、話しかける。

知らない人に話しかける為の定番の方便、道に迷った、だ。


「山に入ったら、迷ってし――」

「あぁ?なんだてめえェ!!何でこんなところに居やがる!!」


僕の言葉を遮ると、ナイフを取りだし、構えた。

えっ!?いきなりコンタクト失敗!?


「え、あ、いや、だから道に迷って――」

「まあいい。殺しちまえば何の問題も……無いよな?」


またもや僕の言葉を遮ると、間合いを計り始めた。

戦うしか、ないのか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ