とりあえず身の回りの確認
鳥のさえずりが聞こえる。
背中には柔らかい草の感触がする。
そして緑の濃いつんとした匂いが鼻腔を満たす。
目を開けると青々とした木の葉が視界一杯に広がっていた。
森だろうか?……いや、坂道が続いているのを見ると、ここは山だろう。
どうやら本当に転生したようだ。
いきなり山の中に放り出されたことから、転送はランダムなんだろうか。
色々考えていると、ふと思い出した。そして念じてみる。ステータス、と。
名前 皆川 千早
性別 男
種族 人間
年齢 17
HP ∞
MP 120
物理攻撃 32
魔法耐性 10
運 8
スキル
閲覧
鑑定
剣術 Lv.1
特性
言語理解
不死
女神の加護
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お、本当に表示された。
なんとなく、生前やっていたRPGを思い出す。
このステータスは高いのか低いのかわからないけど、閲覧と鑑定の違いはなんだろう?
と、思っていると、詳細が表示された。
鑑定
物の価値や特性を見抜く。
閲覧
生き物のステータスが閲覧可能になる。
自分のステータスを見る場合は「ステータス」と言うか念じると発動可能。
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どうやら鑑定は物限定、閲覧は生き物限定で詳細を除き見ることができるらしい。
せっかくなのでこのまま他のステータスも確認してみよう。
言語理解
この世界のあらゆる言葉を理解することが可能になる
不死
何があろうと死ななくなる HPを∞にする
女神の加護
女神の声が聞こえることがある
―――――――――――
なるほどね。見間違えたかと思ったけど、このHP∞とやらは不死の効果らしい。
そして言語理解は、異世界で言葉が通じないと困るってことへの対処のようだ。
女神の加護はどうやら、女神が接触してくるためのものみたいだな。
まあ、生きる意味を見つけたら不死がなくなるらしいから、接触は必要だろう。
ステータスを確認していると、視界のはしにウエストポーチが落ちているのを見つけた。
せっかくなので鑑定で確認してみよう。
「鑑定っと」
四次元ポーチ
四次元に繋がったポーチ。
質量を無視して物を入れられる。
生き物は不可。
―――――――――
え?なにこれすごい。
どこかのどらちゃんが持ってそうなやつだ。
これが女神様が言ってた「最低限のもの」だろうか。いやいや、こんなの最低限どころじゃないよね。
とりあえず危険は無さそうだし、物色してみますかね。
ポーチを漁って出てきたのは以下の通り。
加護を受けたナイフ
10000リン
携帯食料×10
ペットボトル500mlの水×10
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加護を受けたナイフとは決して折れず、刃こぼれしないらしい。
リンとはどうも、この世界の通貨らしい。どれぐらいの価値があるのかはわからないけど。
あとは食料が入っていただけだった。
本当に必要最低限なのかどうかは微妙だった。