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9話 防衛クエスト開戦

 街門の上に着いた。

 下級悪魔たちが盾を構えた指揮官達に攻撃を加えているのが一望できる。 

 対する指揮官達も、盾の隙間から応戦しているが大したダーメジは入っていないだろう。


 下級悪魔とは言え苦戦は免れないか。


 ゲームでのこのクエストはフェーズ分けされていた。

 下級悪魔を殲滅したらもうちょっと強い下級悪魔が登場し、最後にボスが登場する。

 ボスの強さは中級から超級までがランダムに用意されているので、クリアには運要素も大きく関わる。

 さすがに俺も超級には苦しめられた。


 ヘレンが帰ってくる前に下級悪魔だけでも倒しておこうと思ったが、矢継ぎ早に次の大群が押し寄せて来たら盾持ちが耐えられない可能性もある。

 それすらも一気に殲滅させられるか今の俺には自信がない。

 ゲームなら気にしないけど、これは飽くまでも現実なのだ。

 ヘレンと言う絶対の盾がいればいくらでも暴れられるが、ここは安全策で乗り切ろう。


 とりあえず足止めだけでもしておくか。


 ウィンドウを開き目当ての武器を探す。

 インベントリから星5の狙撃銃『アビス』を取り出し、スタンス『ハンティング』をセットする。

 片膝立ちで銃を構え、最前列の悪魔に照準を合わせて発射した。

 

 弾丸が悪魔に命中するとそこから黒い煙のようなモヤが拡がって周囲の悪魔も包み込む。

 それに飲まれた悪魔は急に仲間同士で戦い始める。


「よし、ドンドンやり合え」


 さらに5連射で、武器固有スキル「アビスメント」を打ち続けた。

 ダメージを与えられない代わりに、黒いモヤに包まれた者を混乱に陥れる効果を生みだす。


 同士討ちする悪魔の輪が徐々に広がっていく。

 指揮官達もそれを見て呆気にとられている。


 これで少しは時間稼ぎが出来そうだ。


 レッチは俺の仕業だと気づいた様だ。

 こちらを見上げて親指を立てている。その返事として同じサインを送ってやった。


 レッチも負けじといった感じで杖を構える。

 渡した杖が三色の魔法を生み出して悪魔の群れに放たれた。

 その杖は炎、氷、雷の魔法を同時に撃つ固有スキルを持つ。

 下位スタンスでは装備できずレッチが持つエレメンタルスタンスがあって初めて機能する。


 それは俺が思った以上の効果を出していた。

 多くの下級悪魔を殲滅している。


 もしかしたらレッチの魔法力は優秀なのかもしれない。


 それを横目に通常攻撃を連射するスキル『シューティングスター』と『アビスメント』を交互に打ち続けて徐々に悪魔の数を減らしていった。


 盾持ちにも大きな負傷者が出ていない模様だ。

 このまま最初のフェーズを乗り切ってしまおう。


 そう思った矢先、ヘレンが悪魔の上から光の矢『ホーリーレイ』を無数に投げつけている。

 偵察から戻ってきたようだ。

 隣に降り立つと大きな翼を折りたたみ、鎧の中へ収納した。


 これどういう仕組みなんだろう?


 なんて事を気にしつつも狙撃銃での攻撃は手を休めない。

 そのままヘレンへ報告を促した。


「どうだった?」

「今回のボスは中級のガーゴイルでした。しかし希少種なので油断は禁物かと」


 希少種、要はレア種だ。

 中級ではあるけど、それよりはかなり強いと考えないといけない。


「ご苦労さま。さっそくだけどヘレンは下の奴らを守っててもらえる? とりあえず第一波を全滅させちゃうからさ」

「了解しました」

「頼んだよ」


 そう言って俺は武器を変える。

 両手には揃って星6の拳銃『フレイムストライカー』を持つ。

 スタンスは『ドライブショット』をセットした。

 さらに今回は防具も星6の『霹靂(へきれき)のコート』を装着する。

 すると全身濃紺の服に包まれた。

 軽装にも程があると指摘されるような見た目だが、回避に特化した「攻撃が当たらない」優れた防具なのだ。


「ケイ様、御武運を」

「ヘレンもね」


 力強く頷き合い、同時に街門から眼下の渦中へと飛び降りた。

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