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5話

あれからすぐに階段を見つけ一つ下がったがそれほど強さが変わらず、気づくと12階層まで来ていた。

レベルも順調にアップしている。

ちなみに、イリスの談だと10階層を過ぎれば新米卒業レベルらしい。

要するに、アルレイトはやっと新米から普通の冒険者に昇格したのだ。


「あ、またオークだ。」


10階層からは今までの階層のモンスターに加えてオークとボブゴブリンがでるようになった。

10階層ごとにモンスターが2種類増えていくとイリスから教えてもらった。

ボブゴブリンは見た目が少し大きく、強くなったゴブリンだ。

そろそろ、この二匹も飽きてきた。

と言うのも、モンスターの攻撃は単純すぎてすぐに攻撃パターンがわかってしまうのだ。


「弱い……」

「まあ、お兄ちゃんが強いですから……」


この会話も何回目になるかわからないほどした。

イリスが持っている鞄は結構な数のドロップアイテムと魔力結晶を入れているのに膨らむ気配がない。

そして、同じところから食料が出てくる。

パンの耳限定だが。


「パンの耳も飽きたな」

「すいません。それしかないので、我慢してください。」

「ああ、それにしてもその鞄、かなり物入るね」

「ああ、これは全財産つぎ込んで買ったマジックアイテムですから」

「まじっくあいてむ?」

「マジックアイテムって言うのは魔法を付与した物のことです。高かったんですよこの鞄。本当は重さが物を入れても変わらず、物がいっぱい入るやつを買いたかったんですが、お金が足りませんでした。でも、荷物もちには必要だと思って、荷物をいっぱい入れれるやつを買ったんです」

「へー、その中にオークの生肉入れてたけど大丈夫なの?」


オークの生肉と言うのはオークの通常ドロップで焼くと豚みたいな味だが、豚より美味しいらしい。


「はい。この中は時間が止まってますから。まあ、そのため生き物は入りませんけど」


会話しながらモンスターを倒し、最短距離で階段を下りていく。


「そういえば、15階層ごとにはボス部屋というのがあって、ボスを倒すと経験値が多く、ドロップアイテムもいいものが落ちると聞きました」


15階層に降りたときにイリスが思いだしたように言ってきた。

それを聞いて俺は少し、ウキウキしてきた。


「行こう!」


俺は、ボス部屋の特徴である、普通の部屋よりも大きい部屋に向かって歩いた。

ボス部屋のとこに着くと、人が何人かいた。

これまでも、通路ですれ違ったりはしたが、別に話したりはしなかった。

しかし、通りすぎるときに明らかに嘲るような視線を毎回感じた。


「おい坊主、足手まといを連れてどうしたんだ?」


大男がこれまた嘲るような感じに言ってきた。

その視線の先にはイリスが居る。


「ん?足手まといってのは誰のことだ?荷物もちをしてくれる女の子しか連れてないんだが?」 


俺が冷静にそう返すと、その反応が面白くなかったのか今度は脅すように言ってきた。


「ここは子供の遊び場じゃねぇんだよ!」

 

まあ、それなりにこの大男も強いのだろう。

その声と一緒に伝わってくる気迫の力強さはなかなかだった。

と言っても、これほどなら俺たちの世界ではやっと見習いを抜けたほどのものだが。

(そっちがその気ならこっちもやりますか。)

アルレイトが普段抑えている()を解き放つ。

「気」と言うのは万能なもので、さっき大男が声を放つ時に使ったように、気を声に込めると相手を怯えさせたり、足をすくませたりも出来る。

しかし、一般的なのは気配だ。

気を上手く扱うことが出来れば気配を消すのも簡単だ。

もともと、気配というのは生き物が持つきのことだ。

要するに、気を操れるようになれば、気配を消すのもお手の物と言うわけだ。

と、話が長くなってしまったが、現在大男は俺の前で失神中だ。

アルレイトの気が強すぎて、意識が飛んでしまったらしい。


「あちゃー、やりすぎた」

「本当ですよ、私に向けられたわけでないのに意識が飛びかけましたし……」

「ごめんごめん」

「いえ、それよりも……」


イリスは会話の途中で前方を見る。

そこには気を失っている冒険者達の姿があった。

今、新たにここに来た冒険者がこの光景を見たら、さぞかし慌てるはずだろう。

なんてったって、ボス部屋前の待機部屋(モンスターが出ない安全地帯となっている)に複数の冒険者が倒れ付しているのだから。


やっとのことで、多数の冒険者を部屋の脇に積み重ね、いよいよ念願のボス部屋!


「それじゃ、行こうか!」

「はい」


目の前の扉を開け、いざ強敵の居るボス部屋へ。

部屋のドアを閉めると、魔素(まそ)と呼ばれている黒い(もや)が集まりモンスターを発生させた。

これまでも、何回かダンジョンの中で見てきたので別に驚きはしないが。


「さて、いよいよボスなんだが、……本当にこいつでいいの?」


そういったアルレイトの前に居たのは、オークを一回り大きくして、体が黒くなったやつだった。

プラス普通のオークが数匹護衛の如く付き添っている。


「はい。15階層のボスはオークの上位種の中でもトップであるオークジェネラルです」

「ふむ、オークじぇねらると。……じぇねらる、じぇねらる。うーんなんかあれだな。弱そう?」

「いやいや、ジェネラル系は上位種では最強ですよ。大体の魔物は普通の一般種、上位種である弓矢を使うアーチャー、剣を使うソルジャー、魔法を使うメイジ、そしてジェネラルです」

「ジェネラルはなに使うの?」

「そうですね、一般的に武器攻撃が主体ですね。それと簡単な魔法が使えます。後は、一般種よりもステータスが種類でまちまちですが平均2~3倍になります」

「ほえ~」


と、のほほんと話しているうちに護衛の如く付き従っていたオークがこちら向かってくる。

この光景は何度もあったすでに飽きている展開だ。

そのため、アルレイトの攻撃範囲に入った途端に切り裂かれ死体となった。


「弱い、弱すぎる」


レベルアップして、光に包まれながらアルレイトはそうつぶやく。

別に、アルレイトは戦闘狂ではないが新しい世界に来て期待していた部分があったのだ。

それは、前の世界では持つ余裕がなかった期待する気持ち、楽しむ気持ち、そして挑戦する気持ち。

挑戦も何も、まず相手が弱ければ挑戦にならないので、どうしようもない。


「後は、お前だ。せいぜい俺を焦らせてくれよ!」


そういって、アルレイトはオークジェネラルに突撃していく。

オークジェネラルは手に持っ手居る大剣でそれに迎え撃った。

ガキン!カン!

剣がぶつかる音が幾度も続く。

アルレイトは自分の持てる力の全てもって戦っていた。

アルレイトが培ってきた技術と、オークジェネラルの力技が均衡していた。

しかし、その戦いの終わりが見えてきた。

アルレイトの技がオークジェネラルの力を追い越し始めたのだ。

前の世界でもアルレイトは別に体の構造が他の人と違うだとか、強力な技だとかがあるのではなかった。

アルレイトがもっていた才能は技術の習得の速さと、技術の向上の速さだ。

今までも、その力で死線を潜り抜けてきたのだ。

今も、その才能によってアルレイトの剣技が着々と上昇しているのだ。

それにより、どんどんオークジェネラルが押されてきている。


「これで(しま)いだ!」


オークジェネラルによって振られた剣を弾き飛ばし、返す刃でオークジェネラルを切り裂いた。

深手を負い、膝を突くオークジェネラルに自分の技術を上げさせてくれたことを感謝し、その命を刈り取った。



「さて、これからどうしよっか?」


アルレイトはオークジェネラルとオークが消えた後に残った、魔石やドロップアイテムなどを回収しイリスにそう聞いた。


「余裕があるならもう一度ボス戦をやってみるのはどうでしょうか?」

「え!?そんなこと出来たの?」

「はい。入り口の扉をまた閉めなおせばまた出現するはずです。まあ、普通は連続で挑むのは迷惑となるのでしないんですが、まだ外の人たちは寝てるでしょうし」

「あ、そう……だね」


その原因であるアルレイトは少しばかりやりすぎたような気がして後悔をしていなくもなかった。

まあ、でももう少しボスとの戦いをやっておきたかったのでイリスに頼むと言うと、イリスは扉に向かい扉を開け外に待っている人が居ないのを確認すると再びドアを閉めた。

また、魔素が集まりオークジェネラルたちが出現した。



ボス戦を十数回続けていると、やっと外の連中がおきてきたらしい。

俺たちは、ボス部屋を出て戻ることにした。

そのとき、他の連中からはかなり避けられている感じだった。

まあ、仕方ないのだが。

ちなみにレベルはかなり上がった。

オークジェネラルは普通のオークより多くの経験値をもらえるみたいだ。

イリスに聞いてみると、強さに応じて経験値も上がるみたいだ。

オークで言うなら

一般種<上位種(アーチャー、ソルジャー、メイジ)<亜種<上位種ジェネラル<亜種上位種<希少種<変異種<最上位種

となるらしい。

亜種などなどの聞いたことのないものはイリスも名前だけ知っている感じで詳しいことはわからないらしい。

まあ、それらの知識は大きい所では図書館、小さい所ではギルドの書庫などでも調べることが出来るらしい。

(今度調べてみよう。)

一度、外に出たら先ずは知識をつけようと決心するアルレイトだった。


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