3話
ネーシャ達と入ったのは落ち着いた雰囲気があるカフェだった。
二人がメニューを見ずに頼んだのを見てアルレイトも急いで決め店員に頼んだ。
「それで、何で常識なんて知りたいの?」
「あー、そう!記憶喪失なんですよ実は!」
「それで、何で知りたいの?(ニコッ)」
(これはやばいやつだ。嘘ついたら殺すぞって目してるわー……。)
危険が危ないのと、これ以上嘘をついていくのも大変そうなので真実を話すことにした。
(やべー、どきどきする。)
「えっとですね。驚かないで聞いてほしいんですけど、実は俺この世界の人間じゃないんです。」
「へー、そうだったんだ。なるほどね。それでか」
あるぇー?おっかしいぞー。
全くと言っていいほど驚いてない。
むしろ、納得してる。
「驚かないんですか?」
「いや、だって異世界人なんてこの世界じゃ多くはないけど居ないわけじゃないからね。現に、この国とか隣の国とかでも異世界から勇者を召還とかしてるしね。後は、迷い人とかかな。高名な学者さんによると、一時的に世界が繋がってしまってこの世界に流されてくるみたい。」
意外なことにこの世界では異世界人は珍しくないらしい。
「お待たせしました」
「来た!」
やっと、頼んでいたものが来た。
店員さんが来た途端、ジルは目を輝かせた。
いきなり、声を発したので少し驚いた。
それにしても、ジルは食べるのが好きらしい。
今も、満面の笑みで運ばれてきたケーキを食べながら俺の頼んだタルトを凝視している。
「俺のも少し分けましょうか?」
「!!!」
俺がそういった途端ジルはコクコクと嬉しそうに頷いた。
切り分け、それをジルの皿にのせる。
「ありがとう」
「いえいえ、俺も助かりましたから」
「ん。あと、私のことはジルでいいよ」
「うん。わかった。ジル」
「ん。これアルからタルト貰ったから」
そういってジルがケーキをフォークでこちらに寄せてくる。
俺は皿をジル側に寄せるが、ジルは置かずにいる。
「はい、あーん」
「え?ええー!?」
「あーん」
こ、これはやばい。
ていうか、そのフォークでさっき食べてたよねケーキ。
間接キスになるんだけど……ジルは全く気にしてるそぶり無し。
「あ、あーん」
ついに、口の中にケーキの乗ったジルが使ったフォークが入ってくる。
俺が口を閉じるとジルはこちらを見てくる。
これは感想を求めてるんだろうか?
「おいしいよ」
俺がそういうと、汁もまた笑顔になり俺の上げたタルトを食べていく。
「こっちもおいしい」
「そう。それは良かったよ」
なんというか、このほのぼのした感じの空気がとても嬉しく感じた。
二人で、見つめあい笑いあいながらスイーツを食べる。
「ごほんっ!」
わざとらしい堰が聞こえたのでそちらを見ると笑顔だけど後ろに般若が見えるネーシャがいた。
「あ、その……」
「アルレイト君は!私に!聞きたいことが!あったんじゃなかったの?ん?」
最後に首をかしげて聞いてくる。
うん。なんか雰囲気がやばい。
「……すいません」
「まあ、今回は許しましょう」
「ありがとうございます」
俺なんで謝ってるんだろう……。
そんな疑問もあったが、せっかく話が進めれそうなので気にしないことにした。
「まあ、アルレイト君は異世界人との事だったけど迷い人なのかな?勇者ならこんなところをさまよったりはしてないだろうし」
「まず、迷い人自体がさっきの説明で理解できなかったのででなんとも」
「ああ、わかりました。まず、勇者のことを説明しますね。勇者と言うのは複数の国お抱えの凄い魔術師たちが集まってやる儀式によってこの世界に来た異世界人のことです」
「ほえー。俺はやっぱ違いますね」
「迷い人というのはさっき簡単に説明しましたが、ごくたまに世界と世界が重なるときがあるらしく、その時にいきなりこの世界に来た異世界人が迷い人です。迷い込んできたと言う感じですね」
「うーん、こちらも違いますね……」
「どういうことですか?」
アルレイトは神様のことを話し、この世界に来たいきさつを話した。
「なるほど、いつの間にかこの世界に居たのではなく、神様に飛ばされてこの世界に飛ばされたと?」
「そうなりますね」
「聞いたことない事例で信じがたいことなんですけど、嘘を言ってるようには見えないんですよね……」
ネーシャはそれからうんうんとうなりながら考え、ジルはパクパクとパフェを食べていた。
「あれ?ジルって頼んだのケーキだよね?」
「そうだけど?」
「今食べてるのってパフェだよね?」
「うん」
「…………」
「…………」
「うーん?でも、ありえるかも?いや、神様がそんなこと……」
「えっと、おいしい?」
「うん。食べたいの?」
「あ、えっと……」
ネーシャの方を見ると、こちらを気にせずに一人で思考の世界に入っていた。
「それじゃ、一口貰おうかな?」
「うん。あーん」
ジルがスプーンですくったパフェをそういって差し出してくる。
俺がそれを食べると、またこちらをジルが見てくる。
(ああ、感想ね。)
「おいしいよ」
「それは、よかった」
ジルはそう言うとすぐにパフェを食べるのに夢中になった。
そのとき、俺は寒気を感じて視線をそちらに移すとこちらの世界にも沿っていたネーシャがこっちを見ていた。
「アルレイト君?」
「……はい」
その後、二時間ほど土下座でグチグチと言われた。
「私の前出いちゃつくな!」から始まり「なんで、私には春が来ないの……」まで発展し、最後は「どうしたらいいの?」と泣きつかれた。
感想、ネーシャは意外と面倒くさいまる。
その日は、二人に宿を教えてもらいすぐに寝た。
意外と疲れていたみたいで、すぐに夢の世界へと誘われた。
どんな夢を見たかは覚えてないけどな!
次の日は前日帰り際に約束したとおり、ジルに町を案内してもらった。
「ここが、武器屋」
大きい建物に光が当たって輝く無数の武器が並んでいる。
前の世界では見たことがない武器や、見たことはあるが質が格段に良いものがいくつも見られた」
「それで、何がほしいの?」
「まずは、弓かな……」
「弓使えるの?」
ジルが表情を顔に出すのは珍しい(スイーツを出すとすぐに表情が変わるが)ので、その驚いた表情をまじまじと見てしまった。
まあ、表情はもどってしまったけど。
「まあ、大体の武器は使えるよ」
「凄いね」
「いえ、なぜか少しやるとそれなりに出来るようになるんですよね。みんなからはずるいって……」
俺はそこで、言葉に詰まってしまった。
「やっぱり、寂しい?」
「い、いえ。寂しくは!?」
「嘘。涙が出てるよ」
ジルはそう言ってポケットから出したハンカチで涙を拭いてくれた。
俺はその行動に感謝の気持ちと、少しドキッとした。
顔が赤くなってきたので慌てて涙を袖で拭い、顔をジルから隠した。
「大丈夫?」
「はい、もう大丈夫です!」
(確かに、みんなと会えないのは寂しいし、あの世界を守れなかったのは悲しいけど、折角こうして生きていられるのだからこの世界で精一杯生きよう。)
アルレイトは今度こそ守ろうと思いながらもそう心に誓った。
でも、前見たいに誰でも彼でも守るのでは自分だけでは体が持たない。
ならば―
(近くに居る人だけでも絶対に守りぬく。)
「ありがとうございます」
そう言った、アルレイトの顔にはもう悲壮感はなく、これから先に起こることへの決意と、今を楽しもうとする満面の笑みがあった。
「それで、にいちゃん達は何を買っていくんだい?」
呆れの混じった声で、武器屋の店員にそう聞かれ二人で顔を赤くした。
その、顔を赤くしたジルは結構かわいかった。
結局その後、慌てて必要だと思ったものを全部買ったため帰りの荷物が多くなり辛かった。




