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最終話 廻藤輪路

前回までのあらすじ


翔は黄泉子を倒した。だがその光景を見た殺徒の怒りと憎悪が臨界点を超え、オウザは最強の邪神帝、超究極邪神帝へと進化してしまった。その圧倒的な力に全世界が消滅しそうになるが、輪路の活躍によりオウザの全力の一撃は不発に終わる。しかし、代償として輪路は力を使い果たし、霊力欠乏症に陥ってしまった。

「……奴を倒す方法は、まだある。そのためには、輪路を復活させなければならん」


 霊威刃はそう言った。他者から力を借り、欠乏症に陥ったとはいえ、輪路には超究極邪神帝相手にも比肩できるほどの力がある。まだまだ霊威刃が予想もできないほどの潜在能力が、輪路の中にあるのだ。その力を目覚めさせる以外、オウザを倒す方法はない。

 霊力欠乏症に陥った者を回復させる方法は、単純に霊力を与えること。しかし、スーパーアルティメットオウザスラッシュを相殺するために使った霊力は多く、また欠乏症に陥った者の基礎霊力が多ければ多いほど、蘇生に必要な霊力も増える。輪路の霊力は今や霊威刃すら越えており、いくら無限強化があっても霊威刃一人の霊力での蘇生はかなり難しい。かといって、全員でかかるのは無理だ。オウザが許すはずがない。だから、蘇生役以外の者が、オウザの陽動をしなければならないのだ。


「では、陽動の役は私が引き受けます」


 それがどれだけ危険か承知していながら、ヒエンは引き受けた。力の差は大きい。オウザはそれこそ些細な挙動でさえ、こちらを瞬殺できるだけの力を持っている。命懸けの陽動だ。


「それならわしらもやろう!」


「数は多い方がいいから!」


「私も!」


 麗奈達も協力を申し出る。


「……すまない」


 ヒエンは麗奈達に詫びてから、オウザの気を惹くために飛び立った。麗奈達もそれに続く。


「やるじゃないか。僕の全力を止めるだけの力があったとはね。もったいぶってくれるよ」


 オウザとしてはあれがヒエン達の限界だと思っていたので、かなり驚いていた。もっとも、あれができたのは輪路のおかげだ。輪路が昏睡状態に陥っている今、またあの一撃を放たれたら防げない。


「はっ!!」


 決して使わせないように、ヒエンは先手を取って烈空から雷を放つ。

 すると、驚くべきことが起こった。雷がバリアに阻まれず、そのままオウザに命中したのだ。


(何!? 霊力の奔流が消えている!?)


 驚いて感覚を研ぎ澄ますと、オウザの霊力がかなり落ちていることがわかった。そういえばとヒエンは、オウザがスーパーアルティメットオウザスラッシュを、全力の一撃と呼んでいたのを思い出す。


(さすがの奴も、代償なしに撃てる技ではないらしいな)


 今のオウザは全力を使った反動で、かなりの霊力を消耗している。これなら、またスーパーアルティメットオウザスラッシュが飛んでくることはない。飛んできたとしても、威力が相当落ちている。


(だが、それでも俺が倒せる相手ではないようだ)


 とはいえ、それは今の話。ヒエンの雷を受けはしたが、オウザはダメージを受けていない。消耗していても、あらゆる面でオウザはヒエンを上回っているのだ。


「ふん。どうやら、少し力を回復させる必要があるらしい」


 加えて、オウザの霊力が回復してきている。自分の霊力が落ちていることに気付いたようだから、回復に徹しているのだろう。


「させるか!!」


 ヒエンは少しでも回復を遅らせるため、炎と雷を連続でぶつけ、時たま斬りつける。


「……鬱陶しいな!!」


 怒ったオウザが斬りつけてくる。ヒエンはかろうじてかわし、距離を取る。


「お前の相手はこっちにもおるぞ!!」


 その瞬間、麗奈が四砲陣ですぐさまオウザを攻撃した。


「やぁぁっ!!」


「はぁっ!!」


 素早く瑠璃と命斗が攻撃を仕掛ける。


「くっ……餓鬼どもが……!!」


 オウザは舌打ちをした。


「……よし」


 時間稼ぎは上手くいきそうだと思った霊威刃は、輪路の胸に片手を当てて、一気に霊力を流し込む。


「ちっ! やはり俺の霊力だけでは足りんか!」


 いくら霊力を流し込んでも、輪路は昏睡状態から回復しない。相当な量の霊力を使ったことが伺える。



 その時、



「あなた一人の霊力で足りないなら、二人はどうです?」


 ある人物が現れ、霊威刃の手に自分の両手を添えて、一緒に霊力を流し込んだ。


「ゆ、由姫!?」


 それは、二百年前死んだはずの、由姫だった。


「成仏したんじゃなかったのか!?」


「……冥界に送られた後、私は自分の魂を封印しました。あなたが来るのを待つために」


「お前、待っていたのか……!!」


 由姫はずっと、光弘が己の使命を果たし終えて、冥界に来るのを待ち続けていたのだ。二百年もの長い間、ずっと。


「生まれ変わるなら、あなたと一緒に」


「由姫……」


 由姫はずっと光弘を想い続けていたのだ。死ぬのなら、一緒に死にたかった。それが果たせなくなったから、せめて一緒に次の命になりたくて、その一心で待っていたのだ。この何もない寂しい冥界で、わざわざ自分の魂を封印し、縛りつけて。魂に刻印を打ち込む術を身に付けている由姫だからこそ成せる業である。


「……すまなかった。もう少しだけ、力を貸してくれ!」


「はい!」


 二人はさらに霊力を増大させ、輪路に送る。しかし、人数と霊力が増えてなお、輪路は復活しなかった。


「これでも駄目か……!!」


「一体どれだけの霊力を使ったらこんなことに……」


 最強の討魔士と討魔術士の霊力を使ってもまだ足りない。オウザの全力の凄まじさと、それを止めるために使わされた輪路の霊力の多さがよくわかる。


「!!」


 ふと、霊威刃は気付いた。自分と由姫とは別に、霊力が輪路に流れ込んでいくのを感じる。


「これは、指輪!?」


 それは、出撃前に輪路が美由紀からもらった、銀の指輪から流れ込んでいた。




 一方、現世。


「美由紀さん!?」


 ソルフィは驚いていた。美由紀の身体が光り、霊力が放出されていたのである。カイゼルが相手の心を覗く術を使い、何をしているのか調べる。


「これは……あの時美由紀さんが渡した、指輪……?」


 カイゼルが見た美由紀の心のヴィジョンは、指輪だった。あの指輪には、輪路に対する美由紀の深い想いが込められている。その想いが、指輪を介して美由紀と輪路を繋いでいるのだ。そしてそれを利用し、美由紀はこの場から自分の霊力を輪路に送っていた。


「美由紀さん。一体どこでそんな技術を……」


「……私の周りって、霊力を操れる人ばっかりですから、見ているうちにやり方を覚えました。今はそれを応用しています」


 確かに美由紀の周囲にいるのは、霊力を操れる者ばかりだった。見る機会も多かった。だからといって、ついこの前霊力の封印を解かれた美由紀が、それだけでここまでできるというのは異常である。彼女もまた、天才だったようだ。


「わかるんです。今輪路さん、すごく大変なことになってる。輪路さんを助けるには、霊力が必要です。私一人の霊力でどこまでできるかわからないけど、とにかく輪路さんに霊力を……!!」


 指輪を通してわかったのだ。輪路は霊力欠乏症に陥っており、蘇生させるためには霊力が必要だと。美由紀も高い霊力の持ち主だが、それでもまだ輪路の蘇生には足りない。


「よし。じゃあ、俺の霊力も使え!」


 ゴウガはそう言って、己の霊力を美由紀に差し出した。


「お父さん……」


「しゃあねぇ。俺の霊力も使いな」


「私の霊力も、使って下さい!」


 三郎とソルフィも、霊力を渡す。


「私の霊力も!」


「あたしも!」


「わたしもあげる!」


「僕も!」


(ふふ、ボクも)


「あたいもだ!」


「私も!」


 彩華、茉莉、七瀬、賢太郎、ナイア、明日奈、暦が、霊力を与える。


「私も……」


「いえ、会長は結界の維持に専念して下さい」


「その代わりに、我々の霊力全てを!」


 既に雑魚は消え失せた後だが、まだ門が残っているため結界は維持しなければならない。よってカイゼルだけを万全なまま残し、ウルファン達残りの協会メンバーと、太子達が霊力を分けた。


「皆さん、ありがとうございます!!」


 美由紀は自分の霊力とみんなから受け取った霊力を、輪路に届ける。


(お願い!! 届いて!!)




 そして冥界。


「あの娘と、会長達の霊力が、指輪を通して輪路に流れ込んでいる!」


 霊威刃は霊力が強まったのを感じていた。


「……それだけではないようですよ」


「こ、これは……!!」


 由姫に言われて、霊威刃は気付く。冥界のあちこちから、白銀に輝く光の玉が、たくさん集まってきたのだ。


「何だこれは!?」


 ヒエン達を圧倒していたオウザもこの光景に気付き、攻撃の手を止める。

 その光の玉は、人間の魂だった。集まってきた魂達は、次々と輪路の中に入っていく。


「……由姫!!」


「はい!!」


 それを見た霊威刃と由姫も、また光の玉となって、輪路の中に入っていった。











(……ここは……)


 輪路は暗闇の中にいた。光弘と再会した時の、あそこと同じ暗闇だ。


(今度こそ、死んじまったかな……)


 オウザのあの一撃を中和する時、自分の中から内臓をごっそり抜き取られたような感覚を味わった。その瞬間に意識を失ったからよくわからないが、たぶん霊力を自分の限界を越えて使ったせいだと、輪路は思った。そんなことになったらどうなるか、翔から聞いていない。


(畜生……負けちまったのか……)


 もしかしたら、死んでしまったのかもしれないと思った。


「輪路さん!!」


 そんな時、あの声が聞こえた。愛しくてたまらない、可愛らしいあの声が。


「み、ゆ……き……!!」


 輪路のぼんやりしていた意識は、一気に覚醒した。同時に、美由紀が現れて輪路の右手を両手で握っていた。


「まだ負けてません。輪路さんは、まだ死んでません!!」


「美由紀……」


 輪路は美由紀の手を掴んだまま、ゆっくり起き上がった。その直後、闇が晴れて白い空間が現れる。


「輪路、美由紀。お前達はすごいな」


「まるで昔の私達を見てるみたい」


「光弘!! それに、由姫さん!?」


 二人の前に、光弘と由姫が現れた。だが、それだけではない。


「輪路。ここまでよくやったな」


「あとひと踏ん張りよ。頑張って!」


「父さん!! 母さん!!」


 輪路の両親、政行と暁葉も現れたのだ。


「あんたなら勝てるよ。絶対大丈夫」


「お前は、紗由理!!」


「マスター輪路。私達はあなたの勝利を信じています」


「アンナ!!」


 紗由理にアンナ。かつて輪路に全てを託して散った者が、ここにいた。アンナはアンドロイドであったはずだが、どうやら魂を持てたようだ。そしてもう一人、本来ならここにいないはずの人物が現れた。


「輪路、お前は生きろ。生きられなかった俺の代わりに生きて、美由紀を守ってくれ」


「正影!!」


 輪路の血液から造られたホムンクルス、廻藤正影。彼もまた、死ぬ間際に魂を得ていたのだ。


「お前を助けろと地獄の役人どもに言われてな。わざわざ戻ってきてやったのだから、必ず勝て」


「ブランドン!!」


 ブランドンまでも戻ってきた。


「あんたにこんな役を任せて、すまないと思ってる。けど、あんたにしか頼れないんだ。俺も、こいつらも」


「ウォント!!」


 ウォントもいた。いや、彼らだけではない。かつて輪路が戦い、成仏させてきた全ての魂が、この空間にいた。それに混じって、佐久真や賢太郎達の姿も見える。


「……ここまでされちゃ、負けるわけにはいかねぇな」


「勝てますよ。だって、輪路さんですから!」


 美由紀に言われて、目が覚めた。そうだ、負けるわけにはいかない。


「ああ。俺は負けない。俺はあいつに、必ず勝つ!!」


 輪路がそう決意した時、空間が白銀の光に包まれた。




「!!」


 突然輪路の身体が白銀に輝き、それがあまりに眩しくてオウザは片手で顔を覆った。


「廻藤!?」


 ヒエン達もその輝きに気付き、輪路を見る。間もなくして輪路は起き上がり、空を飛んでオウザの前に立った。


「……ふん。何だ、もう復活したのか。大人しく寝ていれば、苦痛を感じることなく消えられたのに」


 オウザの霊力は、たった今全快した。もう一度スーパーアルティメットオウザスラッシュを放てば、今度こそ輪路を世界もろとも消滅させられる。昏睡状態のままなら、全てが消える瞬間を見ることも、苦痛を感じることもなく、完全な終わりを迎えることができたのに。オウザはそう言った。


「まぁいいさ。僕もどちらかというと、君を苦しませながら終わらせたかったから」


「終わるのはお前の方さ」


「……何?」


 輪路の言葉に、オウザは耳を疑った。


「お前が僕を終わらせるとでも? この力の差がわからないのか?」


 オウザの霊力は不可説不可説転。超弩級の霊力だ。この力を真正面から相手にすることが何を意味するか、今さっき味わったばかりのはずなのに、こいつは一体何を言っているのかと、オウザは思った。


「お前こそわかんねぇのか? 俺の力は、もうさっきまでとは別物なんだよ!」


 無論、先ほどまでのままなら、輪路は負けていただろう。しかし、もう今までの輪路ではない。美由紀の愛が、今までに築き上げたたくさんの絆が輪路を復活させ、そして輪路の中のさらなる潜在能力を目覚めさせたのだ。

 その力を、使う。


「神帝、超越聖装!!!」


 輪路が唱えた瞬間、白銀の光がさらに強くなり、繭のように輪路を包み込んだ。そして、輪路はスピリソード化したシルバーレオを振り下ろし、繭を斬り裂いて外に出た。

 変身した姿は究極聖神帝のレイジン。しかし、身体は二回り大きくなり、全身が屈強でマッシブになっている。シルバーレオもそんなレイジンが振るうに相応しい、さらなる大太刀に変わっている。


「てめぇのそれが超究極邪神帝なら、俺のは超究極聖神帝ってところだろうな」


 レイジンもまた究極を超えた聖神帝、超究極聖神帝へとパワーアップしたのだ。




 その頃の現世。


「これは……師匠だ!! 師匠の霊力だ!!」


 賢太郎が輪路の霊力を感じ取り、喜んでいた。カイゼルは霊力測定器を取り出し、輪路の霊力を計ろうとする。


「きゃっ!!」


 しかし、計った瞬間に測定器が爆発した。測定できない。霊力測定器が表示できる数値は、不可説不可説転まで。それが表示できないということは、輪路の霊力は不可説不可説転を、殺徒の霊力を超えたということになる。


「輪路さん……!!」


 美由紀は輪路の勝利を確信した。




「廻藤。お前……」


「下がってな。今度こそケリを着ける」


 近付いてきたヒエンに、レイジンは下がるよう言う。麗奈はヒエンに近付いて、軽く肩をつついた後、頷いた。自分達はこの戦いで邪魔にしかならない。大人しく下がろうという意味だ。


「……わかった。勝てよ、廻藤!」


「おう!」


 ヒエンは麗奈達とともに下がっていった。


「超究極聖神帝か……だが無駄なことだ。憎悪こそが最強の力。お前が僕に勝つことは、ない!!」


 オウザはブラッディードゥームを振るい、レイジンに斬り掛かった。しかしレイジンはそれをシルバーレオで受け止め、弾き、柄でオウザの顔面を打ち、体勢が崩れた瞬間にオウザの胸を斬りつけた。


「!?」


 オウザは何が起きたのかわからなかった。斬りつけたはずなのに、防がれて反撃された。自分より弱いはずのレイジンに。


「……舐めるなよ……!!」


 オウザは自分の力を高める。無限強化機能は健在だ。どころか、超究極化前よりずっと強化されている。自分がそうなのだから、きっとレイジンもそのはずだ。ならきっと、レイジンが一時的に自分を上回っていただけに過ぎないだろう。それなら今上回ればいい。そう思って自分を強化し、オウザはレイジンに再び斬り掛かった。


「死ねぇっ!!!!」


 しかし、レイジンは剣も使わず、片手で防ぎ、弾き、オウザの顔面と胸を殴り飛ばす。


「ダークネスカノーネ!!!」


 ダメージを受けたオウザは至近距離からダークネスカノーネを放ち、レイジンを吹き飛ばそうとする。だが、肉体も魂も宇宙ごと残さず消し飛ばす光線を棒立ちで喰らったのに、レイジンは全くダメージを受けていなかった。


「ライオネルバスター!!!」


 お返しにライオネルバスターを放つレイジン。オウザはそれをブラッディードゥームで受けるが、受けきれずに吹き飛ばされた。吹き飛んだオウザに追い付き、レイジンはみぞおちに蹴りを喰らわせ、袈裟斬り、逆袈裟斬りを浴びせる。


「くっ……!!」


 さらに大きく吹き飛ばされたオウザはブラッディードゥームを高く掲げた。すると、オウザの周囲に無数の剣が出現する。


「ジェノサイドソードストーム!!!」


 一発一発が数え切れない宇宙を消滅させる霊力剣弾の雨あられ。


「レイジンソードストーム!!!」


 それに対し、レイジンは全く同じ技を繰り出した。ただオウザの剣は西洋剣で、レイジンの剣は日本刀だが、違いはそんなものではない。威力が全く違う。レイジンの剣弾はオウザの剣弾に押し勝ち、オウザはそれを落とそうと躍起になっている。その間にレイジンが接近し、乱舞を放つ。そして、オウザを斬り上げた。


「な、なぜだ!! 僕の方が強いはずなのに!! 百歩譲ったとして、それでも力の差は同じなはずだ!!」


 信じられなかった。自分の方が強いはずなのに、レイジンに圧倒されてしまっている。同じ超究極のはずなのに、オウザが世界に与える歪みと破壊が、全て中和され直されてしまっている。


「いいや、俺の方が強い。前にも言ったろ? 憎悪なんてちっぽけな力だってな」


 そう、同じではない。オウザの霊力は不可説不可説転だが、レイジンの霊力はそれを上回っている。不可説不可説転が示すものは、最後。それを超えるレイジンの力は、最後を超えたその先にある、始まりを示しているのだ。


「死者の世界なんか創らせねぇ。死んで終わったままになんか、絶対にさせねぇ。そのために、俺はお前の魂を救う」


 隼人の命を、新しい始まりに向かわせるために。


「だ、黙れぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」


 オウザは一気に距離を取り、ブラッディードゥームを振り上げた。剣から霊力を圧縮して作られた、巨大な刃が伸びる。


「オウザ、介錯つかまつる!!!」


 スーパーアルティメットオウザスラッシュを放つつもりだ。


「新しい生を始めるために……」


 レイジンはシルバーレオを両手で持ち、祈るように峰を自分の額に当てた後、


「レイジン、ぶった斬る!!!」


 勢い良く突き上げた。シルバーレオの刀身から、巨大で長大な白銀の霊力刃が伸びる。


「「スーパーアルティメット……!!!」」


 二人は全力を出す。


「オウザスラァァァァァァァッシュ!!!」


 片方は、滅びと破壊と消滅の一撃を。


「レイジンスラァァァァァァァッシュ!!!」


 もう片方は、癒しと浄化と新生の一撃を、それぞれ放った。

 勝ったのは、レイジンの方だった。レイジンの一撃は、数秒と掛からずオウザの一撃を消滅させ、


「ば、馬鹿な……」


 驚愕するオウザを、白銀の閃光が呑み込んだ。


「……ふう……」


 戦いが終わって、冥魂城の屋上に降り立つレイジン。変身を解除し、光弘と由姫も輪路から分離する。同時に、輪路と融合していたたくさんの魂も、輪路から分離して消えていった。


「廻藤!!」


「やったな輪路兄!!」


「兄様、本当に本当にすごい!!」


「お見事でした!!」


 そこへ、ヒエン達が駆け寄ってくる。ようやく、ようやく終わったのだ。黒城一派との長い戦いが。

 と、次の瞬間、ズズン!! と冥魂城が大きく震えた。震えが段々大きくなっていく。


「冥魂城が、崩れかけている!!」


 瑠璃が気付いた。超究極邪神帝の力は残らず中和したが、あまりにも早い破壊と再生に、冥魂城そのものが耐えられる限界を迎えたのだ。床や壁に亀裂が入り、崩壊していく。


「早く脱出を!!」


 命斗が脱出と退避を進言した時だった。何かが、屋上に飛び乗ってきた。


「廻藤……輪路ィ……!!」


 殺徒だ。超究極聖神帝との力比べに押し負けたが、全ての霊力を防御に回して、成仏を避けたのである。しかし、それでも無事には済んでいない。オウザはレイジンの攻撃で消えてしまい、残っているのは元に戻ったブラッディースパーダのみ。殺徒自身もかなりの霊力と憎悪を失い、今にも成仏しそうだった。彼をリビドンのままにしている要因は、意地だ。輪路に一太刀でも浴びせるという意地のみで、立っている。そして、最後の力を振り絞って、ここに戻ってきた。


「お前ら、先に行け。こいつを倒したら、すぐに追いかける」


「……わかった」


 ヒエンがそう言って、冥魂城から飛び降りる。麗奈達三人は気にしながらもヒエンを追いかけ、光弘と由姫も輪路を見てから、飛び降りた。


「……行くぜ」


 輪路はシルバーレオをスピリソードに変化させ、霊力を込める。


「……うおおおおおおおおおおおおおお!!!」


 殺徒もブラッディースパーダに霊力を込めて駆け出した。


「……!!」


 一瞬の交錯。二人は互いに、互いの武器を振り抜く。

 パキンッ、という音とともに、ブラッディースパーダが折れて飛んでいき、消滅した。


「……僕の……負けか……」


 殺徒は膝を付き、とうとう敗北を認めた。


「ああ。勝たせてもらったぜ」


 輪路の右の頬には、切り傷ができている。殺徒に斬られた傷だ。シルバーレオがブラッディースパーダを叩き折るまでの僅な時間、輪路の右頬にブラッディースパーダの刃が食い込んだのである。


「なぜ避けなかった? お前なら余裕だったはずだ」


「いや、無理だった。やっぱりあんたはすげぇよ」


 そう言いながら、輪路はシルバーレオを納刀する。


「……生き方さえ間違えなきゃ、あんたは間違いなく討魔士に、聖神帝になれていた。憎しみに染まっていないあんたと戦いたかったぜ」


 殺徒は本当に強かった。今まで戦った中で、間違いなく一番強かった。だからこそリビドンではない、人間の白宮隼人と戦いたかった。


「……ま、済んだことは言いっこなしだ。もう大丈夫だな?」


「ああ。とても気分がいいんだ。もう、生きている人間をどうにかしようなんて、そんな気はないよ」


 今の彼に、憎悪はない。まるで、悪い夢から覚めたような気分だった。


「……あばよ、白宮隼人」


「ああ。今まですまなかったね」


 輪路は一言、隼人に告げて、崩壊を続ける冥魂城から脱出した。


「……」


 隼人は膝を付いて下を向いたまま、動かない。


「やっぱり、結果は変わらなかったわね」


 そこへ現れたのは、白宮優子。翔に敗れた時から、隼人がこうなることは読めていた。前の彼女ならそうは思わなかっただろうが、一切の憎悪が消え去った今の彼女なら、隼人がやっていることが間違いだとわかる。間違ったことをやっている者は、必ず滅ぶのだ。だから、隼人が負けることもわかっていた。他の者が何をしようと、それは変わらないという意味で、優子は結果は変わらないと言ったのだ。翔達が加勢しなくても、何かの要因で隼人は負けていたはずである。


「ああ。でも、これでよかった。そうだろ?」


「ええ」


 崩壊が続く中、優子は歩み寄り、隼人に抱き着く。隼人もまた、優子を抱き締めた。


「……どうして、こんなことになったんだろうな……」


「……わからない。わかろうとも思わない。もう、どうでも良くなっちゃった……」


「そうだね。僕も疲れた。少し、休もう……」


 いろいろと、やりすぎた。たくさんの人がやるな、やってはいけないと言うことを、あまりにもやりすぎてしまった。憎悪の衝動に躍らされていたのだとしても、それは償いきれない罪だ。それでも、長い時間をかけて償っていきたい。

 しかし、今は少しだけ、休みたかった。身勝手な頼みだが、本当に少しだけでいい。


(……今の僕達の姿を見たら、お前は何て言うんだろうな……)


 頭が冷えて、ようやく思った。今の自分達の姿を見たら、あの子はきっと悲しむ。見せなくてよかった。自分達のことを知らせずにいてくれた輪路に、隼人は心から感謝した。


「……光輝」


 隼人が呟いた瞬間、冥魂城は大きな音を立てて崩れ落ちた。




「!」


 不意に、懐かしい声に呼ばれた気がして、光輝は空を見上げた。


「……父さん?」


「光輝? どうしたの?」


 そばにいたさだめが、心配そうに訊いてくる。


「……ううん。何でもない」


 聞こえるはずがない。父はあの日、目の前で死んだから。きっと気のせいだ。そう思って、光輝は忘れることにした。











「……終わりました」


 輪路の全てを感じていた美由紀は、輪路達が勝利し、隼人が成仏したことをカイゼル達に告げた。


「やっと終わったんですね。長い戦いでした」


 カイゼルはそう言って変身を解いた。あとはもう、輪路達が帰還するのを待つのみである。戦う必要はない。結界を輪路達が戻ってくるまで維持し、戻ってきたら門を閉じればいい。

 その時だった。門が突然、ゆっくりと収縮を始めたのである。


「な、何だ!?」


「どうやら、廻藤さん達の戦いは、冥界そのものに影響を与えたみたいだね……」


 賢太郎は驚き、明日奈は門が閉じ始めた理由を見抜く。輪路と隼人の戦いは、冥界に影響を与えてしまった。正確に言えば、超究極聖神帝の力のせいである。直しすぎたのだ。薄くなっていた現世と冥界を隔てる壁を、多少なりとも直してしまったせいで、門が閉じつつある。


「今私が思念を飛ばします!!」


 シエルは素早くテレパシーを使い、輪路達に一刻も早く戻ってくるよう言う。 それから約十秒後。


「見えました!! 廻藤さん達です!!」


 彩華が門の向こうに、輪路達の姿を見つけた。


「すいません光弘様、由姫様。ここまでお付き合い頂いて」


「気にすんな」


「あなた達を現世に送り届けるのが、私達の最後の仕事ですから」


 翔は謝った。本当なら役目を終えた光弘と由姫は冥界にいなければならないのだが、輪路達を元の世界に送り届けるまで付き合ってくれたのだ。


「急いで下さい!! 門が閉じます!!」


「早く早く!!」


 茉莉と七瀬が急かす。やがて、麗奈、瑠璃、命斗の三人が門を抜けた。次に、翔が冥界から出る。


「よし。間に合ったな」


「危機一髪だったね……」


 冥界から脱出し、安堵する麗奈と瑠璃。

 しかし、


「輪路兄様!! 何をなさっているんですか!?」


 命斗が慌てた声を上げた。輪路が門の向こうに立ったまま、現世に戻ってこないのである。


「何をしている!! 門が閉じるぞ!! そうしたら戻ってこれなくなる!!」


 早く戻るよう急かす翔。


「……いや、俺は戻らない」


 輪路は、首を横に振った。


「何を寝ぼけたことを言っとるんじゃ!! みんなが待っとるんじゃぞ!!」


 麗奈も急かす。だが、輪路は言った。


「昨日からずっと考えてたんだ。俺は廻藤だから、たくさんの悪意を呼び寄せちまう。俺が戻れば、美由紀を危険にさらす。もう嫌なんだ。こんなことに美由紀を巻き込むのは」


 輪路は今回の戦いを、自分のせいだと思っている。今回だけではない。たった一年で、輪路を中心とする戦いが、あまりにも起こりすぎた。あの災厄の数々は、自分が呼び寄せてしまったものだと、輪路は思っている。そして、それらに何度美由紀を巻き込んだことか……


「きっとこれからも、そんな戦いは起きる。でも俺さえ消えれば、美由紀やお前達は、もう誰にも狙われずに済むんだ」


「そんな……そんなことないです!! 絶対に師匠のせいじゃない!!」


「そうですよ!! だから戻ってきて下さい!!」


 賢太郎と彩華は戻ってくるよう言う。ナイアは、何も言わなかった。


「……美由紀。お前ならわかるだろ? お前は頭がいいから」


 輪路は美由紀に訊く。美由紀は黙っている。だが、やがて言った。


「……いつか私が死んだら、また会えますか? それまで待っていて下さいますか?」


「美由紀さん!?」


 ソルフィは驚いた。誰よりも輪路を愛しているはずの美由紀が、輪路が自分から離れることを聞き入れたのだ。


「輪路。取り消せと言ったはずだが?」


 昨日取り消すように言ったことを取り消していなかったことに憤り、光弘は輪路を無理矢理にでも現世に送り返そうとする。


「待って下さい光弘さん」


 しかし、美由紀がそれを止めた。


「美由紀さんはそれでいいんですか!? 冥界に行ったら……」


 暦も美由紀に、考え直すよう言う。だが、美由紀は考えを変えなかった。


「輪路さんは私のことを思って、私から離れようとしているんです。輪路の気持ちを無にするなんて、私にはできません」


 輪路は、美由紀が嫌いだから離れるわけではない。むしろ好きだ。全宇宙の誰よりも、美由紀を愛している。本当は絶対に離れたくなんかない。でも自分の気持ちばかり優先して、そのせいで美由紀を危険にさらすことの方が嫌だった。美由紀もそれはわかっている。わかっているからこそ、輪路の想いを汲むことにしたのだ。


「だから、いつか私が死んで、それからまた会いに行きます。それまで待っててくれますか? 輪路さんは、私が来るまで待ってて下さいますか!?」


「……ああ。待ってる。けど、どうか急いで来ないで欲しい」


 そう言いながら、輪路はズボンのポケットから、小箱を出した。輪路は目を閉じて霊力を込め、手を離す。すると、小箱は美由紀の目の前まで飛んでいって、開いた。中には、戦う前に渡すはずだった指輪が入っている。指輪はひとりでに浮かび上がって、美由紀の左手の薬指に嵌まった。


「こんな渡し方をして本当にごめん。でも、俺達はこれで繋がってる。お前が俺に力をわけてくれた時、よくわかった」


 輪路は自分の指輪を美由紀に見せる。そうだ。例え違う世界にいたとしても、二人はこの指輪を通して繋がっているのだ。寂しがることはない。


「……どこまでも頑固な野郎だ。仕方ねぇ。俺が天国逝きになるか地獄逝きになるか、決まるまでは一緒にいてやるよ」


「あら光弘さん、まだ私を待たせる気? もう待つのは嫌よ。だから、今度は私も一緒にいる」


「由姫……」


「……だから美由紀ちゃん。輪路くんは大丈夫。私達がそばにいて、守ってあげるから」


「まぁ俺は守護霊だしな。これからは俺達二人で守護霊になるが」


 光弘と由姫は、輪路をしばらく守ってくれることになった。もっとも輪路はもう二人より強いので、必要ないかもしれないが。


「……今までありがとう。元気でな、美由紀。みんなも」


 冥界の門が、間もなく閉じる。最後の別れの挨拶をする輪路。


「……はい! お元気で!」


 美由紀がそう挨拶を返した瞬間、門は閉じて跡形もなく消え去った。同時に、輪路の霊力を受けて浮いていた小箱が、軽い音を立てて地面に落ちた。


「……行ってしまわれた……」


 ウルファンは呆然と呟く。もう輪路の声を聞くことは、永遠にないだろう。その姿を見ることも。そうなる瞬間が、あまりにもあっけなかった。


「美由紀さん。本当にこれでよかったんですか?」


 ドラグネスは美由紀に問いかけ、そして息を飲んだ。

 美由紀の両目から両頬へと、涙が伝っていた。


「……馬鹿野郎が。最後の最後で美由紀を悲しませるとは、やっぱりあいつはろくでなしだぜ」


「……違うよ」


 憎々しげに言う三郎に、美由紀は否定した。


「悲しくなんか、ない。悲しく、なんか……!!」


 しかし、美由紀の目からはとめどなく涙が溢れてくる。ゴウガは変身を解き、何も言わずに美由紀を抱き締めた。


「ああああああん!!! うわあああああああん!!!!」


 遂にこらえきれなくなって、美由紀は泣き出した。本当は悲しい。輪路と長い別れになることが、悲しくて仕方ない。だが、これは輪路の愛ゆえの行動だとしっていたから、輪路が冥界に消えるまでは絶対に泣かないようにしていた。今すぐ死にたい。死んで冥界に逝き、輪路のそばにいたい。でも、それはしない。輪路のことを想うなら、それはできなかった。











 こうして、シエルに『黒城事件』と名付けられた戦いは、幕を閉じた。世界の危機は討魔士達の手によって避けられたのだ。廻藤輪路という犠牲を払って……。



 だがそのおかげで、彩華達学生組は、無事次の学年に進級することができた。輪路なしでも街を守れるよう、日々鍛練に励んでいる。ナイアはそんな彼女らを、賢太郎の中から微笑みながら見守っている。



 翔やシエル達協会組は、相変わらず慌ただしい毎日を送っている。輪路がいなくなり、黒城一派が消えても、彼らがやることは変わらない。世界中を飛び回り、魔を祓い、悪を滅すること。それが、輪路ためになると信じていたから。彼らにとって輪路は、未来永劫語り継がれる英雄なのである。



 妖怪三人娘は、ヒーリングタイムで働きながら、輪路に代わって美由紀を守ろうと頑張っている。輪路や光弘から、美由紀を託されたから。時々三郎や七瀬も様子を見に来てくれるので、戦力面では申し分ない。ちなみに今回の戦いで手を貸してくれた那咤太子やぬらりひょん達は、すぐに帰った。那咤はまた、強い相手を捜しにいくとのことだ。ぬらりひょん達にはもちろん、輪路がいないからといって勝手なことはするなと、三郎が厳重に警告している。



 美由紀と佐久真は、ヒーリングタイムを経営している。あれだけの戦いが起きたというのに、二人を取り巻く日常は何も変わっていない。決して歴史の表舞台に出ることのない戦いなので、当然と言えば当然だが。

 しかし、それでも二人は絶対に忘れないようにしている。己を捨ててまで、この世界を、愛する者を守ろうとした者がいたことを。


「輪路さん」


 美由紀は時々、輪路との愛の絆である指輪を、いとおしそうに撫でている。そう、これはまさしく二人の愛の絆。どんなに離れていても、この絆は絶対に断ち切れない。美由紀は心から、そう思っていた。










 冥界で、輪路は光弘と由姫に稽古をつけてもらいながら、リビドンを成仏させる旅をしている。


「輪路くん」


「ん? どうしたんだ由姫さん?」


 由姫はどことなく、申し訳なさそうな顔をして、輪路に言った。


「今、閻魔大王様から連絡が入ったんだけど、例の殺人鬼、また暴れてるんだって……」


「はあ!? カルロスの奴またやらかしてんのか!?」


 黒城事件で邪神帝が消えたことにより、邪神帝製作に使われていた全ての魂は解放された。たくさんの魂を救った功績が認められ、輪路は天国と地獄に特別な縁を結んでもらい、二つの世界をいつでも行き来できるようになった。有事の際には連絡を受け、すぐに飛んでいく。のだが、ここしばらく、地獄に送られたカルロスが何回か暴れている。獄卒にすら手が付けられない強さのため、暴れる度に輪路に招集がかかり、止めに行くのだ。


「ったく、どうしようもねぇド悪党だなあいつは。罰なんか与えずに魂消し飛ばした方がよくねぇか?」


「まぁまぁそう言わずに」


「行ってこい。その後でまた稽古をつけてやる」


「言われるまでもねぇ。軽くぶちのめしてすぐ戻ってくるからよ」


 由姫と光弘に言われて、輪路は仕方なく地獄に飛んだ。




「……いつ来てもひでぇ場所だな……」


 地獄の有り様を見ながら、カルロスを捜す輪路。

 と、


「ヒィーハハハァ!! 俺にとっちゃあこっちの方が天国だぜぇー!!!」


 いた。ナイフで獄卒を切ったり刺したり、爆発するボールを投げたりしながら、カルロスが暴れている。


「おいカルロス!! いい加減にしねぇか!!」


「ん? 何だお前、また俺を止めに来やがったのか。言っとくが、前回のようにはいかないぜ?」


 カルロスはそう言いながら、ナイフを両手に構えた。


「いいや、同じだね。今回もお前は、俺に負ける」


 輪路はシルバーレオを日本刀モードにして抜き放ち、


「神帝、聖装!!」


 いつもの呪文を唱えた。

 現れるのは、この世とあの世、全ての世界で最も清らかな力を持つ正義の剣士、レイジン!!


「レイジン、ぶった斬る!!」


 住む世界が変わっても、彼の戦いは続く。レイジンはスピリソードに変化したシルバーレオを振り上げ、カルロスに突撃していった。





 皆さんここまで読んで頂いて、本当にありがとうございました。これにて、輪路の物語は終了です。ゲイルも戦い続けるという終わり方でしたが、こちらは違うベクトルの終わり方にしました。ちょっと無理矢理感がありますが、自分としてはこれでよかったと思っています。


 しかし、ゲイルの物語も、輪路の物語も、本当の意味で完結を迎えたわけではありません。近いうちに、メタルデビルズと聖神帝レイジンに登場したレギュラーキャラ達を集結させた、真の完結編を投稿します。二つの物語を紡ぎし者が出会う時、全てを仕組んだ元凶が姿を現し、最後の戦いが始まる!!タイトルは『メタルデビルズvs聖神帝レイジン~勇者達の最終決戦~』です!!お楽しみに!!


 では重ね重ね、この作品を読んで頂いて、本当にありがとうございました!!!




超究極聖神帝レイジン


輪路が美由紀と仲間達、今まで救ってきた全ての魂から霊力を受け取ることで、さらなる潜在能力を目覚めさせ、レイジンを進化させた。変身の掛け声は、『神帝超越聖装』。

同じ超究極と能力でありながら、その力はオウザよりも遥かに強く、もはや数値化不能。オウザを倒すことができる、唯一にして最強の存在。浄化できないものはなく、まさしく救済の剣帝と呼ぶに相応しい存在である。必殺技は、巨大な霊力の刃であらゆる存在を浄化する、スーパーアルティメットレイジンスラッシュ。

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