表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/85

第七話 獅子王の咆哮

今回も美由紀回です。

「ハリケーンレイジンスラァァァァッシュ!!!」


「グアアアアアア!!!」


どこからかやってきたリビドンにハリケーンレイジンスラッシュを決めたレイジンは、リビドンを成仏させることに成功する。


「…ったく、リビドンはこうしなきゃ成仏できねぇってんだから、手間かけさせやがるぜ。」


レイジンは変身を解く。こうしないとリビドンには勝てないのだからしょうがない。


「でも輪路さん、だんだん強くなってますよ。ハリケーンレイジンスラッシュも前よりキレが上がった、って感じですし!」


「お前見えてねぇだろ。」


「感覚ですよ!感覚で、なんとなくわかるんです!」


三郎からツッコミを受けて、美由紀は苦し紛れに言う。


「…ま、お前がそう言うならそうなんだろうさ。帰るぜ」


「はい!」


「おう。」


輪路に言われて、三郎は結界を解き、二人と一羽は帰る。もう夜中の11時過ぎなので、早く帰らなければ。




ヒーリングタイム。


「あれ?」


自室に帰った美由紀は、自分の机の上に一通の手紙が置いてあることに気付いた。店に届いた手紙のチェックは、いつも佐久真が行う。その中で自分以外に届いた手紙は、あとでそれぞれの部屋に持っていくのだ。


「珍しいなぁ」


しかし、美由紀宛てに手紙が届くというのはかなり珍しかった。輪路の場合、彼への手紙は彼の家に届くのだが、ここは彼の家ではないし、彼も自分の家には帰ろうとしないので、もしかしたら届いているかもしれないが確かめられない。ともかく、美由紀は手紙を開けた。


「あっ!」


中に入っていたのは、合コンのお誘いと書かれた手紙だった。


「輪路さん!」


美由紀は嬉しそうに部屋を飛び出すと、手紙を持って輪路の自室に入った。


「何だ美由紀。そろそろ寝させてくんねぇか?」


「これ見て下さい!」


美由紀は輪路に、先ほど開けた手紙を見せる。輪路は書かれていた内容を読み上げた。


「合コンのお誘い?」


「はい!ゆかちゃんからです!」


美由紀が言ったゆかちゃんとは、真宮まみやゆかり。輪路と同じく、美由紀の幼なじみである。少し内気な人物であり、小学校中学校と美由紀と同じクラスの、彼女の数少ない味方の一人だった。


「あのゆかちゃんがみんなを代表してこんな手紙を出すなんて…人って変わるものなんですねぇ…」


しみじみと思う美由紀。ゆかりとは中学校卒業以来疎遠になっていたので、彼女のその後がわからなかった。だが少なくとも、多数の人間を代表して合コンなどという行事の開催を伝える、なんて真似はできなかったはずだ。ゆかりが変わったことを知り、時間の経過という事象の偉大さを思い知った。


「で、行くのか?」


「もちろん!輪路さんも一緒に行きましょう!」


合コンの内容はともかく、友人と再会できるのはいいことだ。久しぶりにゆかりに会えるとわかり、輪路も連れて行こうとする美由紀。しかし、


「行かねぇよ。第一誘いが来てねぇ」


「輪路さんの家には届いてるかもしれませんよ?帰ってみたら」


「何で俺があのクソ親父の所に帰らなきゃならねぇんだ。帰ったってどうせいねぇだろうしよ」


輪路は遮って悪態をつく。彼はとある理由から自分の父を病的なまでに嫌っており、そのために家に帰ることを拒否しているのだ。


「つーか、お前もやめとけよ合コンなんて。」


「何でですか?せっかくゆかちゃんに会えるのに…」


「来るのは真宮だけじゃねぇんだろ?他の連中も来るって、手紙に書いてあるじゃねぇか。」


手紙にはゆかり以外にも、中学校までのクラスメイト達が数人来ると書いてあった。知らない人間は来ないので、合コンというよりは同窓会といった感じだ。


「お前、まさか学校の連中に何されたか、忘れたわけじゃねぇよな?」


「…」


美由紀は黙る。











それは小学六年生の頃のことだった。美由紀とゆかりを含めた六人のクラスメイト達は、探検と称して山に来ていた。輪路はいない。少しは輪路以外の友人を作ろうと努力し、外してもらっていたのである。その途中、彼女達は大きな沼を見つけた。


「でかい沼だなぁ…」


「きっと底なし沼だぜ、これ。」


口々に話し合う子供達。と、一人が言った。


「なぁ。底なし沼ってさ、本当に底がないのかな?」


一気に話題がヒートアップする。


「はぁ?底はあるよ。この前テレビで言ってたし」


「でもさ、もしかしたら本当に底がない沼だってあるかもしれないじゃん。」


「ねーよんなもん。」


「あったらどうすんのさ!」


たちまち討論になる。やがて、リーダーである一人の少年が美由紀に言った。


「そうだ篠原。お前ちょっと入って確かめてこいよ」


「えっ!?」


突然の指名に驚く美由紀。


「そんな、危ないよ!もし本当に底なし沼だったりしたらどうするの!?」


「心配すんなって。俺らがちゃんと引き上げてやるから」


「でも…」


渋る美由紀。こんなこと、やりたくない。だが、


「お前友達作りたいんだろ?ここに入ったら友達になってやる。」


「え…」


「別に入らなくてもいいぞ?その代わり、絶交だから。」


「…」


考える美由紀。悪質ないじめだということは、すぐにわかった。こんなことをしたところで、友達になんてなってくれるはずがない。だが、


「…わかった。入る」


美由紀は了承した。信じてみたかったのだ。信じることをやめたら、誰も自分を信じてくれないと思ったから。


「さすが篠原。それくらい豪快じゃなきゃな!」


「でもどうやって確かめたらいいの?」


「簡単だよ。沼の真ん中まで行ってみればいい。行けそうだったら底ありで、行けそうになかったら底なしだ。」


「わかった。」


美由紀は靴とソックスを脱ぎ、裸足になって沼に入ろうとする。その時、誰かが美由紀の手を掴んだ。振り返ってみる。


「えっ?ゆかちゃん?」


「やめようよみゆちゃん。危ないよ…」


ゆかりだった。懸命に勇気を振り絞って、美由紀にやめるよう言ったのだ。


「何だよ真宮!いいだろ別に!」


「篠原だっていいって言ってるじゃんか!」


「そうだよ!」


一斉にゆかりを責め立てるクラスメイト達。だが、ゆかりは負けじと反論する。


「みゆちゃんは友達が欲しいんだよ!?それ知ってるでしょ!?それなのに危ないことやらなきゃ絶交なんて、こんなのおかしいよ!」


「何だと!?」


リーダーは怒ってゆかりを殴ろうとする。このままでは危ないと思った美由紀は言った。


「やめて!大丈夫だよゆかちゃん。私は大丈夫」


「みゆちゃん…」


ゆかりはもう涙目だ。美由紀は意を決して、沼の中へと一歩踏み込む。思ったよりずっと浅く、これなら真ん中まですぐ行けそうだった。慎重に慎重に一歩ずつ進み、とうとう真ん中までたどり着く。


「真ん中まで行けたよ!」


美由紀はクラスメイト達に言った。


「よし!そのまま戻ってこい!」


「やっぱり底なし沼じゃなかったな。」


「なんだつまんねーの。」


「底なし沼なんてないのかな?」


口々に言うクラスメイト達。ゆかりは美由紀が無事だったとわかり、胸を撫で下ろす。


「うん!」


美由紀は戻ろうとする。


「…あれ?」


しかし気付いた。


「ん~っ!!あ、足が抜けない!!」


沼の中から足が抜けなくなっていたのだ。しかも、


「し、沈んでる!?何で!?」


美由紀は徐々にだが、どんどん沈んでいた。理由は、沼が深かったことと、美由紀が軽かったことだ。高学年とはいえ、小学生の体重など知れたものである。深い沼でもそうやすやすとは沈まない。だから沼の中心まで来れた。しかし、軽くても時間を掛ければ沈む。美由紀が中心で止まったことである程度時間が経ち、その間に少女の力では脱出不可能になるほど足が沈んでしまったのだ。


「助けて!!私沈んじゃう!!」


危機感から助けを求める美由紀。このままでは沈み続け、溺れてしまう。


「みゆちゃん!!」


「お、おいどうする!?早く助けないとヤバいぞ!!」


美由紀が心配になって叫ぶゆかり。だが美由紀までは遠すぎて、助けようにもクラスメイト達は手をこまねいていた。


「ねぇ!!早くみゆちゃんを助けてよ!!あなたのせいでこうなったんだよ!?」


ゆかりはリーダーの胸元に掴みかかり、早く美由紀を助けるように言う。


「うるせーな!!言われなくてもわかってるよ!!けどどうすりゃいいんだ!!こっちだって本当に底なし沼だなんて思ってなかったんだよ!!」


「いいから早く!!みゆちゃんが死んじゃう!!」


「俺なら死んでもいいってのかよ!?」


「二人ともそんなこと言ってる場合じゃないだろ!!」


「そうだよ!!篠原助けなきゃ!!」


「でもどうやって!?」


子供達は喧嘩になるばかりで美由紀を助ける方法が思い浮かばず、美由紀はその間にも沈んでいく。


「輪路さん!!」


こんなことになるなら、輪路に一緒にいてもらえばよかった。心の中で深く謝罪し、その上で美由紀は叫ぶ。


「輪路さん助けて!!輪路さん!!輪路さぁぁん!!!」


その時だった。


「はぁ…はぁ…!!」


近くの木が薙ぎ倒され、木刀を杖代わりにし、息継ぎをしている輪路が現れた。美由紀の危機を察知した輪路は、街中から邪魔な木を薙ぎ倒しながらここまでわずか数分でやってきたのだ。


「輪路さん!!」


自分の希望が来てくれたことに喜ぶ美由紀。


「廻藤くん気を付けて!!その沼は底なし沼…」


注意するゆかり。だが警告が終わる前に、輪路は木刀を振って美由紀に衝撃波を飛ばした。衝撃波は泥をえぐり、水しぶきを飛ばして、美由紀の足回りの泥だけを吹き飛ばす。沼にはちゃんと底があった。ただ沈んでいただけで、底なしと言うには程遠い深さだ。しかし、美由紀には相当な恐怖だったのだろう。足が自由になったとたんに駆け出し、輪路に抱き付くと大泣きを始めた。


「うわあああああん!!!あああああああん!!!」


ようやく助かり、泣きじゃくる美由紀。輪路は無言で美由紀の頭に手を回すと、ポンポンと優しく撫でた。


「廻藤…」


「お前、すげぇな…」


クラスメイト達は輪路が見せた人間離れしている技に、ただ驚いている。その直後、輪路は凄まじい形相でクラスメイト達を睨み付け、美由紀を脇に置くと、怒気をクラスメイト達にぶつけた。


「お前らか。美由紀を泣かせたのは」


「わ、悪い廻藤!!」


「俺達だって、こんなことになるなんて…!!」


「うっせぇ!!」


怒り狂う輪路は弁明を無視して、ゆかり以外のクラスメイトを木刀で叩きのめしたのだった。


「もしまたこんな真似したら、殺すぞ!!」


ボロボロになって逃げ帰っていくクラスメイト達に、もう二度とこんなことをしないよう釘を刺しておく。命の重さを知っているため、殺すという言葉を使うことは滅多にない。あるとしたら、それは今回のように美由紀に危険が迫った時や、命をないがしろにするどうしようもない相手が現れた時だけだ。


「廻藤くんありがとう。私は止めたんだけど、みんな聞いてくれなくて…」


「何でもっと強く止めなかった?」


「えっ?」


「何でもっと強く止めなかったんだって聞いてんだよ!!お前も楽しんでたんじゃないのか!?お前と美由紀は、友達なんじゃなかったのかよ!?友達なら止められただろうが!!」


ゆかりは礼を言ったが、輪路はクラスメイト達を強引にでも止めなかったゆかりにも怒りを向けた。なぜ止めなかったのか。なぜ助けなかったのか。そうきつく問い詰める。


「そ、それは…」


勇気がなかったからだ。美由紀を助けられるほどの勇気がなかったから、助けられなかった。自分でも痛いくらいよくわかっている。それを口にする勇気もなくて、ゆかりも泣きそうだ。だが輪路はゆかりの気持ちなど知ったことではなかった。美由紀と一緒にいながら、美由紀がどういった性格なのか知っていながら何もできなかった。何もしなかったゆかりを、輪路は許せなかった。


「お前!!」


「もうやめて下さい!!」


ゆかりまで木刀で殴ろうとする輪路を止めたのは、美由紀だった。


「美由紀…」


「私が悪いんです。私が、輪路さん以外の友達も作りたいって言ったから、私は大丈夫だってゆかちゃんに言ったから…」


輪路に外してもらった理由は、美由紀に近付こうとする者全てを、輪路が遠ざけようとするからだ。輪路は相手がいじめる目的で美由紀と接触しようとしているのを見抜き、それで遠ざけているのだが、それではいつまで経っても輪路以外の友達などできはしない。だから外れてもらった。しかし、結局それは間違いだったのだ。自分の味方は、輪路とゆかりだけだということがよくわかった。


「…乗れ。おぶってやる」


「はい。ゆかちゃん、また明日ね。」


「うん。また明日…」


輪路は木刀を鞘袋に納めると、美由紀の靴とソックスを持ってから美由紀を背負い、ゆかりと別れた。











ということがあったのだ。


「もし俺が間に合わなかったり沼が2mくらいあったら、お前死んでたんだぞ?」


輪路の言う通りだ。もし彼が間に合わなかったら、もし沼がもっと深かったら、美由紀はあの時溺れ死んでいた。そんな命に関わるいじめを受けたのだ。それ以外にもたくさん…そんないじめを平然とやった連中が集まり、美由紀はそこへ行くと言うのである。輪路は絶対に行かせたくなかった。


「…大丈夫ですよ。もう十年以上も前の話ですし、みんな大人になってますから、そんなことはしなくなってるはずです。」


「ならいいけどな、もし変わってなかったらどうする?お前に何かされたら俺は…」


もし彼らが以前と変わらず、美由紀に何かしでかすようだったら、輪路は我を忘れて、今度こそ彼らを殺してしまうだろう。それだけ輪路の美由紀を守ろうという気持ちは、美由紀を傷付ける者に対して感じる怒りは強い。


「…気遣って下さってありがとうございます。でも、私だってもう大人ですし、自分の問題は自分で解決しないと。」


「…勝手にしろ。」


美由紀を説得できないと悟った輪路は、ベッドの上に横になる。


「…ごめんなさい。ありがとうございます。…おやすみなさい」


美由紀は謝り、礼を言ってから部屋を出た。


「…」


輪路は何も言わなかった。











「美由紀さんと廻藤さんって、どこまで行ったんですか?」


茉莉は突然訊いた。


「えっ…」


「…お前何言ってんだ?」


美由紀は真っ赤になり、輪路は訊かれたことの意味がわからず逆に聞き返す。


「だから、二人は恋人としてどこまで行ったのかって話ですよ!」


「恋人だぁ?お前勘違いしてるみたいだが、俺と美由紀は付き合ってるってわけじゃねぇぞ?」


「えっ?こんなにラブラブなのにですか?」


今度は彩華が訊いた。


「ラブラブってお前…」


「私達から見たら、二人とも付き合ってるようにしか見えませんよ?」


「…あのなぁ、俺が勝手に居候させてもらってるだけなの。んで許してもらってるだけなの。付き合うとかそういうのは関係ないの。」


きっぱりと言い切る輪路。確かに、二人は付き合っているわけではない。ただ輪路が勝手に上がり込んで居候しているだけだ。そこに恋愛的な要素は一切ない。


「そうなんですか?僕はてっきり、交際してるのかと…」


「馬鹿言うんじゃねぇよ。俺みたいな社会不適合者が、美由紀みたいな社会適合者と交際なんかできるかっての。」


賢太郎はあまりにも輪路と美由紀が普通に接しているため、交際しているのだと勘違いしていたようだ。茉莉はちらりと美由紀の方を見る。美由紀はどこか物悲しそうにうつむいていた。


「…あ~あ、じゃああたしが廻藤さんもらっちゃおっかな~。」


「何言ってんだお前。」


「だって、付き合ってないならもらい時でしょ?」


「歳の差考えろよ。」


「恋愛に年齢なんか関係ありませんよ。」


「大有りだよ。第一俺はガキに興味なんかねぇ」


「ひっど~い!あたしとお姉ちゃんって、結構学校じゃ評判あるんですよ?ねぇ賢太郎くん?」


「はい。今日も友達が二人の話してて…」


「でしょ~?廻藤さんはこんなに可愛い姉妹が目の前にいるのに、何とも思わないんですか~?」


「ちょっ、茉莉!」


茉莉は彩華を抱き寄せると、自分達をアピールする。が、


「…くっだらねぇ…ガキがあんま調子に乗んな。そういうことしてっと、馬鹿に目ぇ付けられんぞ。」


輪路は全く誘惑されなかった。


「そうよ二人とも。最近物騒だから、変に色気なんか振り撒いちゃダ~メ。普通にしてなさい。いい男ってのは、ひたむきな女の子に惹かれるもんなのよん♪」


「は~い。」


佐久真に説得されて、茉莉はようやく落ち着く。彩華も自分の席に戻った。と、彩華は店内の時計を見る。


「あ、大変!もうこんな時間!茉莉、早く帰らないと稽古が始まりますよ!」


「えっ?あ、ホントだ。それじゃ帰りますね」


「じゃあ僕も!」


三人は席を立ち勘定を払って店を出る。しかし茉莉だけが戻ってきて、


「美由紀さん!廻藤さんが駄目な以上、早く別の人見つけた方がいいですよ!」


と言ってから帰っていった。


「ったくガキが…」


気を取り直してアメリカンを飲む輪路。と、輪路は美由紀を見た。美由紀は暗い顔で、何かを考えている。合コンのことであるのは、輪路でもわかった。


「…行く行かないはお前の自由だ。行きたきゃ行けよ。俺は行かねぇけどな」


「…」


「え?何の話?」


「昨日真宮から美由紀宛に届いてた手紙の話だよ。合コンの誘いだとさ」


「あら!いいじゃない!真宮ちゃんって、もう何年も会ってないでしょ?久しぶりに友達に会えるんだから行きなさいな!」


「…はい。」


佐久真からも行くよう勧められたが、美由紀はどこか気乗りしない様子だった。合コンの予定は、今週の日曜日である。











日曜日。


「こんな感じかな?」


結局行くことにした美由紀は、準備をしていた。服装は清楚で控え目な感じを選び、バッグなども持って部屋を出る。


「あ…」


その途中で、輪路とばったり会った。


「…行くのか。」


「…はい。」


「…そうか。気を付けてな」


「…はい…」


二人はすれ違い、輪路は自室へと行く。入る前に立ち止まり、


「…その服、似合ってるぞ。」


と服装を褒めてから、入った。


「…」


もう決めたことだ。美由紀は止まっていた足を動かし、合コンの会場へと繰り出した。




(この店で合ってるよね?)


会場となる小料理屋で待ち合わせている美由紀。すると。


「お~い!」


懐かしい声が聞こえた。何年経っても忘れるはずがない、彼女の声。


「ゆかちゃん!!」


見ると、そこには複数の男性と女性を連れてこちらに来るゆかりが。


「…ゆかちゃん…?」


しかし、美由紀は違和感を覚えた。彼女が知る限り、ゆかりはかなり控え目な性格だ。服だっていつも地味なものを選んでいた。だが、今のゆかりは、何というか…チャラい。厚化粧をし、肌が所々露出している派手な服を着ている。ピアスもだ。


「あはは。久しぶりだねみゆちゃん。あんまり変わってたから驚いた?」


おまけに話し方もかなり砕けていた。


「う、うん…」


人というものは何年も経てば変わるだろうが、これは変わりすぎだ。


「みゆちゃんは背が伸びたけど、それ以外は全然変わってないねぇ。ま、あんたはいい子だから、悪い子とかに変わってなくて安心したけど。」


「あ、あはは…ありがと。」


一応褒めてくれているようだ。


「立ち話もアレだし、さっさと合コン、始めよっ!」


「…そうだね。そうしよっか!」


たくさんの人間を待たせている。二人だけで話し込むのはまずい。すぐ店に入り、合コンは始まった。




今日集まったのは、ゆかり以外では皆、美由紀をいじめていた者ばかりだ。例えば、北條太一という男性がいる。彼は例の底なし沼事件で、美由紀に沼に入るよう命令した、クラスメイト達のリーダーである。他にも、何かにつけて美由紀を殴ってきた村上秋子という女性や、不幸の手紙を美由紀の机に置いた山崎千歳という女性までいる。だが、彼らはもうそんな下らないことをするような性格ではなかった。皆美由紀に優しく、久しぶりに美由紀に会えたことを喜んでいたのだ。と、かつてのクラスメイト達に囲まれている中で、美由紀はゆかりに訊いた。


「ところで、合コンのお誘いの手紙、輪路さんにも出したの?」


そう訊いた瞬間、今まで合コンを楽しんでいた者全員が顔色を変え、静止した。ゆかりにしか訊いていないのに、だ。


「あ~…廻藤くん?あいつには出してないよ。」


ゆかりはばつが悪そうに答えた。


「どうして?同じクラスメイトなのに…」


「あんたもさ、この面子のこと、覚えてるでしょ?もし廻藤くんが来たら、せっかくの合コンが台無しになるかもしれないから…あいつには悪いけど…」


「そんなこと…」


ない、とは言い切れなかった。全員がかつて美由紀をいじめていた連中である。もし輪路がここに来ていたら、何かの弾みでキレて暴れるかもしれない。それが善意によるものだとわかってはいるが…


「…篠原。」


やがて、全員を代表して北條が言った。


「俺達話し合ったんだ。今日お前が来てくれたら、全員で謝ろうって。」


「今までひどいことして、本当にごめん。」


「もうあんなこと絶対にしないから、私達と友達になって!お願い!」


村上や山崎も、全員が頭を下げた。


「ちょっ、みんなやめて!私もう怒ってませんから!」


美由紀はみんなに頭を上げさせる。まぁそもそも、いじめられて泣くことはあっても怒ることはなかったのだが。


「みんなありがとう。私はもう大丈夫だから、今日はおもいっきり楽しみましょう!」


美由紀は全員を許した。それに彼らは喜び、合コンは再開された。











「あー楽しかった!」


楽しい合コンを満喫した美由紀は、大満足だった。今は次の会場を目指して移動中である。仲間達の後ろを歩きながら思う。


(やっぱりみんな変わってくれてた!今日来てよかった!)


本当にそう思う。これで彼女にも、味方が増えた。帰ったらこのことを、輪路に伝えよう。もう二度と、いじめられることはない。彼らはもう、自分の味方なのだから。



「本当にそう思う?」



「…えっ?」


突然声が聞こえて、美由紀は辺りを見回した。


「どうしたのみゆちゃん?」


それに気付いたゆかりが、美由紀に尋ねる。


「今、変な声が…」


「声?」


その時、


「その子達は自分の味方だって、本当にそう思うの?」


また声が聞こえた。今度はその声が、女性のものだとわかる。


「また声が…!!」


「…あたしには何も聞こえないけど…ねぇみんな。何か聞こえた?」


ゆかりは全員に確認してみる。だが、みんな首を横に振るばかり。どうやら今の声は、美由紀にしか聞こえなかったらしい。


「私にもね、仲間がいたの。最初は私をいじめてたけど、仲直りしてくれて、生涯私を裏切らないでいてくれると誓ってくれた、最高の仲間が。」


声はさらに続ける。美由紀は声の出所を探して辺りを見回し、それがすぐそばにあった川からしているものだとわかった。


「今あなたが見ている川が、台風で氾濫してね。私はその時、川に引き込まれて溺れたの。その時近くには、私の仲間がいた。なのに…」


声はどんどん大きくなり、悲しみと怒りを帯びてくる。


「誰も私を助けてくれなかった!!ただ見てるだけで…信じてたのに…裏切らないって、言ってくれたのに!!」


「ホントだ…声が聞こえる…!!」


「ヤバいってこれ…逃げよう!!」


とうとうゆかり達にも聞こえるようになり、危機感を覚えて逃げ出す。美由紀も逃げようとしたが…



ネチャァ…



「えっ!?」


足が動かない。驚いて見てみると、美由紀は濡れたアスファルトを踏んでおり、その液体が粘着糸を引いて美由紀の足を貼り付けていた。


「な、何これ!?」


美由紀は逃れようと足を上げるが、足はアスファルトから離れず、引っ張っても引き戻されてしまう。まるで底なし沼から足が抜けなくなった時のようだ。直後、川の中からずぶ濡れの女が飛び出してきて、美由紀に抱きついた。


「きゃあああっ!!」


悲鳴を上げる美由紀。


「う、うわああああ!!!」「きゃあああ!!!」「ひぃぃぃぃ!!!」


それを見た仲間達は、泡をくって逃げていく。


「み、みんな!!助けて!!」


美由紀は助けを求めるが、誰も聞く耳を持たない。


「ゆ、ゆかちゃん!!助けてゆかちゃん!!」


ただ一人残ったゆかりに助けを求めるも、


「嫌ああああああああ!!!」


「ゆかちゃん!!」


ゆかりまでもが逃げてしまった。


「そんな…どうして…友達だって言ったのに…!!」


「…やっぱりね。」


「えっ!?」


全てを美由紀と一緒に見ていた女性は、ため息をつきながら美由紀に伝える。


「これでわかったでしょ?友情なんてうわべだけ。いざというとき、誰も助けてなんてくれないの。」


「そ、そんなこと…」


「ないって言える?見捨てられた後で。」


否定できなかった。さっき謝ってくれたのに、友達でいてくれると言ってくれたのに、北條達は手のひらを返して逃げてしまった。友達だと信じていたゆかりまで…。


「結局のところ、信じられる相手なんて誰もいないのよ。」


いや、まだ。まだ信じられる相手が、輪路がいる。美由紀はそう思ってペンダントに手を伸ばそうとしたが、やめた。輪路は止めてくれた。奴らは元々いじめっ子だったから、行ったところでロクなことにはならないと。その通りだった。そして彼はあれだけ止めてくれたのに、自分はそれを聞かずに来てしまった。いくら輪路でも、こんな自分に愛想を尽かしているはずだ。呼んだところで、来てくれるはずがない。佐久真のことも思ったが、彼はペンダントを持っていない。自分の危機を伝える方法がない。味方は誰も、いない。


「今のあなたなら、私の気持ちをわかってくれるはず。だから…」


女性の身体は溶け出し、巨大なスライムに変化して顔まで美由紀を飲み込む。


「あなたも死んで?死んで私のそばにいて?一人は寂しかったの。」


このままでは溺れ死んでしまう。美由紀はもがくが、全く動けない。逃げられない。助けてくれる者もいない。


「諦めなさい。あなたも死ぬの」


意識が遠くなってきた。何もわからなくなっていく。



その時、衝撃波が飛んできて美由紀と女性を吹き飛ばした。



「げほっ!!げほっ!!」


水中から解放され、咳き込みながら飲み込んでしまった水を吐く。


「気を付けろ輪路。こいつは水死体のリビドンだ」


「水死体…今までこんなやつはいなかったはずだが、最近死んだやつか。」


そんな話し声が聞こえる。美由紀は濡れた顔を拭い、何が起きたのかを確認した。見ると、周囲からは人間の気配が消えており、衝撃波が飛んできた方向からは輪路が歩いてきていた。ここは三郎が張った結界の中。そして、輪路が来てくれた。


「輪路さっ…!!」


かすれた声を無理矢理出そうとする美由紀。


「三郎。美由紀を頼む」


「へいへい。大丈夫か美由紀?」


三郎が飛んできて、妖術でずぶ濡れになった美由紀の身体を乾かす。美由紀は咳き込み喉を押さえて頷く。


「どうして邪魔するの?その子は私と…」


女性は散らばった身体を集めて再生した。ただし、顔面は骸骨である。


「黙りな。」


輪路は木刀を振って衝撃波を飛ばし、再度女性を吹き飛ばした。相手は水死体のリビドン、ウォーターリビドン。リビドンは本来殺す攻撃では傷一つ負わせられないが、ウォーターリビドンは液体で肉体を構成しているため、非常にもろい。霊力が込められていなくていない衝撃波でも、散ってしまうのだ。しかし、液体ゆえにいくらでも再生できる。衝撃波に散らされた身体は、すぐ再生した。


「…邪魔ね。あなたから先に殺すことにするわ」


標的を美由紀から輪路へと移したウォーターリビドンは、輪路に向かって突撃する。


「神帝、聖装!!」


輪路もレイジンに変身した。ウォーターリビドンは怯まず、口から水の弾を吐いて攻撃する。レイジンはそれをスピリソードで斬り裂いて進む。この水弾は先ほど美由紀を拘束していた粘着液と同じものなのだが、聖神帝はそれ自体が浄化の力そのもの。触れた瞬間に粘着液を完全に浄化し、拘束する役目を失わせる。レイジンは水弾を斬りながら突き進み、ウォーターリビドンを斬った。だが斬ったそばから傷が一瞬で塞がる。


「レイジンスラァァァァァッシュ!!!」


レイジンスラッシュを喰らわせるが、同じだった。


「ちっ!!」


レイジンは舌打ちして一度下がり、縮地を使って再度接近。


「ソニックレイジンスラッシュ!!!」


最速の必殺技を当てる。だが、これも再生されてしまった。もう一度離れて接近し、


「ハリケーンレイジンスラッシュ!!!」


微塵切りにしようと必殺技を使う。だが、いくら斬り裂いてもウォーターリビドンは再生してしまい、全く効果がない。そもそも手応えがない。本当に水を斬っている感覚だ。


「無駄よ。あなたに私は殺せないわ」


ウォーターリビドンは両手をレイジンに向けると、強烈な水流を放ってきた。レイジンはこれを受け止めるが、徐々に圧されていく。


(こいつに攻撃されたって痛くも痒くもねぇが、このままじゃ勝てねぇ!!どうする!?)


ウォーターリビドンの攻撃力はレイジンにとって皆無だが、レイジンからの攻撃でもウォーターリビドンは倒せない。倒す手段がないのだ。一撃で完全に消滅させれば、勝てるかもしれないが。



その時、



「獅子王の咆哮を使え。」


あの声だ。あの声が、またレイジンに語りかけてきた。


(獅子王の咆哮!?何だそりゃ!?)


「三郎が知っている。」


(三郎が!?おいどういうことだ!?)


珍しくレイジンの問いに返してくれた謎の声。だが、獅子王の咆哮とやらについては三郎が知っているとだけ答えて、それっきり聞こえなくなる。


「けっ!!」


レイジンは勢い良くスピリソードを振って水流を払う。


「おい三郎!!獅子王の咆哮って何かわかるか!?」


「獅子王の咆哮!?何でお前がそれを…」


やはり知っていたようだ。


「だがこの状況じゃ使うしかねぇか…いいか輪路!!一度しか言わねぇからよく聞け!!胸に付いてるライオンの装飾は飾りじゃねぇ!!そこに霊力を込めて放て!!」


「うるさいわ!!」


レイジンに伝える三郎を疎ましく思ったウォーターリビドンは、三郎に向かって水流を放つ。三郎は逃げようと思ったが、すぐそばに美由紀がいるので逃げられない。


「はっ!!」


しかし、三郎が一喝すると、目の前に半透明の壁が出現して受け止める。防御用の結界だ。


「三郎!!美由紀!!」


レイジンは彼らを助けに行こうとしたが、このまま行ってもさっきと同じになるだけだと思い留まる。だが、


(ダメージは入らねぇが、まずあいつを二人から遠ざけねぇと!!)


「らぁっ!!」


斬れないなら吹き飛ばすだけ。衝撃波を飛ばしてウォーターリビドンを吹き飛ばし、二人から遠ざける。


「無駄だってことがまだわからないみたいね。」


だが吹き飛ばしただけだ。消滅させたわけではないので、すぐ再生する。


(獅子王の咆哮を使えば勝てるって言ってたが、どうやって使えばいい!?霊力を込めるったって…!!)


レイジンスラッシュはスピリソードに斬るという想いを込めるだけだから簡単だったが、獅子王の咆哮という技がどんな技かもわからないのに、どんな感じで霊力を込めたらいいのかわからない。


(…咆哮っつったな…)


こうなったら思い付く限りのイメージを試すしかない。


(ライオンが吼える時、力を溜める感じで…!!)


思い浮かべたのは、ライオンが、獅子王が吼える時のイメージ。すると、レイジンの胸の中央、ライオンの装飾の口の中が光り始めた。


「どうやらこれで合ってたらしいな。」


ここまでできたら、あとは簡単だ。溜めた力を、ウォーターリビドン目掛けて解き放てばいい。ライオンが吼えるように、レイジンは叫んだ。


「ライオネルバスタァァァァァァァァァーッ!!!」


それと同時に、装飾の口から巨大な巨大な光線が発射された。


「う…あ…」


そのあまりの巨大さに呆然と立ち尽くしたウォーターリビドンは、迎撃することもせずに棒立ちのままこれを受け、消滅した。


「お…おおう…」


レイジンは焦る。勢いに任せて使ってしまったが、新たなる技ライオネルバスターはとんでもない威力だった。ウォーターリビドンを消滅させただけでなく、近くにあった川を蒸発させ、直径300m近い大きさのクレーターを作ってしまったのだ。


「輪路!!てめぇこのバカ!!加減なしでおもいっきりやりやがって!!危うく俺の結界が破れるところだったじゃねぇか!!」


「んなこと言われたってこんな聞いたこともねぇ技、加減なんてできるわけねぇだろ!!」


三郎はレイジンがおもいっきり撃ったことに怒り、レイジンは反論する。


「すごい…」


ようやく回復した美由紀は、ライオネルバスターの破壊力に目を奪われていた。


「…正直言ってこの技は教えたくなかったんだ。威力がありすぎて、結界ごと街を跡形もなく吹っ飛ばしかねないんでな。」


しかし今回は使うしかなかった。幸運にも結界が破られなかったのは、レイジンがまだ未熟だったからか、無意識に威力を調節していたからか。


「…こりゃ俺も修行しなくちゃな。うかうかしてたら、そのうちうっかり結界を破られた、なんてことになりかねねぇ。」


輪路の成長速度は予想以上だった。いつでも彼の全力を受け止められるよう、自分も修行しなければならないと、三郎は思った。



ウォーターリビドンは消滅したが、リビドンとしての肉体と憎悪を消し飛ばしただけだ。前身である女性の魂は、まだちゃんと存在している。


「…誰かにわかって欲しかった。見捨てられた私の気持ちを…その子ならわかってくれると思ったけど、まだその子の味方はいたみたいね。」


女性は裏切られた自分の気持ちをわかってもらいたかっただけだった。だからいじめられていた記憶を持つ美由紀の心の闇に反応して、川の中から目覚め、美由紀を道連れにしようとしたのだ。輪路が気付けなかったのは、女性が眠っていたからである。


「その子を絶対に裏切らないであげて。あなた達の絆を見られてよかった…」


自分がやろうとしたことが間違いであると気付き、女性は成仏した。危機が去ったとわかったレイジンは変身を解き、美由紀に近付く。


「美由紀。大丈夫か?」


「…はい。」


「ったく、何ですぐ連絡しなかったんだ?たまたま俺がこの辺りをうろついてなかったら、お前あいつにやられてたんだぞ。」


「よく言うぜ。美由紀が心配になって見に来たくせによ」


「うっせぇ!!」


輪路はたまたまと言ったが、本心は三郎の言った通り美由紀が心配になって見に来たというものだ。美由紀がどんな目に遭っているかと思うと、気が気でなかったのである。


「っ!!」


「っと!?」


突然美由紀は輪路に抱きついた。


「…美由紀?」


「…みんな、昔私をいじめてたことを謝ってくれたんです。それなのに、私がさっきのリビドンに襲われた時、みんな私を見捨てて逃げ出して…ゆかちゃんまで…!!」


嗚咽混じりに今まで起きたことを話す美由紀。


「…悪化してたってわけか。」


「輪路さん、私を心配して、止めて下さったのに、私それを無視して!!愛想尽かされちゃったって!!助けに来てくれないと思って…!!」


「…時々馬鹿になるよなお前。」


「えっ?」


美由紀は顔を上げて輪路を見る。輪路の顔は、真剣そのものだった。


「そんな程度のことで俺はお前を見捨てたりなんかしない。いや、何があろうと、俺は絶対にお前を裏切ったりしない。どんなことがあってもな」


誓ってくれた。絶対に裏切らないと。絶対に見捨てないと。


「う…うあ…うわああああああん!!ああああああん!!!」


嬉しかった。本当に嬉しかった。こらえ切れなくなって、美由紀はもう一度抱きついて大泣きを始めた。輪路は美由紀を抱き締めると、頭をポンポンと優しく撫でてやった。











その後、ゆかり達とはまた音信不通になった。信頼していた友人達と連絡が取れなくなってしまったが、


「~♪」


美由紀は上機嫌だった。


「なんかあったの?」


「ん?さぁな。」


佐久真に訊かれたが、輪路は軽くごまかす。


「あ、輪路さん。」


「ん?」


美由紀は輪路に訊いた。


「輪路さんはどうしていつも私を守って下さるんですか?」


「ん~…何でだろうな?俺にもわかんねぇや。けどな」


輪路はアメリカンが入ったカップを手に取ると、


「守りたいから守ってる。他に理由がいるか?」


笑ってから一口飲んだ。





何だろう…美由紀も輪路も、若干ヤンデレが入ってる気がする…純愛もの目指してるのに…。


今回新しく、ライオネルバスターが使えるようになりました。超威力の遠距離攻撃が加わり、さらに戦闘力を増したレイジン。しかし、戦いもより激しくなっていきます。そろそろ長編をやろうと思ってますので、お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ