第三十四話 誰も知らない第四次世界大戦 後編
前回までのあらすじ
苦戦を強いられながらも、次々とナチス幹部を撃破していく協会。そして輪路はようやくヒトラーの前にたどり着き、第四次世界の終局が始まった。
「神の一撃、受けてみろ!!」
そう言いながら、ロンギヌスの槍を使った刺突を繰り出すナチスリビドン。
「……」
しかしレイジンは、それをシルバーレオで軽く払い、縮地で接近してナチスリビドンの顔面を殴り飛ばした。
「ぐあっ!!」
「どの辺が神の一撃だよ?ただ突いてるだけじゃねぇか。遅いし」
神の一撃と仰々しい名を付けて放った突きだが、ぶっちゃけただの突きだ。動きも遅くて単調。槍の力は確かに強く、普通の支給武器なら破壊されていただろうが、普通避けられるし、シルバーレオクラスの業物を持っていれば余裕で防げる攻撃だ。
「大したことねぇなぁ。上に立って命令ばっかしてるから、直接戦った時負けるんだよ。運動不足だ」
「黙れ!!まだ負けておらん!!」
その後も、ナチスリビドンはレイジンに向かってロンギヌスの槍を使った攻撃を繰り出し続け、レイジンはそれをかわし続けた。はっきり言って、ヒトラーは上級リビドンになっても全然強くない。霊力も普通のリビドンより多少強い程度だし、槍の技量も、同じ上級リビドンで槍使いであるデュオールには遠く及ばないのだ。
「ならばッ!!」
ナチスリビドンはロンギヌスの槍の力を解放し、槍の先から光線を発射した。
「ライオネルバスター!!!」
レイジンはこれをライオネルバスターで相殺する。ロンギヌスの槍だけは確かに強力な武器だが、それだけだ。ナチスリビドンは自分は神になったと言いながら、その実神の武器に頼った戦い方しかしていない。強敵との戦いで力と技を練磨したレイジンには、全く通じない戦い方だ。
「もうこれ完全に弱いものいじめだよな。お前、成仏して冥界に帰れよ。俺も疲れることしたくねぇからさ」
「黙れと言っている!!!」
完全にやる気をなくしたレイジンに、ナチスリビドンは突貫を仕掛ける。が、そんな破れかぶれな攻撃がレイジンに通じるはずはない。
「ハリケーンレイジンスラッシュ!!!」
「ぐわああああああああ!!!!」
ハリケーンレイジンスラッシュで迎撃し、ナチスリビドンの全身を斬り刻む。
「う……がぁ……!!」
しかし、ナチスリビドンはまだ成仏していない。雑魚だが上級リビドンなだけはあって、耐久力は通常のリビドンより高いのだ。
「……もうやめろ。これ以上続けるってんなら、本当に力ずくで成仏させるぜ。」
既に勝負は見えた。大人しく成仏してくれれば、苦しむ必要もない。レイジンはナチスリビドンに降伏するよう言う。
しかし、
「思い上がるな愚か者め!!私はまだ切り札を切っておらんのだぞ!!」
ナチスリビドンは負けを認めず、軍服のポケットから何かを取り出した。
「……何だそれ?」
ナチスリビドンが取り出したのは、赤く輝く楕円形の小さな石だ。
「見るがいい!!真なる神の誕生を!!」
ナチスリビドンはこの石が何なのかという質問には答えず、石に霊力を込める。霊力が込められるに従って、石の輝きは増していく。
だが次の瞬間、石を持つナチスリビドンの手首から先がなくなった。
「……あ?」
何が起きたのかわからず、間の抜けたような声を上げるナチスリビドン。
「ようやくか。ずいぶんもったいぶってくれたものだ」
そう言ったのは、超スピードで横から駆け抜け、ナチスリビドンの手首を斬り落としたブランドンだった。床にはブランドンが斬り落としたナチスリビドンの手首が転がっているが、石は握られていない。石は、ブランドンが回収していた。
「き、貴様!!ブランドン!!!」
「ブランドン!?」
ナチスリビドンが発した言葉に驚き、レイジンはブランドンを見る。ブランドン。アンチジャスティスのリーダーであり、レイジンの母、暁葉の仇。その男が、今彼の目の前にいる。
「ご苦労だったな。これで貴様は用済みだ」
ブランドンは再び駆け抜け、今度はナチスリビドンを胴から両断した。
「貴様……最初から……それが目的で……!!」
「今頃気付いたか。貴様のような無能に、私が敬意を払うわけがないだろう。」
真っ二つになって地面に転がるナチスリビドン。ブランドンはその頭に剣を突き刺し、完全に成仏させた。
「……さて、直接会うのは初めてだな。私はブランドン・マルクタース・ラザフォード。シエルの兄であり、アンチジャスティスの首魁であり、君の母の仇だ。」
「!!」
ブランドンの口から改めて説明された瞬間、レイジンの心の中から強い感情が溢れた。それは憎悪。殺意。今すぐこいつを殺したい。そういう感情だ。
(ダメだ)
しかし、レイジンは必死に自分を落ち着かせた。確かにブランドンは暁葉の仇だ。憎い仇だ。だが、憎悪のままに人を殺すことだけは、絶対にしてはいけない。それはレイジンが負けたことになるからだ。だから、落ち着け。仇としてではなく、倒さなければならない悪として戦え。レイジンは自分に言い聞かせ、憎悪を抑える。
「……ああ初めましてブランドン。会いたかったぜこのクソ野郎が」
それでいて、自分は怒っていないわけではないということを示す。
「ふむ……すぐに斬り掛かってくるものと思っていたが、それで終わりとは。意外に意思が強いのだな?」
「勘違いすんな。俺はお前を許してねぇ。ただ聞きたいことがあるだけだ」
「聞きたいこと……何かな?」
「お前がヒトラーから取り上げたその石だよ。そりゃ何だ?ずいぶん欲しがってたみたいだけどよ。」
とぼけるように言うブランドンに苛立ちながらも、レイジンはブランドンがヒトラーから奪った石について尋ねる。ブランドンは答えず、部屋の中を見渡した。
「……一滴の血も流させることができんとは、どこまでも使えん男だ。」
「血?」
どうやらブランドンはレイジンの血を探していたらしい。しかしヒトラーはレイジンに全く手傷を負わせられないまま負けてしまったので、レイジンの血は一滴も流れていない。ブランドンは床に転がるロンギヌスの槍を、怒りをぶつけるようにして剣で破壊する。
「まぁいい。最後の仕上げは、私自身の手で行うとしよう。」
ブランドンはレイジンを睨み付け、静かに唱えた。
「神帝、聖装。」
間もなくして、ブランドンは鎧を纏う。レイジンと同じ獅子王型の、しかしレイジンと違う黄金の鎧を。この姿こそ、会長の家系が代々受け継いできた黄金の獅子王、聖神帝カイゼルである。
*
「!!」
同時刻。結界を展開していたシエルは、弾かれるようにして顔を上げた。
「どうされました?」
そばでシエルのサポートをしていた討魔術士の一人が、シエルに訊く。
「……兄様の霊力。そしてこの高まりは、兄様がカイゼルを……!!」
シエルはブランドンが現れ、カイゼルに変身したことを察知したのだ。
「……行ってきます。私以外では、きっと兄様に勝てないから。」
ブランドンの力、忘れるはずがない。恐らくカイゼルに変身したブランドンに勝てるのは、自分だけ。そう思ったシエルは、ブランドンを倒すために出撃することを決意する。幸い敵の数はかなり少なくなり、戦闘の規模もずいぶん小さくなってきている。これなら、結界の引き継ぎを他の討魔術士に頼んでも大丈夫そうだ。
「了解しました。お気を付けて!」
「はい!」
シエルは討魔術士達に結界の維持を引き継がせると、ナチスの基地へ向かっていった。
*
レイジンはシルバーレオを構えて、カイゼルに言う。
「お前とは初対面だが、それでもわかる。その鎧はお前が使っていいもんじゃねぇ。シエルに返しな」
カイゼルは討魔協会会長の証。だが今それを使っているのは、協会を裏切った男だ。いくら先代会長の息子で、元々カイゼルを受け継ぐことが決定していたといっても、今のブランドンにカイゼルを使う資格はない。アンチジャスティスという、正義の協会に背く組織の首魁となったのだ。正義の象徴たる聖神帝を使う資格など、あるはずがない。使うならシエルだ。レイジンはブランドンに向かってそう言う。
「それはできん。私にとっては大事な力だ。単純な力としても、聖神帝という存在を穢すためにもな。」
しかし、ブランドンはカイゼルを返還するつもりはなかった。カイゼルは強力な武器であるし、正義の聖神帝を穢すという意味でも、手放したくなかったのだ。
「じゃあ力ずくで取り返すぜ。」
「やってみろ。お前ごとき片手で十分だ」
カイゼルは片手に石を持ち、もう片方の手にスピリソードを持つ。
「レイジン、ぶった斬る!!」
舐められている。そう感じたレイジンは、カイゼルの認識を撤回させるべく、縮地とともに斬り込む。カイゼルは石を持っているせいで、片手でしか戦えない。しかし、レイジンが両手持ちで放った斬撃を、カイゼルはスピリソード片手持ちで止めた。押し込むが、カイゼルをその場から動かせない。カイゼルは軽く力を込めると、レイジンを弾き飛ばした。
「並みの討魔士よりは強いが、この程度か。」
カイゼルにとっては拍子抜けな一撃だったらしい。
「舐めんな!!こちとらまだ本気じゃねぇんだよ!!」
レイジンは力の霊石を発動し、再度縮地を使って突っ込んでシルバーレオを振り下ろした。しかし、カイゼルはそれを軽く後ろに下がることで回避する。
「何!?」
「馬鹿正直に受けてやると思うのか。」
今度はカイゼルが突っ込み、レイジンに向けて無数の斬撃を放った。レイジンからは一度振っているようにしか見えなかったが、カイゼルは数十の斬撃を浴びせたのだ。ヒエンと同等か、それ以上のスピードである。カイゼルは霊石を使っていない。だが、霊石なしでも相当な強さだ。シエルが劣等感を覚えていた理由が、よくわかる。
「くっ!!」
このまま喰らい続ければひき肉にされてしまう。レイジンは素早く離脱した。
「ライオネルバスター!!!」
離脱した瞬間にライオネルバスターを発射するレイジン。これでカイゼルの出方を見る。すると、
「おおっ!!」
カイゼルは真正面からライオネルバスターの閃光の中に飛び込んできた。飛び込んで、素早く、何度もスピリソードを振る。超高速の斬撃を何発も連続で受けることにより、光線が分解されていった。
「なっ!?」
カイゼルは破壊光線の中を、光線を切り裂きながら凄まじい速度で進んでいるのだ。その光景に目を奪われたせいで、反応が遅れた。
「カイゼル、斬り捨てる。」
ライオネルバスターを完全に破壊したカイゼルは、そのままの勢いで刺突を繰り出したのだ。
「ぐあっ……がっ……!!」
カイゼルのスピリソードはレイジンの脇腹を貫通し、血が噴き出す。カイゼルはレイジンを蹴り飛ばしながらスピリソードを引き抜き、レイジンは変身が解除されてしまった。カイゼルもまた変身を解除し、剣から滴る輪路の血を見る。
「存外にあっけないものだが、とはいえやっと手に入れた。エラルダ!ウォレス!」
「「はっ!」」
ブランドンが呼ぶと、エラルダとウォレスが現れた。ブランドンはエラルダが持っている奇妙な装置に、輪路の血を流し込む。
「兄様!!」
そこへ、シエルがやってきた。翔とソルフィ、ダニエルとシルヴィーもいる。
「廻藤!!大丈夫か!?」
「これを飲んで下さい!!」
翔は床に転がっている輪路を起こし、ソルフィが回復薬を飲ませる。
「兄様……」
「久しいなシエル。それに、副会長達も。全員ちょうどいいタイミングで来てくれたものだ」
数年ぶりに再会した、ラザフォード兄妹。これだけのメンバーを前にしても、ブランドンは余裕を崩さない。
「これからお前達は、恐らくこの世界において一、二を争うであろう悪徳を目にすることになる。」
余裕のまま、ブランドンは石をシエルに見せた。
「これは、賢者の石だ。」
「賢者の石!?」
ブランドンは石を賢者の石と呼び、シエルはその名に驚愕する。
賢者の石とは、錬金術の最終到達地点である、万能の霊薬のことだ。あらゆる物質を黄金に変え、人間に永遠の命を与えると言われている。
「私の目的のためには、どうしてもこの賢者の石が必要でな。調べた結果、ナチス総統アドルフ・ヒトラーが持っていることがわかった。」
「賢者の石をヒトラーから奪うために、ナチスを復活させたというのか!?」
翔も驚いている。賢者の石を入手する。そんなことのために、ブランドンはナチスを復活させるという狂人としか思えぬことを実行したのだ。
「まさか協会を落とすために復活させたとでも思ったのか?こんな無能の集団に落とせる組織なら、八年前のあの日に私が落としている。」
ブランドンの目的はあくまでも賢者の石のみであって、ナチスには何の期待もしていない。普通の軍隊に落とせるほど協会が甘い組織ではないということも知っていたし、戦えば負けることも火を見るより明らかだった。事実、現在のナチスはほぼ壊滅状態である。
「見るがいい。お前達は歴史的な瞬間の立会人だ」
ブランドンは先ほど輪路の血を入れた装置に賢者の石を投入し、スイッチを入れる。そして、自分の真の目的を話す。
「私の目的は、ホムンクルスを誕生させることだ。」
「ホムンクルスだと!?」
今度はダニエルが驚く。ホムンクルスとは、錬金術を使って生み出す人造人間のことだ。エラルダとブランドンが話す。
「この装置には、以前アンナに学ばせた人間の感情のデータと、協会とナチスの戦いで発生した大量の霊力が入っているわ。」
「そこに廻藤輪路の血液と賢者の石を加えることで、無限のエネルギーを持つ賢者の石を核に、多くの討魔士と討魔術士の技と力、そして廻藤輪路の肉体を持った最強のホムンクルスが誕生するのだ!!」
二人が説明した瞬間、装置が破裂し、空中に賢者の石のみが残る。すると賢者の石が光り、自分を中心にまず心臓を、次に人間の骨格を作り、そこに血管や筋繊維、内臓や各器官を肉付けし、最後にそれらを皮膚で覆って血を通わせ、輪路と全く同じ姿を形成する。
「名前は既に決めてある。お前の名は、廻藤正影!!正義を穢す影だ!!」
ブランドンは出来上がったホムンクルスに名前を付けた。正影と呼ばれたホムンクルスは目を開き、自分に名前を付けたブランドンを見る。それから、自分のオリジナルとも呼べる存在である輪路を見て、最後に自分の身体を見た。ちなみに、今正影は全裸だ。しかし直後、正影の身体は輪路と同じ服を纏った。どうやら衣服は自在に形成、変化させられるらしい。
「なるほど。アンナを俺にけしかけたのは、これが目的だったってわけだ。」
回復した輪路は立ち上がり、エラルダを睨む。アンナに輪路の感情を学ばせたのは、ホムンクルスにインストールする感情のデータを入手するため。エラルダは生きていれば近いうちに必ずわかると言っていたが、それはこのことだったのだ。
「それだけじゃないわ。」
「廻藤光弘の子孫、廻藤輪路の血と肉体、感情をアンチジャスティスのものとして使うことで、正義を失墜させるという役目もある。」
光弘は正義の象徴であり、その子孫である輪路もまた同じ存在。ブランドンはその輪路の力、感情、容姿を持ったホムンクルスをアンチジャスティスの兵士として使うことで、正義という概念そのものの失墜を図ったのだ。
「僕がウチの兵士達に命じて、お前がたどり着きやすいようリビドン達の配置を変えたんだ。美しくない任務だったけど、お前には深~~い恨みがあったから喜んで引き受けさせてもらったよ。」
ウォレスもまた、アンチジャスティスの構成員達に命じて、スカルリビドン達の配置を気付かれないように弄ったのだ。輪路がヒトラーの下にたどり着き、ブランドンが血を回収できるように。
「さて正影。生まれたばかりで悪いが、お前には早速働いてもらうぞ。」
そして目論見はうまくいき、正影は誕生した。ブランドンは早速、正影に命令を下す。
「奴らを殺せ。一人も生かして帰すな」
「……わかった。」
無表情で、じっ、とブランドンを見ていた正影は、無表情のまま了承した。
「これはあなたの武器よ。私がアンチジャスティスの技術力の全てを使って造り上げた霊子兵器。その名も、ブラックライオン。」
続いて、エラルダが武器を投げ渡した。輪路と同じ、日本刀タイプの剣だ。正影はブラックライオンという剣を腰に差すと、鞘から引き抜いた。刀身はシルバーレオと全く同じ形状ながら、色は完全な漆黒。重々しい雰囲気を纏った黒刀、ブラックライオンとはよく言ったものである。正影は数秒刀身を見てから、すぐ視線を輪路に移し、神速で斬り掛かった。
「廻藤!!」
スピード戦を得意とする翔だけがそれに気付き、正影の攻撃を割り込んで防いだ。他の者達が遅れてそれに気付く。
「そこをどけ。殺すなら最初はそいつにすると決めていたんだ」
正影は輪路に対して、強く明確な殺意を抱いており、それゆえ真っ先に輪路を攻撃したのである。
「自分がコピーだから、オリジナルを殺して成り代わりたいとでも言うつもりか?」
「……別にそんなつもりはない。ただ気に入らないだけだ」
「がっ!!」
正影は恐るべき剛力で翔を弾き飛ばすと、再び輪路に斬り掛かった。だが今度は輪路も反応できており、シルバーレオでブラックライオンを受け止める。
「俺が気に入らねぇって?奇遇だな。俺もお前が気に入らねぇ!!」
そこから打ち合いを始める。だが、輪路は圧され気味だ。なぜなら、正影は技術や力も強いが、自分の身体でわざとシルバーレオの刃を受けるような真似をするのだ。しかも、全く傷が付かない。正影はそんな輪路の動揺を誘うような、大胆な攻め方もしてくるのである。
「こいつの身体どうなってんだ!?」
「貴様は自分が戦っている相手を何だと思っている?ホムンクルスだぞ。普通の人間と同じ肉体だと思ったら大間違いだ!」
ブランドンは正影が輪路を圧しているのが嬉しいのか説明した。人造人間ホムンクルス。より強力な兵器として運用するため、製造の段階でもう普通の人間より頑丈になるよう設定してあった。その上、無限のエネルギーを持つ賢者の石を核にしてある。錬金術は物質の変換。その頂点にある賢者の石のエネルギーを全身に行き渡らせることにより、正影は自分の肉体を自在に変化させられるのだ。強化、弱体化、他人への変身や欠損部の再生まで、思うがままである。肉体を強化することで、シルバーレオの斬撃を跳ね返せるほどの耐久力を得ているのだ。
「我々を無視しないでもらおうか!!」
しかし、相手は輪路一人だけではない。ダニエルの一言を皮切りに、翔、ダニエル、シルヴィーの三人が、一斉に攻撃を仕掛けたのだ。正影は四人の攻撃を華麗にさばいていくが、四対一の戦いはさすがにキツいのか、動作に余裕がない。
「……」
形勢不利と見た正影は、一旦退避する。
「「「「神帝、聖装!!」」」」
その隙を突いて、四人は全員聖神帝へと変身する。
「いくら強力なホムンクルスといえど、聖神帝四人が相手では厳しいどころではないはずです。ブランドン、彼に剣を退かせなさい。」
平和主義の穏健派であるドラグネスは、必要以上の戦いをよしとせず、ブランドンに正影の降伏を迫る。しかし、
「何を言っている?聖神帝に変身したからといって、それで正影を追い詰めたとでも?」
ブランドンは降伏しなかった。
「まさか……!!」
嫌な予感がドラグネスの頭をよぎる。ブランドンは正影に言った。
「何のためにお前に感情を学ばせたと思っている?できるはずだ。お前なら」
それを聞いた正影は、静かに唱えた。
「……神帝、聖装。」
正影を中心に巻き起こる、闇の奔流。闇は実体化し、鎧の形となって正影に装着されていく。やがて正影は、レイジンと同じタイプの、黒い獅子王型聖神帝に変身した。
「やれると思っていたぞ。」
ブランドンは歓喜する。発現に感情の爆発が必要になる聖神帝だが、なら感情さえあれば発現が可能だと見たブランドンは、正影に聖神帝を発現させるため、輪路の血と感情を入手させたのだ。予想通りの結果に、ブランドンは告げた。
「聖神帝カゲツ。正義の影にして、全ての聖神帝の影だ。」
カゲツ。ブランドンは正影が発現させた聖神帝に、そう名前を付けた。
「カゲツ、叩き斬る。」
カゲツはブラックライオンをスピリソードに変化させ、またしてもレイジンに斬り掛かっていった。レイジンは咄嗟に技の霊石を使い、レイジンイレースマインドで攻撃をかわして、腹に一撃斬り込む。しかしカゲツはそれを一切意に介さず、片手でレイジンの頭を掴むとブラックライオンで滅多斬りにし、頭を何度も床に叩き付けた。
「廻藤!!」
レイジンの危機に、素早くカゲツに攻撃を仕掛けるヒエン。と、カゲツは唐突にレイジンへの攻撃をやめ、掴んでいるレイジンをヒエンへと投げつけた。その力がとてつもなく強く、レイジンはヒエンに叩きつけられ、二人まとめて吹き飛んでしまった。
「翔くん!!廻藤さん!!」
ソルフィが慌てて駆け寄り、二人を助け起こす。その瞬間に、レイジンの変身が解けた。
「俺は無事だ!!それより、廻藤が……!!」
輪路はカゲツから激しい攻撃を受け続けたせいで、ボロボロにされてしまっている。半死半生の状態で、気絶していた。
「うおおおっ!!!」
「はああああっ!!!」
レイジンとヒエンの代わりに、ウルファンとドラグネスが全霊聖神帝に変身してカゲツと戦っている。しかし、カゲツの力はあまりにも圧倒的で、全霊聖神帝を二人も同時に相手してるというのに、逆に追い詰めているのだ。
「……ソルフィ、廻藤を頼む。」
ヒエンもまた全霊聖神帝に変身し、二人の加勢に入る。
「廻藤さん!!廻藤さんしっかりして!!」
ソルフィは輪路を起こそうとするが、輪路は起きない。水の霊石を使えばすぐに治せる傷だが、輪路が自身の意思で使わなければ治せない。
「……こうなったら……!!」
ソルフィは人形を一体取り出し、霊力を込めてある術を発動した。すると、人形が一瞬でズタズタのボロボロになり、代わりに輪路が綺麗さっぱり回復して目を覚ました。
「ん!?何だ!?」
「ドールサクリファイス。私の家の秘術です」
今ソルフィが使った術は、名をドールサクリファイスという。指定した対象が負ったダメージ全てを、人形に移し変える術だ。死んでさえいなければどんなダメージでも移し変えられる非常に強力な回復術だが、人形が完全に壊れてしまえばダメージは移せないし、人形の数に依存してしまうため連発ができない。
「それに肩代わりできるのはダメージだけで、霊力までは回復できません。」
「いや、動けるようになりゃ十分だ。神帝、聖装!!」
幸い致命傷を受けただけで霊力はさほど消耗していない。身体の傷さえ治れば、まだ戦えるのだ。輪路は再びレイジンに変身し、ヒエン達に加勢した。
「やれやれ、君は相変わらず美しいねぇ。大切な人形を犠牲にしてでも醜い男の命を救うとは、見た目だけでなく心も満点だ。」
「ウォレス……!!」
ウォレスが近寄ってきたのを見て、ソルフィは身構えた。残った人形を周囲に飛ばし、それ以上近付けないようにする。
「いい機会だ。今日こそ君を、僕のコレクションに加えよう。いいですよねブランドン様?」
「ああ。今まで好きでもないことに付き合わせて悪かったな」
ブランドンに許可はもらった。ウォレスは懐から光線銃を取り出し、ソルフィと戦いを始める。
「エラルダ。データは取れているか?」
「はい。バッチリですわ」
一方、エラルダはカメラを取り出し、カゲツの戦闘を撮影している。一応カゲツを誕生させるという目的は達成したが、まだまだ生まれたばかりだ。より完成度の高い存在にするために、データを取らなければならない。そのデータ取りのためである。
「……それで、お前はいつまで傍観を決め込んでいるつもりだ?シエル。」
ブランドンは、ずっとこちらを睨み付けているシエルに視線を向けた。誰もが命を懸けて戦う中、彼女だけが戦っていない。だがなぜ戦わないのか、ブランドンはその理由を見抜いていた。
「迷っているのだろう?いくら悪の道に走ったとはいえ、血の繋がったただ一人の家族を討っていいものかと。」
「……」
シエルは答えないが、ブランドンにはお見通しだ。彼はシエルにとって先代会長の父を殺した仇だが、同時にただ一人の兄でもある。できることなら、倒したくなかった。
「その迷いを断たぬ限り、お前は私に勝てん。いや、断ったとしても勝てはしない。お前は昔から、何かで私に勝ったことがなかったからな。」
「……最後の警告です。今すぐ投降し、アンチジャスティスを解体して下さい。」
「断る。私を止めたければ、私を殺せ。降伏など断じてしない」
シエルは最終通告を行ったが、ブランドンの決意は固く、やはり投降してはくれなかった。こうなってしまっては仕方ない。
「ならば、私はあなたを討ちます。」
シエルがラザフォードノートを開き、片手をかざした。すると、ノートの中から一本の討魔剣が出現し、シエルはそれを引き抜いてブランドンに向けた。
「今日、ここで!!」
「……神帝、聖装。」
ブランドンもまた、カイゼルに変身する。
「不可能だ。今日ここで討たれるのは、お前の方だからな。」
*
ウルファンはビッグスピリソードを振りかぶり、カゲツに向けて全力で叩き付ける。しかし、カゲツはブラックライオンで軽く跳ね返し、
「シャドーハウリング。」
「ぐあああああ!!!」
胸のライオンの装飾から、黒い光線を発射してウルファンを吹き飛ばした。要するにライオネルバスターと同じ技なのだが、この技にはライオネルバスターの五倍もの霊力が圧縮されており、同時に霊力の消費が限界に達したウルファンは変身が解除され、戦闘不能となった。
「はあああっ!!!」
大技を使った隙を突いてドラグネスが飛び込み、右のスピリクローの突きを放つ。それをブラックライオンで防ぐカゲツだったが、ドラグネスが素早く飛び込んだためにかなり無理な体勢で防御した。それを逃さず、ドラグネスは瞬時に左手のスピリクローでカゲツの腕を跳ね上げ、ブラックライオンを真上に弾き飛ばした。それからカゲツを蹴り飛ばし、武器をなくしたカゲツにスピリクローの一撃を放つ。しかし、
「アサルトエッジ。」
カゲツが片腕を振るい、ドラグネスを弾き飛ばした。見ると、カゲツの両腕に大きな刃が出現している。アサルトエッジ。カゲツは賢者の石のエネルギーを聖神帝の鎧にも行き渡らせており、物質変換の応用を行うことで鎧の一部を武器に変化させることができるのだ。これもその一つである。武器を奪ったと思っていたドラグネスは油断しており、カゲツはそれに構わずアサルトエッジを振ってスピリクローを破壊した後、超スピードのラッシュを叩き込んでドラグネスを戦闘不能にした。
「うおおおっ!!!」
既に三大士族の二人が倒されてしまった。最後の一人、ヒエンが果敢に立ち向かう。そこにちょうどブラックライオンが落ちてきて、カゲツはそれを掴み取り、腕を元に戻しながらヒエンを斬りつけた。だが危ないところで無重動法を使い、間一髪でよける。それからもカゲツは斬り込んできたが、ヒエンは無重動法で全て回避し、炎翼の舞いで爆発に巻き込む。しかし、カゲツは無傷。
(この程度では駄目か!!)
生半可な攻撃ではダメージを与えられない。さらに強力な攻撃を放とうとした時、カゲツの手に何か出現した。針だ。カゲツは黒い針を数本、その手に握っている。
「バーストスティング。」
カゲツはそれをヒエンに投げつけ、さらに0.001秒でもう一度出現させて投げつける。針は全てヒエンに命中し、直後爆発する。バーストスティング。カゲツは自分の霊力に物質変換エネルギーを混ぜることで、様々な物質を自在に作成できるようになった。カゲツの製造に使われた霊力の中には、ヒエンの霊力も含まれている。よって、ヒエンの技も使うことができるのだ。しかし、今回はあえてそれを使わず、ヒエンが先ほど使った炎翼の舞いの爆発する羽からヒントを得て、爆発する針を作成したのだ。針が刺さった部分も含めて全て爆発したので、ヒエンは体内からも大ダメージを受けて倒れ、変身が解除された。
「翔!!」
レイジンが翔を助け起こすが、翔は気絶している。カゲツはレイジンに言った。
「俺の肉体はお前をベースに造られている。そして、お前の記憶も引き継いでいる。その中にお前がそいつに苦戦した記憶があったが、なぜこんな雑魚に苦戦したのか理解できない。」
カゲツはレイジンの血液に含まれている情報を使って自身の肉体を構成している。そのため当然レイジンの記憶も引き継ぐことになるわけだが、カゲツはレイジンとヒエンの戦いの記憶を見て、それから実際にヒエンと戦い、その上でヒエンを雑魚と称した。
「……言いやがったなこのクソ野郎。」
翔が雑魚と呼ばれたこと、それがレイジンには許せなかった。全霊聖神帝にパワーアップし、
「許さねぇ!!!」
カゲツに斬り掛かった。
「翔くん!!」
「よそ見してる場合かな!?」
ウォレスは光線銃を使い、人形を次々と落としていく。人形に外傷はないが、人形はソルフィの制御を失っているのだ。
「そんな……どうして!?」
「霊力分解光線銃さ。人間に当てれば、しばらく霊力が使えなくなる。」
ウォレスの光線銃はただの光線銃ではなく、命中した相手の霊力を分解する光線を発射する。これで人形に込められた霊力を分解し、霊力を失った人形は落ちていたのだ。
「君を無力なただの人間にしてから、ゆっくりとコレクションにしてあげるよ。」
「くっ……この変態……!!」
あの光線には絶対に当たるわけにはいかない。ソルフィは回避に専念し、ウォレスと戦い続けた。
「ふんっ!!」
スピリソードを振り下ろすカイゼル。しかし、シエルの前面に四角い結界が張られ、スピリソードを受け止める。
「はっ!!」
シエルは結界の内側から討魔剣で突くが、カイゼルは飛び退いてかわしてしまう。
「絶対防衛結界か。お前は昔から守りだけは得意だったな」
絶対防衛結界とは、防御に主眼を置いた結界で、あらゆる攻撃に対して高い防御力を誇る結界のことだ。絶対戦場結界と並び、ラザフォードノートの二大結界と呼ばれている。
「カイゼルといいラザフォードノートといい、骨董品も役に立つではないか。」
「一族の至宝を、骨董品呼ばわりは許しません!!はぁっ!!」
シエルは討魔剣に霊力を込め、巨大な刃を飛ばす。神帝戦技級の威力を秘めた一撃だ。が、
「相変わらず、ぬるい剣だ。骨董品を使ってもここだけは変わらず、か。」
カイゼルはラザフォードノートの骨董品呼ばわりをやめず、シエルの霊力刃をスピリソードの一撃で掻き消し、再び斬り掛かる。シエルは再びこれを絶対防衛結界で防ぐが、
「守りに入ってばかりだとすぐに死ぬぞ。そうら!」
「!!」
今度はスピリソードが結界を破壊してしまう。シエルは何とか回避できたが、絶対防衛結界が破られてしまった。カイゼルはシエルの霊力を分解し、結界を破ったのだ。術の扱いでも、シエルは彼に勝ったことがなかった。
「回避もうまくなったな。だが言ったはずだぞ?守ってばかりだとすぐに死ぬと。」
「くっ!!」
今度は剣の打ち合いに入る。
霊石の数が多いからか、レイジンはカゲツが相手でもすぐには倒されていない。だが、時間の問題だった。カゲツは戦闘力も、戦闘技術も、霊力すらもレイジンを上回っている。味方は全員押さえられ、形勢は限りなく不利。
(となりゃあ、いつものやつをやるしかねぇか……)
でかい一撃を当てて、それで仕留める。だが、それには隙を作らねばならない。そこでレイジンは賭けに出た。
「おい。お前、正影っつったな?」
「そうだ。」
「見ての通り、俺はもうボロボロだ。余裕なんかこれっぽっちも残っちゃいねぇ」
「だから何だ。」
「けどよ、このままじゃ収まらねぇ。収まるつもりなんかねぇ。だから一撃。全力の一撃をてめぇに喰らわせる」
「なぜそれを俺に言う?」
「最後の頼みを聞いて欲しいからだよ。お前もでかい一撃を使ってくれ。いいだろ?お前の方が余裕なんだから。それとも、お前にはそんな余裕もねぇのか?」
「……」
カゲツは考えている。レイジンは内心ほくそ笑んだ。カゲツが本当に自分の全てを引き継いでいるなら、自分の馬鹿さ加減も引き継いでくれていると思ったのだ。大技同士のぶつけ合いを持ち掛けられたら、絶対に断れない。
「……いいだろう。」
予想通り、カゲツはレイジンの挑発に乗ってくれた。
「そうこなくちゃな!!」
とはいえ、これで打ち勝てなければ本当に全てが終わる。レイジンは己の霊力と霊石の力を全開にして、シルバーレオに込めた。対するカゲツも、自身の霊力と賢者の石の力を全解放して、ブラックライオンに込める。
そして、
「スーパーソニック!!!オールレイジンスラァァァァァァァァッシュ!!!!!」
「カゲツスラッシュ。」
レイジンは大声を張り上げ、カゲツは静かに、それぞれの全力を放った。あまりに強大な力の衝突に、基地が吹き飛ぶ。
「……マジかよ……」
レイジンは、本当に己の力全てを出しきった。変身が解除されてしまうほどに。
「気は済んだか?」
それなのに、カゲツは無傷だった。余裕なら売れるほどある、とでも言えるほどに。とどめを刺すために近付いていく。しかし次の瞬間、
「……ぐっ!?」
突然カゲツが立ち止まり、膝を付き、変身を解除した。息継ぎが荒く、動悸が激しい。苦しんでいる。
「む!?どうした正影!!」
カイゼルはシエルとの戦いを放棄し、正影のそばに駆け寄る。エラルダも撮影を中止し、正影の状態を見た。
「恐らく、完成したばかりの状態で、戦わせすぎたためだと思われます。」
正影は、言うなれば生まれたばかりの赤ん坊と同じ状態。まだまだ調整が必要な存在だ。それなのに三大士族の討魔士や輪路と戦わせたりしたため、肉体の活動時間が限界を迎えたのである。
「……仕方あるまい。当初の目的は果たしたのだから、今回はこれで良しとしよう。撤退する」
正影は完成し、その戦闘力も見ることができた。欲を言えば今回で協会を潰したかったが、十分すぎるくらいの成果だ。今回はこれだけで終わらせる。
「ウォレス!撤退するぞ!」
「……わかりましたよ……」
カイゼルから撤退命令を出され、ウォレスは名残惜しそうにしながらも下がる。
「既に我々の新たな力の全貌はわかっただろう。これでもなお向かってくるというのなら、全力で相手になる。その気があるのならな」
カイゼルはシエルにそう言うと、転移術を使って撤退した。戦場にいたアンチジャスティスの戦闘員達も、帰還したブランドンからの撤退命令を受けて撤退。残ったリビドンも、間もなくして全滅した。
「……くそ……!!」
ナチスによる第四次世界大戦は、協会側の勝利で終わった。しかし、ナチスでさえアンチジャスティスの道具でしかなく、結果さらに強力な敵が誕生してしまったのだ。廻藤正影。賢者の石と輪路の血、それから数十万人に及ぶ討魔士と討魔術士の霊力を材料にして製造された、最強のホムンクルス。新たなる難敵を前に、輪路はさらに強くなることを誓った。
*
「殺徒様!!」
冥魂城に戻ってきたデュオール。彼はこっそり輪路と正影の戦いを見ており、正影の脅威的な戦闘力について殺徒に伝えに来たのだ。
「殺徒様!!大変なことに……!!」
「ああわかってるよ。ずっと見てたからね」
殺徒もまた、戦いの様子をここからモニターで見ていた。
「人造人間ホムンクルスか……全く、ブランドンは小賢しい真似をしてくれる男だよ。あれは間違いなく、僕のオウザに対抗するための兵器だね。」
「やはりそう思われますか……」
殺徒もデュオールも、正影が造られた本当の目的について気付いている。それは、殺徒達を倒すためだ。無限の力を持つ正影なら、確実に邪神帝に対して有効な戦力となる。
「どうするの殺徒さん?」
殺徒の腕に抱きついたまま、黄泉子が尋ねる。
「決まってるよ。僕の手で倒す」
相手が何者であろうと関係ない。生きているなら、一人も残さず殺し尽くす。それが例え、ホムンクルスであろうとも。
「とりあえず、君が回収してきた魂をもらおうか。」
「は、はい。こちらです」
デュオールは殺徒に、今回の戦争で得られた魂を献上した。これにより、殺徒の左腕の傷が完全に癒える。
「面白いじゃないか。戦いというのは相手が強ければ強いほど盛り上がるものだよ」
殺徒は治った左腕を見て笑っていた。
ナチスを利用し、新たな戦力、廻藤正影を誕生させたアンチジャスティス。戦いはまだまだ激化していきますが、次回は少し小休止回です。お楽しみに!




