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第三十三話 誰も知らない第四次世界大戦 中編

前回のあらすじ


ブランドンの手によって復活したナチスが、世界に戦争を仕掛けてきた。討魔協会はヒトラーの世界征服を阻止するため、先んじてナチスに全面戦争を挑む。こうして、歴史に残ることのない第四次世界大戦が始まった!

「報告します!!正体不明の兵士が突然現れ、襲撃を仕掛けてきました!!」


総統室にいたヒトラーの通信機に、兵士から報告があった。ヒトラーはすぐに応答する。


「何だと!?それはどういうことだ!!敵は一体何者なのだ!?」


「わかりません!!日本、アメリカ、ソ連、中国、ましてドイツでもない!!所属も武器も特異な、正体不明としか言いようのない兵士です!!うっ、うわぁっ!!」


通信機から、兵士の報告が聞こえなくなった。ヒトラーは報告を聞き終え、すぐそばに待機しているブランドンに尋ねる。


「もしや、そなたが言っていた討魔協会という組織の兵士か?」


「状況から見て、まず間違いないでしょう。いかがなさいますか?」


「……ふん!やることは変わらん。」


ヒトラーは通信機のスイッチをオンにし、全軍に通達した。


「全軍応戦せよ!!一人残らず返り討ちにするのだ!!」


総統閣下には絶対服従。逆らう者は皆殺し。それが例え様々な異能を行使し、古から魔物を狩ってきた戦闘集団だろうと、関係ない。それがナチスに反逆する者なのであれば、皆殺しだ。











「ジークハイル!!!」


返答した兵士達は、協会との戦闘を再開する。ナチスの兵士達は、マシンガンなどの銃はもちろんのこと、戦車や戦闘機なども使用して協会側を攻撃していた。封印の影響でナチスの時間は第二次大戦の時から止まっているため、使っている武器は全て古めかしい。だがこれだけ大量の武器を、司令官から指示を受けながら使用して戦うというのは、彼らがただのリビドンではないという認識を、協会側に与えた。そう、彼らは軍隊がそのままリビドンと化した存在なのだ。兵士が一人二人リビドン化したのとは、わけが違う。加えて、ナチスとは明らかに種類の違うリビドンが、大量に紛れ込んでいる。その上、生きている人間が混じってそれらに味方しているのだ。これらが意味するところは一つ。


「やっぱりこいつら、アンチジャスティスが復活させたんだな!!」


ナチスの復活にアンチジャスティスが関与していたということ。生きている人間はアンチジャスティスの兵士であり、ナチスと種類が違うリビドンの大群は、黒城一派の率いるリビドンだ。


「負けることはねぇだろうが、ヒトラーの首潰すってなるとかなり時間かかるぜ。」


輪路は襲ってくるスカルリビドン達を斬りながら言った。ヒトラーさえ倒せば、ナチスの連携は修復不可能なまでに崩壊する。連携を失った烏合の衆など、敵ではない。しかし、そのためには今の守りを突破して、ヒトラーに肉薄しなければならないのだ。いくら不意を突いたといってもこの数では、とても攻めきれない。



その時、



「廻藤!!上だ!!」


「ん?うおっ!!」


翔に言われて上を見る輪路。気付くと、ミサイルが二発飛んできていた。輪路は慌ててシルバーレオを振るい、一発目のミサイルを真っ二つに破壊した。二発目のミサイルは翔に向かって飛んできていたが、翔は焦ることミサイルを微塵斬りにする。


「悪いが、ここから先は通行止めだ。」


と、目の前にミサイルを撃った戦闘機が飛んできて、一瞬光ったかと思うと人間に変わった。


「私はハンス・ウルリッヒ・ルーデル。お前達が一番突出していたのでな、撃たせてもらった。」


「何!?ルーデルだと!?」


ルーデルというらしいこの男。輪路は翔に尋ねた。


「誰だこいつ?」


「……ハンス・ウルリッヒ・ルーデル。ナチスのエースパイロットだ」


ハンス・ウルリッヒ・ルーデルとは、かつてナチスにおいて最強を誇ったパイロットである。単独で数百台もの戦車を撃破し、その技巧、戦績は全ナチスパイロットの中でも抜きん出ている。もちろんそんな彼でも失敗して撃墜されることはあったが、そんな絶対安静が必要な身でも戦闘機を操縦し、満身創痍の身でも敵を倒し続けたという。


「地上を走り回る人間を認識し、正確にミサイルを撃ち込むその技巧……確かにルーデルクラスでなければ無理だと思うが、なぜルーデルがここに?」


翔は疑問に思っていた。ルーデルは第二次大戦を終戦まで生き延びたのである。ヒトラーが復活しているのだから、他のナチス兵も復活していると予想していた。しかし、戦死していないルーデルも復活しているというのはおかしな話である。ルーデルは驚いている翔に教えた。


「どうも総統閣下は、世界を確実に支配するためにわざと死に、生き返ったらしい。再び引き起こす戦いには私の力が必要そうでな、戦死云々に関係なく、私が死ねばナチスの兵として復活するよう設定していたらしい。」


「……なるほど。」


確かに、世界を支配するためにルーデルの力は必要だろう。しかし、厄介な話だ。


「……廻藤、先に行け。お前に付き添えるだけの余裕は、なさそうだ。」


史実通りの実力であり、それがリビドンになっているとなれば、苦戦することは間違いない。二人がかりで戦っていては、ヒトラーにたどり着くまでかなり時間がかかってしまう。なら、自分がルーデルと戦い、輪路を行かせる。翔はそれが一番いいと考えた。


「……勝てよ翔。」


「ああ。」


輪路は翔がナチスなどに負けると思っていなかったため、駆け出す。


「行かせないと言った!!」


輪路を止めようとするルーデルだったが、翔が素早く斬りかかり、ルーデルの脇腹を斬った。その隙に、輪路は基地に向かって突撃する。


「悪いが、お前の相手は俺だ。」


「……仕方あるまい。貴様を倒してからゆっくり追うとしよう」


「神帝、聖装!!」


ヒエンに変身する翔。


「魂身変化」


対するルーデルは、背中に戦闘機のような翼を装着した、金属質の身体のリビドンに変身し、跳躍した。すると、ルーデルが一瞬発光し、戦闘機に変化したではないか。戦闘機は真下にいるヒエンへと、無数の爆弾を投下する。その姿は、かつてルーデルが使用していた戦闘機そのもの。空の魔王、シュトゥーカリビドンだ。


「やはり上級リビドン……!!」


ヒエンは爆弾を切り刻みながら呟いた。上級リビドンは理性を保ち、通常のリビドンにはない特殊能力を行使する。ルーデルが使っていた戦闘機シュトゥーカは、対戦車砲を無理矢理搭載してしまったため、通常のシュトゥーカよりもスピードが遅い。だがそれでも敵の攻撃を回避し、大量破壊をやらかすことができたのは、ルーデルが愛機を手足のように扱っていたからだ。そして上級リビドンとなったルーデルは、自身が愛機そのものとなり、あらゆる兵装を文字通り手足のように扱う能力を得たのだ。


「私だけではない。ナチスの幹部、総統閣下が信用を置く者は、全て上級リビドンになっている。そうなるようあの魔法陣で設定したらしい」


「厄介なものを……!!」


ヒエンは対戦車砲をぶっ放してくるシュトゥーカリビドンと、空中戦を演じる。











ヒエンがシュトゥーカリビドンと空の覇者の座を懸けた死闘を演じている間、ダニエルもまた強敵に出くわしていた。


「黄金の獣、ラインハルト・ハイドリヒ、か……」


ラインハルト・トリスタン・オイゲン・ハイドリヒ。ナチスが設立した親衛隊の長官だ。指揮官の身でありながら超人の域に達する能力を得ており、そのあまりの働きぶりと金髪であったことから、黄金の獣と呼ばれていた。


「総統閣下からは、あの戦いから数十年経っていると聞いていたが、私を知っている者がいたとはな。」


「知らぬはずがあるまい。貴様らは表の歴史でも、有数の大虐殺を行ったのだからな。」


「……違いない。」


ホロコースト。ヒトラーがナチス兵に命じて敢行した、ユダヤ人の大量虐殺。ヒトラーは幼少時代、ユダヤ人からいじめられたことでユダヤ人全体に深い憎悪を抱いており、そんなヒトラーが政治の実権を握ってしまった結果この悲劇が起きた。


「私が許せないか?まぁ、そういう感情を向けられるのは初めてではない。私はゲシュタポの長官……ナチスの汚れ役だからな」


「……貴様にも思うところはあるだろう。だが、己がやったことを忘れたわけではあるまいな?」


「忘れんとも。私はそもそも乗り気ではなかったしな」


ラインハルトはヒトラーの部下の中でも、ナチスのやり方にあまり賛同していなかった。ヒトラー自体にすら批判的であったのだ。


「なら、なぜ貴様は蘇った?なぜ私の前に、戦場に立っている?」


ダニエルはラインハルトに問う。自分が大虐殺に加担した身であると自覚しているのなら、なぜまた大虐殺に加担するのか。なぜ、再びナチスの一員として戦おうとしているのか。


「愚問だな。私は総統閣下の部下である以前に、一人の軍人だ。例え立場が指揮官であろうとも、戦いの中で死にたいのだよ。もう死んでいるがね」


ラインハルトは答えた。自分は軍人である。軍人であるゆえに、死に場所は戦場である。ゆえに戦うのだと。


「屍となってもなお己の業を捨てられんか。哀れな男だ」


「とうに気付いていることだよ。だが、ならばどうするかね?」


「決まっている!!神帝、聖装!!」


ウルファンに変身するダニエル。


「私が戦って貴様の業を断ち切る!!」


「良い心構えだ。なら私も、軍人としての責務を全うさせてもらおう。魂身変化」


気に食わない上司ではあるが、一度ついていくと決めたら軍人として最後までやり遂げるべき。そういう思考のラインハルトもまた、姿を変える。ライオンのような黄金の鬣を持った、獣のような人間。しかし次の瞬間、ラインハルトはウルファンに向けて何かを飛ばした。車輪だ。巨大な刺付きの車輪が二つ、ウルファンに向かって転がってくる。ナチスは隠れているユダヤ人を炙り出すため、捕らえたユダヤ人を様々な方法で拷問し、あげく殺害した。それが強く心に残っていたため、ラインハルトは拷問処刑器具を自在に生み出して操れる、ホロコーストリビドンになったのだ。この車輪も、罪人を縛り付けて拷問するための器具である。しかし、こんなものでダメージを受けるウルファンではない。三大士族、レッドファング家の名は伊達ではないのだ。ビッグスピリソードを振るい、拷問車輪を二つまとめて一撃で両断した。


「舐めるな。この程度で私は倒せん」


「では、これでどうかな?」


ホロコーストリビドンはウルファンに、口から白い煙を勢いよく吹き掛けた。だが、ただ白い煙を浴びただけである。ウルファンは何のダメージも受けていない。


「毒ガスか……だが聖神帝の力に、そんなものは通用せんぞ。」


だがウルファンはこれがただの煙ではないことを知っていた。毒ガス。かつてナチスがユダヤ人を虐殺するのによく使った兵器だ。常人ならば、悶え苦しんだあげく息絶える死の煙。しかし、聖神帝の鎧は毒ガスなどすぐに浄化してしまうため、聖神帝に変身した討魔士を毒殺することは不可能なのだ。よって、ウルファンは何の苦痛も感じない。


「やはりこの程度では死なんか。だが、何の意味もなくこんな攻撃をしたと思うかね?」


「何?」


ホロコーストリビドンは、今度は口から炎を吐き出した。先ほど吐いたのは猛毒ガス。そう、ガスだ。ガスに向かって炎を吐けば……


「っ!!」


ホロコーストリビドンが吐いた炎は前以て吐いておいたガスに引火し、ウルファンは爆炎に呑まれた。











ウルファンとホロコーストリビドンが獣同士の戦いをしている間、シルヴィーは討魔士達を率いて戦車隊と戦っていた。戦車。分厚い装甲と高火力の砲撃を合わせ持つ、巨大な重量兵器。歩兵が立ち向かうなど、自殺行為に等しい。しかし、普通の歩兵ならだ。こちらは巨大な魔物との戦闘にも勝利できる討魔士。特に士族クラスの討魔士なら、例え戦車が相手でも苦戦することはない。シルヴィーは討魔爪を振るい、戦車をその頑丈な装甲ごと細切れにして回っている。


「油断は廃すべきですが、恐れる必要はありません!!攻め抜いて下さい!!」


号令を掛けるシルヴィー。確かに、通常の兵器で討魔士を倒すことなど不可能。恐れる必要はない。討魔士達はどんどん進軍していっている。



しかし、突如としてシルヴィーの周囲にいた討魔士達が、砲撃に吹き飛ばされた。



「歩兵にしてはやるじゃないか。まさか戦車隊がここまでやられるとはな」


「なるほど、ただの歩兵ではないらしい。しかし、その快進撃もここまでだ。」


シルヴィー達を砲撃したのは、二台の戦車。しかも、声は戦車の中から聞こえるのではなく、戦車そのものから聞こえる。


「お前達の相手は、このミハエル・ヴィットマンと、」


「バルタザー・ヴォルだ。」


ミハエル・ヴィットマン。バルタザー・ヴォル。ナチスでも最強と称えられる戦車乗りだ。ルーデルが空戦最強なら、ミハエルとバルタザーは地上戦最強の存在である。しかも今の二人は上級リビドンとなり、戦車に変身する能力を得ていた。ルーデルと同じ、愛機そのものとなったリビドン、タンクリビドンである。


「相手にとって不足なし。来なさい!!」


戦車乗り最強の二人を落とせば、ナチス側の戦力は大きく低下する。そう思ったシルヴィーは、たった一人で二人の相手を買って出た。まずはバルタザータンクへと斬りかかる。砲身が向けられない超至近距離に飛び込んでしまえば、戦車は無力だ。しかし、バルタザータンクは今までシルヴィーが破壊したどの戦車よりも頑丈な装甲の持ち主で、シルヴィーの討魔爪が弾かれてしまった。二撃、三撃、四、五、六、七と次々打ち込むが、バルタザータンクの装甲には傷一つ付かない。ただの戦車ではないことはわかっている。この装甲は金属の板ではなく、リビドンの皮膚がそのまま戦車の装甲の形に変化しているにすぎない。だがそれゆえに通常の兵器では絶対に破壊できず、破壊には強い霊力や浄化作用を持つ武器を使う必要がある。シルヴィーはその両方を合わせ持っているが、それでも破壊できない。上級リビドンは格が違う。


「神帝、聖装!!」


なら出力を上げるだけ。シルヴィーはドラグネスに変身し、再びスピリクローによるラッシュを始めた。聖神帝に変身して霊力と武器が強化されたからか、今度はバルタザータンクにどんどん傷が付いていっている。しかし、


「ぐあっ!!」


ドラグネスは砲撃を受けて吹き飛んだ。撃ったのはもう一人のエース、ミハエルタンクだ。


「なんという無茶を!!味方にも当たったかもしれないのに!!」


多少ダメージを受けたが、まだまだ戦闘の続行は可能なレベルだったので、すぐ復帰するドラグネス。だがダメージよりも、ショックの方が大きかった。ドラグネスが近距離格闘戦を選んだのは、敵からの攻撃を防ぐためでもある。戦車に密着して戦えば、他の戦車は同士討ちを避けるため下手な攻撃ができないのだ。にも関わらず、ミハエルタンクはドラグネスを攻撃した。バルタザータンクを傷付けないよう、ドラグネスだけを正確に。まともな神経の持ち主ができることではない。


「悪いが、そんなヘマはしない。俺達はプロだからな」


しかし、ミハエルタンクは絶対に失敗しないと断言した。圧倒的な精密狙撃。そして同士討ちを恐れずそれに踏み切るだけの思い切りの良さ。なるほど、世界最強の戦車乗りと言われたのも頷ける。


「世界に戦いを挑んだだけはあるということですか。しかし、私にも負けられぬ理由がある!!」


狂人の集団とはいえ、生半可なことで勝てる相手ではない。そう思ったドラグネスは、今まで以上に用心しながら、それでいて全力で、二人の上級リビドンに挑んだ。











「ふむ……」


空中戦を繰り広げるヒエンとシュトゥーカリビドン。戦いを続ける中、シュトゥーカリビドンは呟いた。


「空中戦をするのはもう慣れっこだと思っていたが、やはり戦闘機を落とすのと、人間サイズを相手取るのは勝手が違うな。うまくいかない」


いくらかのルーデルといえども、空を自在に飛び回る人間と戦ったことはない。何しろ的が小さいし、ヒエンもかなりすばしっこいので、思ったように弾やミサイルが当たらないのだ。


「くっ……」


しかし、対するヒエンはかなり動きが鈍ってしまっていた。理由は無論、シュトゥーカリビドンの攻撃を受けたからである。戦闘機や戦車に比べて的が小さく、かつ戦闘機より遥かに早いヒエンにも、シュトゥーカリビドンは当ててくる。といっても当たるのは機銃程度で、ミサイルや爆弾、対戦車砲などの大きな攻撃は無効化できているが、ミサイルも爆弾も機銃弾も霊力でできているため、いくらでも撃てるし威力も普通の武器よりずっと上だ。そしてこちらから攻撃する時、シュトゥーカリビドンはヒエンの何倍も大きいというのに、かわす。死角に回り込んでみても、まるで死角に目があるのではないかと思えるような絶妙なタイミングで、かわす。このように、能力ではヒエンが上を行っているはずなのだが、有効打を与えられず、ヒエンだけが一方的にダメージを受けてしまっているのだ。と、シュトゥーカリビドンはまた対戦車砲を撃ってきた。ヒエンはそれを真上に飛んでかわすが、その瞬間にシュトゥーカリビドンは予測できていたかのようなタイミングで機銃を使い、ヒエンを攻撃した。


「ぐああっ……!!」


「ようやく慣れてきたな。もうすぐ決定打を撃ち込めそうだ」


まただ。ヒエンの動きが、全て読まれてしまっている。もしヒエンが戦闘機と同じ大きさだったら、とっくに撃墜されているところだ。今のところ被害は最小限に留まっているが、ガリガリガリガリと削られていっているので、いつ落とされるかわからない。落とされたら最後、爆弾や対戦車砲の餌食だ。



しかし次の瞬間、シュトゥーカリビドンの動きが突然止まった。



「何!?」


空中に制止するシュトゥーカリビドン。その時、


「翔くん!!今!!」


ソルフィの声が聞こえた。ヒエンがよく見てみると、ソルフィの手からソウルワイヤーが伸びている。そしてそのワイヤーの先にはソルフィの人形が無数に配置されており、そしてその人形が配置されていたのはシュトゥーカリビドンの周囲。人形同士を糸が繋いでおり、その糸がシュトゥーカリビドンを絡め取っているのだ。ヒエンが苦戦しているのに気付いたソルフィは、ヒエンを救うために、ヒエンとシュトゥーカリビドンのどちらにも気付かれないよう、なおかつヒエンを追い詰めてしまわないように人形を配置し、罠を張っていたのだ。


「よし!!」


シュトゥーカリビドンが強すぎて翻弄されてしまっていたヒエンは、ようやくできた隙を逃さず全霊聖神帝にパワーアップ。


「青羽流討魔戦術最終奥義、全霊鳳凰!!!」


自身の霊力、そして霊石の力を全開にして、超弩級の蒼炎鳳凰を発動する。いくら上級リビドンといえど、殺徒クラスの力がなければ成仏必至のこの必殺技。


「ヒエン、参る!!」


「くっ!!」


喰らうわけにはいかないシュトゥーカリビドンは、自身の戦闘機化を解除してソウルワイヤーをすり抜けることにより回避。全霊鳳凰はかわされてしまったが、三百を超えるリビドンを巻き込んで成仏させた。近くにいた討魔士達は咄嗟に結界を張り、無傷で戦闘を続行する。


「なんという破壊力だ。まだあんなものを隠していたとは……」


肝を冷やすシュトゥーカ。これは百戦錬磨の兵士にとって、絶対にやってはいけないことだった。眼前に迫る破滅の危機を回避することにより、あらゆる生命体は安心を得る。だが常に死が跳梁する戦場において、それは限りなくぬるい。


「はああああああああああああ!!!!」


ヒエン最大の必殺技を回避したことで気が抜けてしまったシュトゥーカリビドンは、戻ってきたヒエンに十字に斬られたのだ。


「がっ…!!」


「青羽流討魔戦術奥義、朱雀狩り・剛」


傷口から猛火が燃え上がり、内側からシュトゥーカリビドンを焼き付くし、爆破した。シュトゥーカリビドンはルーデルに戻って墜落する。ヒエンもまたルーデルを追って地面に降りた。


「う、うかつだった。まさか、私がこんな凡ミスをするとは……!!」


生じた隙はほんのわずかだった。しかし、スピードを最大の武器としているヒエンにとっては、ほんのわずかでも隙があれば十分なのだ。ルーデルの敗因は、討魔士と戦った経験がなかったこと。そして、


「それに、伏兵を忍ばせていたとはな……」


ソルフィという相棒がいたことだ。もっとも、危なくなったら助けに入れ、などと指示してはいないが。


「正々堂々と勝負しなかったことは詫びる。しかし、俺は真剣勝負をするためにここに来たのではない。俺が今やっているのは、亡霊狩りだ。」


意図していなかったとはいえ、汚い戦いをしてしまった。しかし、ナチスによる世界征服はどんな手を使ってでも防がねばならない。ヒエン達はそのためにここに来たのだ。


「ああ、非難などしないよ。戦争とは、そういうものだ。私もたくさんの人間を殺してきたし、戦闘機という相棒を使ってきたからな。私もある意味、二人がかりだったというわけだ。」


ルーデルもその点は理解していた。戦いとは時の運。どれだけ味方がいようと、どれだけ緻密に練られた作戦があろうと、どれだけ自分が強かろうと、運がなければ負ける。今回はたまたまソルフィがヒエンの危機に気付き、ヒエンを助けてくれた。それだけだ。ルーデルには運がなかった。本当に、それだけである。


「君は命懸けの戦いに勝つことができた。それは君の誇りだ。そうとも……誇り高き不死鳥の剣士に……ジーク……ハイル……」


ルーデルは自身をこの世に縛り付ける力を断たれ、ヒエンを称賛して成仏していった。


「……ぐっ!!」


「翔くん!!」


ヒエンは膝を付き、変身を解除した。ソルフィが駆け寄り、翔に回復薬を飲ませる。ルーデルとの戦いでかなりのダメージを受け、全霊聖神帝を使ったことにより霊力も限界近くまで消費したので、疲労がピークに達したのだ。しかし、ソルフィからもらった回復薬のおかげで、疲労も傷も、霊力も徐々に回復していっている。


「すまない。助かった」


「ごめんね翔くん。余計なことしちゃった?」


「いや、お前が来なければやられていた。俺の実力不足だ」


翔は決して弱くない。ただあのルーデルという上級リビドンが、あまりにも強すぎただけだ。ソルフィが助けに入らなければ、確実に落とされていた。


「先に行った廻藤が心配だ。早く、連中の基地へ……!!」


「私も!!」


翔はソルフィに支えられながら、ナチス基地へと急いだ。











「どうした?それで終わりではなかろう?」


ホロコーストリビドンは、煙の外から尋ねた。すると、


「はぁっ!!」


ウルファンが煙の中から飛び出してきた。対するホロコーストリビドンは、手元に巨大なギロチンを召喚してビッグスピリソードを受け止める。


「聖神帝をあの程度の攻撃で倒すつもりだったとはな!!」


「無論、あの程度で終わるとは思っていない。ほんの小手調べだ。では、私も本気を出すとしよう。」


ホロコーストリビドンがそう言った瞬間、ホロコーストリビドンの背中から鎖に繋がったギロチンが無数に飛び出し、意思を持つかのようにウルファンに襲い掛かってきた。


「ぬっ……!!」


ウルファンは一度下がり、攻撃を弾いていくが、さばききれずに何回か受けてしまう。ビッグスピリソードは大剣であるため、小回りが効かない。単に速いだけの攻撃なら見切れるが、同時に全方位から襲われては防ぎきれないのだ。ギロチンの刃は何度もウルファンの鎧に当たり、鎧の下の肌を何ヵ所か斬られている。まだ皮一枚程度だが、このまま受け続けているといずれざっくりやられてしまう。


「ならば……!!」


ウルファンが使える霊石は、土、火、力、速さの四つ。ウルファンはこの内、力と土の霊石を使い、剛震聖神帝にパワーアップ。一撃でギロチン全てを弾き飛ばし、再度ホロコーストリビドンに肉薄する。


「ウルファン、貴様を狩る!!」


「くっ……」


ウルファンの剛撃を、ギロチン二本で受け止めるホロコーストリビドン。しかし、ウルファンは容易くギロチンを二本とも破壊してしまった。


「はぁっ!!」


そのまま押し切る。だが、ホロコーストリビドンは押し切られる寸前に跳躍し、落下しながら新たに生み出したギロチンで、ウルファンの背中を強く斬った。


「がっ!!」


「甘く見てもらっては困る。指揮官という身ではあるが、動けんわけではないのだ。」


思わぬ反撃。かなり霊力を込めて斬ったのか、刃は鎧を通り、背中に裂傷が入る。だが、ウルファンは倒れない。倒れそうになったが、踏ん張ってこらえた。それから、振り向きながらホロコーストリビドンに一撃を放つ。


「うぐっ……!!」


軽く吹き飛ぶホロコーストリビドン。その隙を逃さず、ウルファンはビッグスピリソードに霊力を込めながら駆け出し、


「レッドファング流討魔戦術奥義、ウルフファングリッパー!!!」


ホロコーストリビドンを斬った。横から真っ二つに斬られて爆発し、ラインハルトに戻る。


「負けたか……やはり、慣れないことはするものではない、な……」


いくら超人的な身体能力を持つ軍人とはいえ、ラインハルトは前線に立って戦う男ではない。あくまでも、指揮官だ。それなのに三大士族と正面からやり合うなど、自殺行為もいいところだ。しかし、ウルファンも無傷では済まなかった。その辺りが、やはりラインハルトは超人であることを物語っている。


「誰かに殺されるのはこれで二度目……だが、これが私の、ナチスの運命なのかもしれん……な……」


ラインハルトは成仏した。自身の死に対しても、そしてナチスそのものに対しても、最後まで否定的な男だった。


「……まだだ。まだ、終わっていない。」


ラインハルトという大物は倒した。だがナチスには、名だたる強敵がまだ何人もいる。ヒトラーも倒さなければならない。ウルファンは痛む身体をおして、先に進んだ。











二体のタンクリビドンを相手取るドラグネス。タンクリビドンはどちらも強敵だが、やはり三大士族の討魔士なだけはあり、ドラグネスは二体を追い詰めていた。


「終わりです。これ以上傷付きたくないなら、冥界に帰りなさい。そうすれば、こちらも穏便に事を済ませます。」


自身の勝利を確信し、ドラグネスは二体に降伏を迫る。しかし、バルタザーはミハエルに言った。


「聞いたか?こいつ、もう勝ったつもりでいやがる。」


「そうらしい。では、教育してやるか。」


二体はまだ戦うつもりだ。そしてドラグネスは、まだ二体が本気を出していなかったことを知る。二体のタンクリビドンは光の玉に変化したかと思うと、一つに融合し、戦車に変化した。これぞ、ミハエルタンクとバルタザータンク、二体のタンクリビドンの真の姿、ティーガーリビドンだ。


「何をしようと!!」


ドラグネスはこれまでと同じように飛び掛かり、ティーガーリビドンの装甲にスピリクローを突き立てた。だが、


「なっ!?」


今までならダメージが通ったはずの装甲に、全く傷が付かない。驚いて何度も攻撃してみるが、ノーダメージだ。バルタザーは本来、操縦担当である。これにミハエルが加わって砲撃を担当したことにより、地上戦車戦最強の称号を獲得したのだ。そしてその時二人が乗り込んだ戦車が、ティーガー車。このティーガーリビドンは当時の二人の最強状態の再現である。無論ただ融合しているわけではなく、一体のタンクリビドンの限界を超えた力を、二体が融合することで数倍に強化しているのだ。よって装甲も強化され、今までなら通っていた攻撃も通らなくなっているのである。そして、強化されているのは防御力だけではない。


「あああっ!!!」


攻撃力もだ。ドラグネスのすぐ両脇に二丁の機銃が出現し、ドラグネス目掛けて同時射撃。ダメージを受けたドラグネスは緊急離脱した。弾は鎧を貫通しなかったが、衝撃は全身を突き抜けた。どうやら、かなり強力な機銃を自在に生み出せる能力が身に付いたらしい。機銃でこの威力なら、砲撃はどれほどだろうか?絶対に喰らうわけにはいかない。機銃も脅威だが、これまで通り接近戦を挑んだ方が遥かに安全だ。ドラグネスは今度こそティーガーリビドンにダメージを与えるため、スピリクローに霊力を込めて飛び出し、きりもみ回転。


「エメラルドスクリュー!!!」


討魔戦術を使う。エメラルドスクリューなら、確実にダメージを与えられるはずだ。しかし、ティーガーリビドンはそれに合わせるようにして発車した。エメラルドスクリューを発動して突っ込んでくるドラグネスと同じか、それ以上の速度だ。普通の戦車の数倍の速度である。そして、


「がああっ!!」


ドラグネスはティーガーリビドンの装甲を貫けず、弾き飛ばされた。単純な装甲の硬さのみならず、大質量大重量の戦車が猛スピードで突撃してきたことで、戦車そのものがさながら一つの砲弾となり、押し負けたのだ。大きく飛ばされたドラグネスは、ティーガーリビドンの砲撃が最も威力を発揮する距離に倒れていた。


「終わったのはお前の方だったな。」


ミハエルは冷酷に照準を合わせ、砲弾を発射した。大きなダメージを受けているドラグネスは、立ち上がることができない。しかし、


「水の、霊石!!」


咄嗟に水の霊石を発動し、流水聖神帝にパワーアップ。自身を液状化することで、砲弾を受け流した。水の霊石は癒しの力の象徴でもあるため、ダメージを回復することができる。ドラグネスは液状化することでダメージを回復し、無傷の状態に実体化した。


「何!?」


「そんなのありかよ!?」


これにはティーガーリビドンも驚いている。しかし、液状化は諸刃の剣だ。敵の攻撃を受け流し、ダメージを回復する代わりに、大量の霊力を消費する。ドラグネスは今の液状化でかなりの霊力を使ってしまった。次で決めなければならない。


「今度こそ、終わりにします。」


これがラストチャンス。ドラグネスは全霊聖神帝になり、跳躍。


「グリーンクロー流討魔戦術奥義、オールスクリュー!!!」


エメラルドスクリューの全霊石解放バージョンを使用する。通常のエメラルドスクリューよりも遥かに高威力の技だが、それだけでなく、今度は弱点を狙う。ティーガーリビドンの、いや、全ての戦車にとっての弱点、砲身だ。戦車の砲身は脆い内部へと繋がっているため、ここに飛び込んで攻撃すれば確実に倒せる。


「させるか!!」


しかし、それは敵の砲撃に自ら当たりに行くのと同じこと。ティーガーリビドンは当然のことながら砲撃し、ドラグネスを迎撃しようとする。だがドラグネスも馬鹿ではない。これは十分想定できていたことだ。想定した上でこの攻撃方法を選んだ。上級リビドン相手に、リスクの一つや二つ負わずに勝つことなど不可能。ドラグネスの突撃は砲撃をぶち抜き、ティーガーリビドンの砲身に飛び込む。飛び込んで、向こう側に突き抜けた。


「……教育されたのは……」


「俺達の方だったらしい。」


ティーガーリビドンは爆発し、成仏した。


「危なかった……!!」


やはり上級リビドンは下級リビドンとは違う。そう思いながら、変身を解くドラグネス。しかし、一番倒すべき上級リビドン、ヒトラーがまだ残っている。シルヴィーは霊力を温存しながら、ナチスの本拠地へと急いだ。










ナチス基地。


「むぅ……」


ヒトラーは唸っていた。今、彼の机の上には、ブランドンから提供された魂を映すレーダーが置いてある。かつて協会から抜ける際、持ち出してきた物の一つらしい。生者の魂は青で表示され、死者の魂は赤で表示される。今大雑把に言えば赤がナチス軍で、青が協会勢力だ。一つの生者の反応が凄まじい速度で基地に接近してきており、ナチス軍の反応が次々と消えている。


「ブランドン殿。この反応に心当たりは?」


そう言って振り向いたヒトラー。しかし、いつもそこにいるはずのブランドンが、なぜか今に限っていない。敵の迎撃に出ているのか、それともナチスの劣勢を知って逃げたか。


「使えんヤツだ。」


元々復活させる者さえいてくれれば、それでよかった。目的を果たした以上、手を組む必要もない。やはり頼れるのはナチスと自分だけ。そう思ったヒトラーは、席を立った。


「まぁいい。恐らく敵の幹部クラスだろうし、そもそも誰であろうと関係はない。」


ナチスに逆らう者は皆殺しだ。それが何者であろうと、どれほど強かろうと関係はない。それに、自分には切り札がある。これさえ使えば、現在の劣勢を覆すなど簡単だ。しかしあまりにも強力すぎるため、本当に劣勢の時にしか使えない。


「では、私自らもてなしてやるとしようか。」


ヒトラーは部屋を出た。











ナチスの幹部。ナチスお抱えの魔術師達。黒城一派のリビドン。アンチジャスティスの兵士。それら全てを蹴散らして、輪路はナチス基地に侵入した。


「ん?俺が一番乗りか?」


輪路は周囲を見回す。他の討魔士や討魔術士が乗り込んだ様子はない。どうやら、輪路が一番最初にたどり着いたようだ。他の連中がたどり着くまでまだ時間がかかるだろうし、その前に自分がこの基地を制圧しておこうと考えた輪路は、基地を探索する。だが、


「……何で誰もいねぇんだ?」


大広間らしき場所に着いたあたりで輪路は気付いた。基地の中には誰もいないのだ。敵の基地なら、普通は兵士や幹部がたくさんいるはずだ。それが一人もいない。



その時、



「全員戦場に行ってもらったよ。私の邪魔になるのでな」



「!!」


突然ヒトラーが現れ、奇怪な紋様が刻まれた槍を持って輪路の背後から襲い掛かってきた。輪路はそれをシルバーレオで受け止め、弾いて一旦下がる。


「てめぇ、ヒトラーだな?テレビに出てたからわかるぜ。」


「覚えていてくれてありがとう。ところで、この槍は何かわかるかな?」


ヒトラーは自分が持っている槍を見せびらかした。強い力を感じる。ただの槍ではないようだが、


「……いや。」


輪路は知らないと答えた。ヒトラーはにんまりと笑って教える。


「これはロンギヌスの槍。イエス・キリストの生死を確かめるために使われた、神の槍だよ!」


ナチスは自分達の勝率を高めるため、世界中から様々な魔術アイテムを集めていた。このロンギヌスの槍も、その一つである。


「……へぇ。」


輪路としては大して興味もない話だったが、ヒトラーは構わず続ける。


「強い聖なる力を秘めていたが、リビドンになった私の力で、完全に制御下に置いた!この意味がわかるかね?」


「……いや。」


「神はキリストではなく、私だということだよ。神の槍が私の力に屈したということは、私こそがこの世界を統べるに相応しい神だということだ!!神の意思は絶対だ。私という神の命に従い、貴様は今ここで死ね。」


ロンギヌスの槍の力を完全に支配し、神を気取っているヒトラーは輪路に死ぬよう命じた。


「やなこった。」


しかし、そんな無茶な命令を聞くような輪路ではない。


「お前がやるべきことは神になってこの世界を支配することでも、俺を殺すことでもない。成仏して冥界に帰ることだ」


「……ふん!言ってもわからんか。ならば力を以て従わせるまで!魂身変化!!」


ヒトラーは輪路を殺すため、テレビで見せたあの姿、ナチスリビドンに変身した。


「神帝、聖装!!」


輪路もまたレイジンに変身し、シルバーレオをヒトラーに向けた。


「終わらせるぜ。ヒトラー(バカ)が始めた戦争バカをよ」





無理なく三つに分けました。次回はナチスとの最終決戦です。

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